医師の情報共有プラットフォーム「Antaa」運営、プレシリーズAラウンドで2.3億円を調達——XTech Ventures、ニッセイ・キャピタルなどから

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アンターのメンバー(一部)。右から2人目が創業者兼 CEO で医師の中山俊氏
Image credit: Antaa

【11日午前11時更新】調達ラウンドをシリーズ A ラウンドからプレシリーズ A ラウンドに訂正。

医師のための 各種情報共有プラットフォーム「antaa」を運営するアンターは11日、プレシリーズ A ラウンドで2.3億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、XTech Ventures、ニッセイ・キャピタル、SMBC ベンチャーキャピタル、三井住友海上キャピタル、個人投資家複数。同社にとっては、2018年に実施したニッセイ・キャピタルや三井住友海上キャピタルらからのシードラウンド調達に続くもので、創業以来の累積調達金額は約3億円となる。

アンターは2016年、整形外科医の中山俊氏により創業。中山氏は、日々医療現場で働く中で医師同士の情報共有の必要性を感じ antaa を立ち上げた。サービスは医師同士が質問・相談できる 「Antaa QA」に加え、平日正午から気になる医療情報を動画配信する「Antaa News」、スライド共有でナレッジを蓄積する「Antaa Slide」、最前線で活躍する医師を招いて講演などをライブ配信する「Antaa Live」、疾患解説やインタビューを掲載した情報サイト「Antaa  Media」などで構成される。

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厚生労働省や日本医師会のデータによれば、日本の医師人口は32万人から33万人程度。Antaa ユーザは1万人以上というから、約30人に1人が Antaa を使っている計算になる。専門の診療科目にかかわらずプライマリーケアを提供する、医療知識の開拓に意欲旺盛な20代から30代の若手医師が多く参加しているそうだ。中山氏によれば、3月末には1万人程度だったユーザは、ここ1ヶ月半ほどで2,000人程度増えた。理由は言うまでもなく、新型コロナウイルスだ。

コロナ前は、離島など交通の便がよくない地域でへき地医療に取り組む医師が、最新の情報を入手する手段として利用されるケースも多かった。しかし、コロナになって、業務多忙や移動制限から、医師同士が実施に会って情報共有することが難しくなり、中止になった学会も少なくない。失われた機会を補う手段として、Antaa を使う医師が増えたようだ。(中山氏)

Image credit: Antaa

コロナ関連の情報も氾濫していて、医師もどこから信頼できる情報を得ていいのかわからない。そんな中で、最新の医学論文をキュレーションし、そのアブストラクトをランチタイムに動画配信する Antaa News は 日々多忙な医師に重宝されている。Antaa News のアンカーを務めるのは、COO の西山知恵子氏だ。東京都が主宰しトーマツベンチャーサポートが運営受託する青山スタートアップアクセラレーションセンター(ASAC)で担当メンターだった西山氏は2018年、アンターに参画した。

アンターは、Antaa を利用する医師からは基本的に利用料をとっていない。同社のマネタイズポイントは現在のところ、医師のための経営講座の授業料、医療機関や地域間医療連携を促進する自治体のプロモーション支援、医療機器メーカーや製薬会社のコンテンツ開発支援など。同社では今年2月、UUUM の元 CTO 尾藤正人氏を技術顧問に迎えたこともあり、システム開発面では陣容が整いつつあるようだ。今回調達した資金を使って、特にビジネス開発人材を獲得したいとしている。

アンターは2017年3月、IBM Bluehub 第3期で最優秀賞/Softbank 賞を獲得している。

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