モバイルアプリで生活習慣病の治療に挑むキュア・アップ、Beyond Nextや慶應IIらから3.8億円を調達——禁煙以外の治療アプリにも横展開を強化

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Image credit: CureApp

疾患治療用プログラム医療機器を開発するキュア・アップは6日、Beyond Next Ventures慶應イノベーション・イニシアティブSBI インベストメントから総額3.8億円を調達したことを明らかにした。これは同社にとって、2015年10月に実施した Beyond Next Ventures からの約1億円の調達に続くものだ。今回の資金調達を受けて、キュア・アップはモバイルアプリを使った疾患治療に向けて、さらなる研究開発を推進するとしている。

禁煙アプリ

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キュア・アップは2014年7月、共に医師である佐竹晃太氏(現 CEO)と鈴木晋氏(現 CTO)が設立した医療スタートアップだ。「アプリが病気を治療する効果を持つ」とされる治療アプリの分野の先駆け的存在で、慶應義塾大学医学部呼吸器内科との共同開発により、2015年2月にはニコチン依存症治療用アプリ「禁煙アプリ」をリリース。その後も多くの医療施設で臨床実験が進められている。

キュア・アップは、経済産業省主催のイノベーション創出プログラム「飛躍 Next Enterprise」に採択されており、CEO の佐竹氏は同プログラムのシリコンバレー派遣コースのためサンフランシスコ市内に滞在中だったが、同社の今後の展開について THE BRIDGE からのインタビューに答えてくれた。

CureApp 脂肪肝

前出の「禁煙アプリ」に続いて、これまでに東京大学付属病院医学部消化器内科学教室との共同開発により非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療用アプリ「CureApp 脂肪肝」を共同開発し、臨床試験中だ。NASH は肥満や糖尿病などを原因とする肝炎で、食生活の見直しで治療が進められることが多い典型的な生活習慣病の一つだ。キュア・アップでは今後、「禁煙アプリ」や「CureApp 脂肪肝」に加え、糖尿病・うつ病・肺がんなど生活習慣病の疾病管理のための治療用アプリを横展開してゆきたい、とのことだった。

また、モバイルアプリの開発には、Facebook が開発した JavaScript の知識だけで iOS アプリや Android アプリが開発できるプラットフォーム「React Native」を採用しており、「CureApp 脂肪肝」はすでに React Native でできているとのこと。「禁煙アプリ」については React Native 環境に移植中で、今後、開発されるアプリも React Native で開発されるそうだ。キュア・アップでモバイルアプリの開発を主導するエンジニアの高木健介氏は、東京で開催される React Native Meetup などにもたびたび登壇し、新技術の浸透に力を注いでいるようだ。

今回、佐竹氏が渡米していた理由の一つでもあるが、キュア・アップでは現地医療機関などとの提携によるアメリカ進出も模索している。アメリカで臨床実験を行い FDA(アメリカ食品医薬品局)から認証が得られれば、キュア・アップの世界展開にも弾みがつく。先ごろ、キュア・アップの株主でもある Beyond Next Ventures がサンフランシスコのバイオサイエンス系アクセラレータ IndieBio提携したが、このような動きもキュア・アップの今後の成長を後押しすることになるかもしれない。

キュア・アップの一連のモバイルアプリは iTunes AppStoreGoogle Play からダウンロードできるが、治療アプリという性質上、提携医療機関での利用が前提となる。

<参考文献>

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