毎月違う家で生活を、空室と借りたい人をマッチングする「NOW ROOM」運営が2.1億円調達

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Living Techのメンバー写真、中央が代表の千葉史生氏/同社提供

空室の住居・ホテルと部屋を借りたい人のマッチングサービス「NOW ROOM(ナウルーム)」を運営するLiving Tech(リビングテック)は5月28日、第三者割当と金融機関による融資を合わせた2億1000万円の資金調達の実施を発表した。

第三者割当増資の引受先となったのはニッセイ・キャピタルと個人投資家1名で総額は1億5000万円。融資は西武信用金庫と日本政策金融公庫より実施している。資金調達ラウンドはシードで株式比率や払込日は非公開。


NOW ROOMは空室の住居・ホテルと住まいを探す人を繋ぐアプリ。フリーランサーや外国人在留者、転職・新卒就職者などの環境変化の多い世帯をユーザーターゲットとしている。

住まいは最短1カ月から契約可能で最長期間は事業者が設定。ユーザー側からアプリで借りたい部屋を見つけ、予約する仕組みだ。現状はホスト側の承認を待つ形となるが、2020年8月頃には空室管理システムと連携し、自動予約ができるようになる。

現時点で登録されている部屋数は都内を中心とした3000室。部屋を提供する事業者はシェアハウス・ゲストハウスが5割、マンスリー賃貸が1割、ホテルなどその他が1割の内訳となっている。事業者側には掲載料はかからず、成約時に成約金額の12%が手数料として同社に支払われるビジネスモデルだ。

2018年1月に設立された同社は、NOW ROOMのリリース以前にクラウドホテルと呼ばれる無人ホテル向けの本人確認システムを提供していた。同社代表の千葉史生氏は、観光アクティビティを企画・提供するFun Groupで海外各地を周り、支社の開拓を担当した経歴を持つ。

ローンチから4日で2500DL、内見希望数は1日数十件程度。「アフターオリンピックを見据えて空室のシェアビジネスを考えていた」と同社代表の千葉氏は話す。1年前から構想したサービスということだが、コロナ禍により事業者ニーズは増えているようだ。

安く売れば赤字になってしまうホテル・旅館ビジネス

OYO LIFEやAny placeなど、これまでにも海外を中心に居住の仕組みを変化させようと挑むスタートアップはあった。これらの既存の予約サイトや空室のシェアサービスでニーズは満たされるのではないか、というのが筆者の気になった部分だ。

取材時に千葉氏に話を聞いたところ、同サービスの特徴は最低1カ月間の契約で双方メリットを生み出せる仕組みにあるという話だ。少し詳しく説明しよう。

ホテル・旅館事業者は部屋を貸し出すことで収益を上げている。空室が出てしまえば、売上が入らないため、事業者にとってもちろん空室は喜ばしいものではない。しかし、千葉氏いわく「宿泊事業は損益分岐点が高く、管理コストとして固定費が発生しやすいため、ある一定価格以下では売る程赤字になってしまう」そうだ。つまり、少し値下げして空室1日分を売っても赤字になってしまう。

同サービスでは、この固定費を1カ月以上と長期で貸し出すことで軽減している。さらに事業者には31泊分の売上が確約されるため収入が安定する。同社は通常より安く居住用物件を提供することを目指しており、この固定費部分の削減でユーザーへ住居の低価格提供を実現する考えだ。

またAirbnbなどでは連泊が180日以内と定められているが、主にマンスリー賃貸やシェアハウスを事業者ターゲットとする同社は契約時に定期借家契約を適用するため、長期居住にも対応しているとの説明だ。

同氏によれば、都内のシェアハウス等を含む賃貸物件の空室は65万室にのぼる。さらに民泊や旅館は年間38%程度、数字にすると2.6億室が空室状態にあるそうだ(コロナ禍以前)。シェアハウスやマンスリー賃貸の空き状況をシステムで見える化し、空室を流通させるのが同社の狙いである。

人の住まいの自由化を目指す

部屋を借りる側のターゲットであるフリーランサーや外国人ターゲットに対しては、審査の通りにくさや勤務地が変わることで課題を抱える部分を解決する。同サービスのリリース背景を千葉氏はこう語る。

「家賃は給料の3分の1と言われるように、不動産は個人が使うお金で最も出費が大きい部分です。この住まいのコストを30%から40%、もしくは初期費用や2年縛りといった制約がなくなれば、人々が自由に生活できる幅が広がります。自分自身も旅をしながら過ごしていた経験もあるので、もっと金銭的にも場所的にも、時代に合った不動産の提供の仕方を開拓したいです」(千葉氏)。

今後は調達資金をプロダクト開発および事業者と部屋を借りるユーザー向けの広告費用に充当し、普通賃貸市場への新たな仕組み提供を目指す。

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