広がる「ブロックチェーン×IoT」事例、暗号資産インセンティブを提供するHeliumの仕組み

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ニュースサマリー:ブロックチェーンを活用したP2P型ワイヤレスネットワーク構築を目指すHeliumは、7月より同社ネットワークシステムを欧州へ展開開始することを明らかにしている。また、同タイミングでIoTトラッキングデバイス「Helium Tab」のリリースも公表した。同社は、2019年6月にP2Pワイヤレスネットワークをローンチ。北米における1000以上の都市へネットワークを急速に普及させている。

重要なポイント:P2Pワイヤレスネットワーク「The People’s Network」は、Helium Hotspotを家庭に設置しワイヤレスネットワークを構築することで暗号資産を入手できる仕組みを取る。これは、太陽光パネルへ投資するインセンティブと類似する。

詳細情報:同社のネットワークでは、Helium Hotspotと呼ばれるハブを各家庭に分散して設置しP2Pワイヤレスネットワークを構築することで、IoTデバイスなどとの通信を可能にしている。従来のように、大手通信事業者が中央集権的に提供するネットワークではないことが特徴として挙げられる。

  • 通信事業者が中央集権的に提供するネットワークではなく、無数のHelium Spotが集まることで実現する分散的なネットワークの集合体といえる。LongFiという技術がキーとなる。Wi-FiやBluetoothなしで、IoTデバイスと接続できるネットワークの範囲や充電の持ちを最大化させるもの。LEDの電球程度の小さい電気消費量も魅力の一つ。
  • Heliumの技術は、SalesforceのIoTクラウドとの連携や、Limeでのマイクロモビリティーのトラッキングへの活用など、多分野におけるビジネス活用が進んでいる。
  • Helium Tabはスマートタグと呼ばれる製品群に分類される。日本国内ではMAMORIO 、米国のTileなどが主要なプレイヤーである。このようなプロダクトは、自分のスマートフォンとBluetooth接続してトラッキングするものが多い。MAMORIOの場合は最大でも電波が届くのは60m、Tileの場合は最大120mとなる。
  • 一方で、P2Pワイヤレスネットワークを活用するHelium Tabは、最大8マイル(約12.8km)もカバーするという点でIoTトラッキングデバイスの中では革新的だ。
  • なお、MAMORIOなどにはそのカバー範囲の小ささを補完する機能として、自分のMAMORIOデバイスと他ユーザーがすれ違うときにその場所を検知する機能を提供している。また、主要駅や商業施設内のお忘れ物センターにMAMORIO Spotを設置して、自分の紛失物が届いたときに通知が届く機能などがある。
  • Tileのリリースによれば、一般的に消費者は一生のうち平均1年を紛失物の探す時間に費やしているとしている。またTileはJapan Taxiとパートナーシップを組み、Japan Taxiタブレットが搭載するタクシーからTileの電波を拾って通知が届く機能をリリースしている。MAMORIOと同様に他のTileユーザーが自分のTileを検知するとアプリに通知が届く機能も備えている。

背景:Research And Marketsの調査によれば、2019年から2025年にかけてブロックチェーンとIoTを組み合わせた市場はCAGRで約45%の成長が期待されている。

執筆:國生啓佑/編集:増渕大志

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