無線ホットスポットで報酬がもらえる?ーーブロックチェーン技術の無線ネットワーク「Helium」が1500万ドル調達

by souta watanabe souta watanabe on 2019.6.27

2019-06-14 10.43.54
Image Credit : Helium Hotspot web site

ピックアップOur investment in Helium

ニュースサマリー:ブロックチェーン技術を用いて、世界初のP2Pワイヤレスネットワークの構築を目指すスタートアップ「Helium」が6月12日、シリーズCラウンドにて1500万ドルを調達した。出資したのはMultiCoin CapitalやUnion Square venturesを含む11つのファンド及びエンジェルから。同社の合計調達額は5400万ドルに及ぶ。

Heliumのサービス概要は非常に革新的だ。Heliumは、ユーザーに無線通信ルーターを提供することで、誰でもワイヤレスネットワークを構築可能にする。ユーザーはHotspotと呼ばれるルーターを立てると、そのルーターは無線通信のホストとなるだけでなく、Heliumブロックチェーンのノードの役割を担い、他のルーターが正しく動作してるかを検証する作業を行う。

Multicoin CapitalのKyle Samuni氏によれば、無線通信プロバイダービジネスというのは、従来非常に資本集約性の高いものの一つで、IoTデバイスへの接続コストが高いという課題があったという。しかしheliumを用いれば、事業者にとってのコストはルーターの購入代金と電気代にのみということになる。今後料金体系は多様化していくとされているが、現在提供されているルーターの相場は5万円ほどだ。

2019-06-14 10.29.01
credit : helium

話題のポイント:Heliumの特徴は2つあります。一つは上述した通り、従来とは全く異なるビジネスモデルで、無線ネットワークの構築を可能にするという点。そしてもう一つは、ルーターを立てるユーザーのインセンティブを分配し、かつIoTネットワークの信頼性を向上させるためにブロックチェーンを用いているという点です。

Heliumにはブロックチェーン上に流通する独自トークンが存在しており、ネットワークを支えているルーター(兼他のルーターを検証するノードとも定義できる)には報酬としてトークンが支払われるシステムになっています。したがって必ずしもIoT事業者だけがルーターを設置するのではなく、個人が報酬を受け取るためだけにネットワークにリソースを提供するケースも存在するということです。

ただ、多くのユーザーが自らリソースを提供し合うネットワークを作るには、インセンティブ設計、すなわち誰にどのくらいの報酬を与えるのかというモデルが上手に構築されていなければなりません。トークンの価格が仮想通貨市場全体の相場に大きく影響を受ける場合、そのしくみ作りは簡単ではありません。

そして、デバイスの位置情報を安全に保存・共有するためにもブロックチェーン技術は一役買っています。Heliumが想定するユースケースとして、自転車盗難防止や犬の迷子を防ぐための位置情報センサーがあることから、各デバイスの位置情報に信頼性を持たせることが非常に重要な要素となります。

2019-06-14 10.29.15
想定されるユースケース credit : helium

そのため、Heliumは各デバイスの位置情報を3つ以上のHotspotの位置情報を元に三角測量で算出し、それらのデータを分散的な合意・検証機能のあるブロックチェーンに保存することで、ネットワークの信頼性を向上させています。

現状、Heliumネットワークを利用しているのは、2Gレベルの比較的低い速度に耐えうるユースケース(位置情報やセンサーデータの取得)を構築する事業者のみですが、今後は3~5Gなどにも対応していくとされています。一般普及が本当に可能なのかが気になるところではありますが、今回の調達はその期待値を表す一つの指標となったのではないでしょうか。

 

ニュースレターの購読について

毎日掲載される記事の更新情報やイベントに関する情報をお届けします!

----------[AD]----------