
東南アジアの配車サービス大手 Grab が、タイの大手金融機関カシコン銀行から5,000万米ドルの資金調達に成功した。同銀行が国際出資したのは、今回が初めてである。
この取引は戦略的パートナーシップと位置付けており、Grab Financial のモバイル決済プラットフォーム GrabPay のタイ進出を目指す。カシコン銀行は Grab アプリ内で提携モバイルウォレット「GrabPay by KBank」をローンチする予定だ。
タイで GrabPay を利用すれば、オンラインショッピング、2者間の送金、サービス決済をアプリ経由で行うことが誰でも可能となる。また、タイ政府が電子決済スキーム「PromptPay」を推進していることにより、QR コードを導入しているタイ国内の加盟店で GrabPay by KBank がアクティブ化次第使えるようになる。
同ウォレットは2019年初めにローンチする予定。また、2019年からカシコン銀行のアプリ「K PLUS」と Grab アプリの統合が開始される。
2社は今後、それぞれの顧客ベースに商品を共同で提供していくため連携を図っていく。その商品にはカシコン銀行の事業主向け融資、法人向け輸送費管理ツールGrab for Business、Grab の広告ソリューションが含まれる。
カシコン銀行の頭取 Patchara Samalapa 氏は報道声明で以下のように語っている。
カシコン銀行には「東南アジア地域で最高のデジタルバンクになる」という大きな野心があります。今後、革新的な金融商品を共同開発できるのを楽しみにしています。これにより、カシコン銀行は急速に成長しているデジタル経済に進出することが可能となるのです。
このカシコン銀行との取引は、今年開始した Grab の積極的拡大戦略の中で、最近行われたものである。同戦略を通じ、Grab は東南アジア初の国境を超えたモバイルウォレットを目指す。
Maybank、OVO、Moca、Bangko Sentral Ng Pilipinas との提携で、GrabPay ウォレットはマレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンの4ヶ国で利用可能となった。
先月、GrabはMastercardとも大規模な契約を結び、プリペイドカード(バーチャルも含む)をローンチする。これによりMastercardを通じ、ユーザはPOS端末で商品を購入できるようになる。
Grab Financial のシニアマネージングディレクター Reuben Lai 氏は、プレス声明で以下のように語った。
弊社は消費者の立場に立って、キャッシュレス決済の課題に取り組んでいます。ユーザは購入時に e ウォレットを使い分けるのが煩わしいのです。大手の金融機関に自社プラットフォームを開放することにより、ユーザは Grab プラットフォームを超え、露店からeコマース、オンラインサービス、金融サービスに至るまで様々なタイプのサービスを決済できるようになります。
つい昨日、Grab は韓国の自動車大手ヒュンダイから2億5,000万米ドルの資金を確保した。
同社は今年になって立て続けに資金調達を行っており、トヨタ自動車、マイクロソフト、Booking Holdings、Oppenheimer Fundsなどから出資を受けた。2018年の目標資金調達額は30億米ドルだと言われている。
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