
ピックアップ:Ecobank Fintech Challenge 2020
ニュースサマリー:ガーナとアフリカ全土にフィンテックとAIソリューションを提供するNokwaryは、アフリカにおけるフィンテックスタートアップの登竜門「Ecobank Fintech Challenge 2020」で優勝したことを発表した。同社は現在、メッセージングアプリWhatsAppを利用したバンキングソリューションを軸に事業展開をしている。
詳細な情報:Ecobank Fintech Challengeは、アフリカの金融コングロマリットEcobankが毎年主催するもの。今年は、アフリカ全土600社以上のフィンテックスタートアップから応募があった。
- Ecobank Fintech Challengeはアフリカ大陸の全てのフィンテック企業に応募資格がある。上位3位に選ばれた企業には5,000ドル〜1万ドルの賞金のほか、Ecobankフェローシップへの参加やグループとの戦略的パートナーシップの検討、Ecobankの展開する33カ国のアフリカ市場参入時のサポートといった権利が与えられる。急成長中の注目企業や有名企業も複数最終選考に残る中、最終的にはまだサービスのローンチにも至っていないほぼ無名のガーナ発Nokwaryが優勝を納めた。
- 同社のサービスはボットに対して普段通りに自然な要求を伝えるだけで、対話形式でスムーズかつ効率的に送金・決済処理を行う。Whatsappユーザーは既に各金融サービスの提供するボットを利用してWhatsapp上から取引などを行っている。表示されるメニューの中から自分の要望に該当する番号を入力し、1ステップずつ処理を進める形式を取る。
- 現在はガーナの公用語でもある英語でサービス開発が行われている。今後、ガーナのローカル言語(※ガーナには公用語と別に政府公認言語が9つ存在している)やその他アフリカ各国の諸言語にも対応していく予定。
- サービスはテキストメッセージだけでなく、音声メッセージにも対応。 全ての国民が水準の高い教育を受けられるわけではないガーナや、その他アフリカ諸国で、文字の読み書きが不得意な人たちも日ごろから音声メッセージを多用し、Whatsappでのコミュニケーションを取っていることに対応したもの。金融包摂やアフリカでの事業展開という点から、音声メッセージにも対応することは非常に重要といえる。
- サービスローンチ前であるものの、アフリカ全土へのサービス展開が現実的なものとなったNokwaryのサービスはEcobankの支援を受け、今後数カ月以内でのローンチを目指している。
背景:主催するEcobankはサブサハラ以南を中心に、アフリカ33ヵ国で営業するトーゴの首都ロメに本部を置く金融コングロマリット。西アフリカ・中央アフリカでは独立した銀行として確固たる地位を築いている。WhatsAppは180か国15億人のユーザーがいる世界で最もユーザー数の多いメッセージングアプリ。アフリカ・中南米・ヨーロッパの多くの国では最もポピュラーなメッセージングアプリとして使用されている。
執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志
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