AppleとSONYが買収交渉突入「Wondery」、ポッドキャスト市場に起こる引き抜き合戦

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Image Credit :Wondery

ピックアップ:Apple, Sony both discussed buying podcast network Wondery

ニュースサマリー:Podcastコンテンツスタジオ「Wondery」の買収交渉が報じられている。11月前半にFortuneが報じたもので交渉に参加しているのは最大で4社。そのうちの2社はAppleとSonyとされ、両者共に自社コンテンツの拡充に狙いがあるとされている。Wonderyは2016年創業のスタートアップ。昨年のシリーズBでは1000万ドルを調達し、これまでに合計1500万ドルの資金調達に成功している。また、Crunchbaseによれば同社のバリュエーションは1億ドルから5億ドルの範囲であるとされている。

話題のポイント:北米中心にポッドキャスト配信が当たり前となりつつある今、巨大プラットフォーマーたちによる囲い込み合戦が始まっています。中でも顕著にポッドキャストコンテンツの買収を進めていたのが、Spotifyでした。例えばSpotifyでは、コメディアンのジョー・ローガン氏と1億ドルの専属配信契約したことなどが話題となっています。

Appleにしてみれば強気な囲い込み戦略を進めるSpotifyに対抗し、Apple Musicにおけるポッドキャストのポジショニングを強めたいところです。また、今回のWonderyの買収交渉としては報じられていませんが、Amazonもポッドキャスト配信をAudibleで開始しています。

こうした動きを考えると、ポッドキャストの巨大プラットフォーマーの座を争う「Apple vs Amazon vs Spotify」の構図が浮かび上がってきます。特に3社はいずれもサブスク事業を展開していることから、コンテンツ力を高めてユーザーを引き付ける戦略が有効そうです。Spotifyがコメディアンと大型契約を結んだように、ゲーム配信市場で起きているような有名な配信者の取り合いが始まる可能性は大いに考えられます。

Image Credit : a16z

Andreessen Horowitzが昨年まとめて伝えている、ポッドキャスト市場のデータ分析によれば、米国における1週間当たりの平均的なポッドキャスト利用時間は6時間37分。また、エピソード数に換算すると平均して週に7つのエピソードを消費することを明らかにしています。

巨大プラットフォーマーによる引き抜き合戦によって、コンテンツの質の向上やポッドキャスト機能自体のUXアップデートが進むことになり、より消費しやすい設計に近づいていくのではないでしょうか。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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