製品マスタSaaS開発のLazuli、Coral Capitalから5,000万円をシード調達——松尾豊氏がアドバイザーに就任

SHARE:
前列左から:國貞航氏(CXO)、池内優嗣氏(COO)、萩原静厳氏(現 CEO/CTO)、松尾豊氏(東京大学大学院教授)
後列左から:澤山陽平氏、James Riney 氏(共に Coral Capital パートナー)
Image credit: Lazuli

製品マスタ SaaS「Ninja DB(仮称)」を開発する Lazuli は5日、シードラウンドで Coral Capital から5,000万円を調達したことを明らかにした。また、東京大学大学院教授の松尾豊氏を AI アドバイザーに迎えたことも明らかにした。

Lazuli は、リクルート出身でトレタでデータソリューション部長を務め、データサイエンス企業の FUTUREWOODS や AI コンサルファームの FUTURE VALUES INTELLIGENCE(FVI)でそれぞれ CEO や取締役を務めた萩原静厳氏(現 CEO/CTO)らにより創業。共同創業メンバーの池内優嗣氏(COO)や國貞航氏(CXO)らもまた、トレタや FVI で萩原氏と仕事を共にした。

e コマース、POS データなど多数の商品を効率よく扱うには製品マスタが必要になる。製品マスタはメーカーで定められていることが多いが、当然ながら、あるメーカーの製品マスタには自社製品の情報しか含まれていない。小売業などにとっては複数メーカーの商品を扱うことなるわけだが、採番ルールや情報フォーマットについても各社各様である。

ニッチな業界で使われる製品については、電子流通が当たり前となりつつある現代においてもマスタが存在しないケースもある。マスタが存在しない状況では、メーカーではなんとかなっても、卸売業や小売業の現場では製品を特定できない問題が発生するので、そこでしか利用できないローカル版のマスタが生まれることになる。

e コマースのバックヤードなどでは、このローカル版のマスタの作成を手作業で行っていることが多い。同じような作業を複数社が行っているわけで、労働集約型のムダな作業である。そしてローカル版のマスタの乱立は、本来世の中で一意であるべき製品マスタを、だんだん理想の形から遠ざけることになってしまう。

ここでいう卸売業や小売業の企業などが、例えば、業界団体などを通じて協調しあってマスタの統合に動くようなモチベーションも働きづらい。ローカルで作成された製品マスタは、彼らにしてみれば血と汗と結晶であり、それを公開して統一されたものにするのは、競合優位性を損いかねないと考えるからだ。かくして、今日も日本のどこかで、各社がローカル版のマスタを作り続けている。

Ninja DB は、こうした製品マスタを統合し、各社が SaaS として利用できるようにするものだ。マスタを統合する過程においては、「ある製品のデータとある製品のデータが同じ一意のもの」として認識させる名寄せの作業が生じるが、この名寄せを Lazuli のメンバーが培った独自アルゴリズムにより自動で行い、マスタを〝この上なくキレイなもの〟にするのが目標だ。

一般商材をターゲットにしている。オフラインのリテールでは、モノを売るということに力を傾注していて、マスタの不備から、仕入れ・在庫管理・販売に至る一連のプロセスで DX が進まない大きい理由だったりする。

マスタが一元化されると、商品流通におけるトレーサビリティにも大きく寄与するだろう。例えば、ある商品の業界全体カテゴリのトレンドなどは、マスタが無いから細かく分析できていないものも多い。将来的には、サブライチェーンの上の方まで行けるといい。(萩原氏)

Lazuli ではさまざまなユースケースを求めて、業界各社との PoC を開始している。今回アドバイザーに就任した松尾氏とは以前から親交があり、共同研究を行い数多くのアルゴリズムをサービスにしてきたという。同社では今後、世界に向けた革新的なサービスを提供していけることに非常にワクワクしている、としている。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する