Autodeskによる建設SaaS企業の連続買収に見るVertical SaaSの現在地

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Image Credit : Autodesk

ピックアップ:Why Autodesk Just Spent $1.15 Billion On Two Construction Tech Startups

ニュースサマリー:図面作成ソフトウェアを提供するAutodeskは2018年にPlanGridを8億7,500万ドル、同時期にBuildingConnectedを2億7,500万ドルで買収している。買収した両社は共に建設系のテックスタートアップだ。

重要なポイント:建設ソフトウェアは、ソフトウェアの中で急成長しているカテゴリーの一つ。Autodeskとしては、BuildingConnectedを買収し、請負業者とサプライヤーや下請け業者のマッチングプラットフォームを手に入れ、設計から建設までのプロセスを一気通貫で扱うことを目指す。また、PlanGridはデジタル設計図と現場レポートを提供するのに最も人気のあるアプリの一つで、同領域の機能充足を目指す目的があるようだ。

詳細情報:急成長を続けるBuildingConnectedがAutodeskの傘下に入ったのは、北米以外の地域に進出する際のネットワークの有効活用が見込めるとの算段だろう。SaaSは大きく二分され、ひとつ目は業界横断で利用される人事・マーケティング・セールスなどのソフトウェアである水平分業的なSaaSがある。ふたつ目は、建設・物流・製造・小売りといったインダストリー特化のドメイン知識を盛り込まれた垂直統合型のSaaSがあり、今回の動きはまさにこの動きの中での成長戦略であると言えるだろう。

  • SaaS全体の市場規模は、グローバルでは16%で成長し2022年には15兆円規模に至り、日本国内では年平均成長率12%で2023年には8,200億円に到達すると予測されている。また、水平分業なSaaSもまだまだ成長の余地はあるものの、今後は垂直統合型のSaaSが成長のドライバーになっていくという考察もある。
  • その潮流にまつわる日本国内のマクロな動向として、国土交通省が7月末に「インフラ分野のDX推進本部」を立ち上げた。ここでは「非接触・リモートを前提とした公共事業への転換」「インフラのデジタル化を推進し2023年までに小規模なものを除く全ての公共工事についてBIM/CIM活用に転換」、「熟練技能労働者の技能のAI活用による継承」、を軸にインフラ領域のデジタル変革が推進される。
  • この推進本部は、スタートアップや大学との連携や、革新的技術によるオープンイノベーションの推進も表明し、PoCや技術開発に必要な実費を計上するなどより多くのスタートアップエコシステムからの参入を目指す。
  • 近年動向が活発な日本の建設関連のSaaSスタートアップとしては、アンドパッド・助太刀・Photoructionといった会社が挙げられる。
  • アンドパッドは、ANDPADという現場の効率化から経営改善までの一元管理を実現する施工管理アプリを2,000社以上の企業に導入している。今年7月には、40億円の資金調達、10月には追加で20億円の調達に成功している。クラウドサインやSalesforceを始めとした水平分業なSaaSソリューションを提供する企業を始めとしたパートナーリングを促進し、建築企業の業務全体のDXを目指す。
  • 建設業の受発注者のマッチングアプリ「助太刀」は建設現場の人手不足問題の解決を目指す。今年7月からは、求人情報を掲載できるサービス「助太刀社員」の提供を開始し、建設業の人材採用を支援する。2018年に5.3億円、2019年に7億円の資金調達を実施し、設立した2017年のその翌年からの2年間で累計13億円の資金調達をしている。
  • 建設現場を見える化して生産性と品質を向上させる建築・土木の生産支援クラウドが「Photoruction」だ。今年5月には、5.7億円の資金調達を実施し、開発強化と共に、建設業特化AIを活用した建設BPO事業の立ち上げを公表している。

背景:McKinseyによると、建設業界は生産性が最も低い業種の一つでデジタル化の遅れがその要因として指摘されている。しかし、それと同時に建設系のソフトウェアは急成長しているカテゴリーの一つで、当記事で挙がったようなスタートアップの台頭による生産性向上のポテンシャルは大きい。

執筆:國生啓佑/編集:岩切絹代

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