未上場株式管理「FUNDBOARD」や株主総会開催効率化「株主総会クラウド」を運営するケップルは29日、三井住友信託銀行の CVC「SuMi TRUSTイノベーションファンド」から資金調達したことを明らかにした。同 CVC からスタートアップへの出資は、今回同時期に発表されたオルツへの出資と合わせ初めてのものとなる。調達金額は非開示。
ケップルにとっては、野村総合研究所や日本経済新聞社からの調達に続くものだ。同社はこれまでに判明しているだけで3億8,000万円を調達している(今回調達分を含まず)。
SuMi TRUSTイノベーションファンドは、2020年9月に組成されたファンドで、ファンド規模は50億円(GP:SBIインベストメント、LP:三井住友信託銀行)。三井住友トラスト・グループが昨年発表した「中期経営計画(2020~2022年度)」で「イノベーション企業取引推進」を掲げており、スタートアップとのオープンイノベーションを実現するための投資ビークルである。
今回の出資を受け、ケップルと三井住友信託銀行は業務提携を行う。
ケップルは、FUNDBOARD や株主総会クラウドを通じて集まったスタートアップや投資家に対し、株価算定、財務デューデリジェンス、VC のファンド決算支援といったプロフェッショナルサービスを拡大する。三井住友信託銀行はスタートアップ・コミュニティへの関わりを強化し、CVC の立ち上げを含めた事業会社へのオープンイノベーション支援を強化する。
公認会計士・税理士で、ケップル代表取締役の神先孝裕氏は、今回の提携の背景について次のように語った。
信託銀行はこれまでも IPO 支援をしてきたが、スタートアップの IPO 事例が増えてきた今、スタートアップや投資家のエコシステムにより関わりたいと考えている。ただ人的資源では限界があり、そのプラットフォームの存在に共感してもらうことができた。
FUNDBOARD や株主総会クラウドは共に未上場企業の経営のための SaaS だが、よりユーザにとっての利便性を高めたり、アップセルを図るにはより包括的なサービスの提供が求められる。プロフェッショナルサービスを強化し、経営に必要なサービスをワンストップで提供するのにはそんな背景があると見られる。このような動きは、アメリカの同業 Carta などにも見られる傾向だ。
神先氏によれば、ケップルは年内にも FUNDBOARD と株主総会クラウドを統合する計画で、機能をブラッシュアップし、ユーザであるスタートアップや投資家の利便性を高める計画だ。また、VC のファンド決算支援の機能を持つことから、最近増えているマイクロファンドへの決算支援なども強化していきたいとしている。
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