郡裕一氏や井上加奈子氏ら率いる日欧向け30億円ファンド「NEXTBLUE」がファーストクローズ———出資先14社も明らかに

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NEXTBLUE パートナーの3人。左から:Vincent Tan 氏、井上加奈子氏、郡裕一氏
Image credit: Nextblue

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

東京に拠点を置くベンチャーキャピタル NEXTBLUE は25日、2020年4月に組成した30億円規模の1号ファンドが約半分の資金を調達完了しファーストクローズを迎えたことを明らかにした。このファンドには、丸井グループ(東証:8252)、システム開発の Q’sfix、ギフティ(東証:4449)の3社が出資したことを表明している。

このファンドの投資領域は、Future of Work(未来の働き方)、Future of Health(未来の健康)、Future of Lifestyle(未来のライフスタイル)。日本ではシードステージ、ヨーロッパでは日本市場参入を視野に入れるため、PMF(プロダクトマーケットフィット)完了後のプレシリーズ A ステージのスタートアップが対象だ。

NEXTBLUE は、Otsumu や REALITY ACCELERATOR 創業者の郡裕一氏、共に BCG や D4V に勤務経験のある井上加奈子氏と Vincent Tan 氏の3人により設立。日本のスタートアップ支援とともに、日本と社会課題が似ているヨーロッパのスタートアップの日本市場進出支援を当初から目標の一つに掲げている。進出に当たっては JV を設立し、日本でハンズオン支援を行うという。

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ヨーロッパの投資市場はまだコンサバティブで、アーリーやシードのリスクマネーが少ない。また、(バリュエーションが極めて高いアメリカなどと比べ)レイシオを確保しやすいこともありヨーロッパを選んだ。

有望なヨーロッパのスタートアップを日本に連れてきて、日本拡大を手伝うのも我々のミッションだ。ある程度の金額を入れてそれなりのポーションをもらうが、その分コミットして、JV を作って、外部のパートナーと協力し、日本での事業を成功に導きたい。(井上氏)

郡氏はこれまで REALITY ACCELERATOR を通じてスタートアップへの投資活動を行なってきたが、その活動は NEXTBLUE に統合させる模様。主に、郡氏と井上氏は東京から日本のスタートアップを、Tan 氏は現在はベルリンを拠点にヨーロッパのスタートアップをウォッチしている。

NEXTBLUE が1号ファンドから出資したスタートアップの顔ぶれも明らかになった。AZOO とアーリーミュージックカンパニー・ジャパンの2社については、NEXTBLUE は昨夏実施したアクセラレータプログラム「BATCH 2020」から輩出されたスタートアップだ。

<日本のスタートアップ>

  • AZOO …… 中小ホテルの運営の自動化・一元化を実現するサービス「Wasimil」を提供
  • アーリーミュージックカンパニー・ジャパン …… クラシック音楽のマイナスワン音源販売プラットフォーム「smart accompanist」の提供
  • Indigames …… カジュアルゲームの開発、及び高品質のゲーム開発エンジンの提供
  • カルクル …… 垂直型 AR-Audio コンテンツプラットフォーム「Aura」の開発と提供
  • matsuri technologies …… 民泊向け SaaS や短期賃貸プラットフォームを提供
  • SecureNavi …… ISMS オートメーションツールの提供
  • プレカル …… 処方箋代行サービス「Precal」を提供
  • Rockets …… 顧客開拓/リード獲得営業プラットフォームを提供

<ヨーロッパのスタートアップ>

  • Ohne(イギリス) …… オーガニック生理用品のサブスクサービスと PMS を緩和する製品の提供
  • Xapix(ドイツ) …… データの統合、AI活用に適したデータの整理を自動で行うプラットフォームの提供
  • FounderNest(スペイン) …… AIによるスタートアップと投資家のマッチングプラットフォームの提供
  • BreakthroughX Health(ドイツ) …… 多発性硬化症患者向けアプリの提供
  • Lana Labs(ドイツ) …… AI によるプロセスマイニングツールの開発・提供
  • Artivive(オーストリア) …… AR アート作成ツール、AR アートプラットフォームを提供

NEXTBLUE は、日本のスタートアップをヨーロッパ進出させることも視野に入れているようだ。既に海外オフィスや支店を持っているスタートアップにも支援していきたい、という。

シードラウンドを対象にしたファンドは増えてきたが、ハンズオンするところはまだ多くない。郡はエンジニアのバックグラウンドがあり、私や Vincent も含めパートナー3人は 0→1 フェーズに強みがあると思う。そこに価値を感じてくれるスタートアップを積極的に支援していきたい。(井上氏)

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