イスラエル発AI書き起こしスタートアップのVerbit、シリーズDで1億5,700万米ドル調達しユニコーンに

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Image credit: Verbit

Verbit は8日、1億5,700万米ドルのシリーズ D ラウンドの完了を発表した。CEO の Tom Livne 氏は、今回の資金調達により、ポストマネーの時価総額が10億米ドル以上になったことを指摘し、この資金は、Verbit が IPO に向けて準備を進める上で、地理的な拡大をサポートするものであると述べている。

音声・音声認識技術の市場は、銀行、医療、自動車などの業界における新たなアプリケーションが牽引し、2025年には318億2,000万米ドルの規模になると予想されている。実際、アメリカでは5人に1人が日常的にスマートスピーカーを利用していると言われており、最近では Google 検索で音声による検索を行う割合が30%を超えたと言われている。

2017年に Eric Shellef 氏、Kobi Ben Tzvi 氏とともに Verbit.ai を共同設立した Livne 氏は、ニューヨークを拠点とするこのスタートアップが、音声書き起こし分野の盛り上がりに大きく貢献すると断言している。

Livne 氏は、プレスリリースの中で次のように述べている。

書き起こし市場は、イノベーションの機が熟している。それが私が Verbit を設立した最初の理由だ。パンデミックに伴うリモートワークへの移行とデジタル化の加速が大きなきっかけとなり、Verbit はすでに急速な発展を遂げている。

今回の新たな資金調達は、当社が上場企業に近づくための新たなマイルストーンであり、戦略的な買収や投資を通じた当社の拡大をさらに後押しするものだ。

AI を活用したテクノロジー

Nuance、Cisco、Otter、Voicera、Microsoft、Amazon、Google などの老舗企業が、Microsoft 365 などの企業向けプラットフォームを含めて、何年も前から対抗製品を提供している中で、Verbit のアダプティブ音声書き起こしキャプションサービスは目新しいものではない。しかし、Verbit のアダプティブ音声認識技術は、99.9%以上の精度で書き起こしができるという。

Verbit の顧客は、まず音声や動画のファイルをダッシュボードにアップロードし、AI による処理を行う。その後、120カ国以上にいる33,000人以上のフリーランサーが、顧客から提供されたメモやガイドラインを考慮しながら、素材の編集とレビューを行う。完成した Verbit の書き起こしは、Blackboard、Vimeo、YouTube、Canvas、BrightCode などにエクスポートできる。Web フロントエンドにはジョブの進捗状況が表示され、ユーザはファイルの編集や共有、各ファイルへのアクセス権限の設定、インラインコメントの追加、レビューの依頼、利用レポートの閲覧などが可能だ。

顧客は最低1万米ドルのコミットメントをしなければならないが、この価格設定は明らかに配当をもたらしている。Livne 氏によると、パンデミック関連の逆風にもかかわらず、年間の経常収益は2020年から6倍に成長し、現在は1億米ドル近くになっているという。

急成長

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Verbit の商品群は、ハーバード大学、NCAA(全米大学スポーツ協会)、ロンドンビジネススクール、スタンフォード大学など、400を超える教育機関や商業顧客(2019年1月時点では70だった)の健全な顧客基盤を獲得している。最近、キャプションプロバイダーである VITAC を買収した Verbitは、法律、メディア、教育、政府、企業などの分野で1,500社以上の顧客をサポートしており、プロフェッショナル書き起こし・キャプション市場において「No.1プレーヤー」であると主張している。顧客には、CNBC、CNN、Fox などがある。

Verbit は今後、新たに200人のビジネスおよび製品担当者を追加し、保険、金融、メディア、医療などの分野を開拓していく予定だ。そのために、最近、メディア企業向けに、わずか数秒の遅延で済む「Human in the Loop(訳注:人間参加型。人工知能などによって自動化・自律化が進んだ機械やシステムにおいて、一部の判断や制御にあえて人間を介在させること。)」の書き起こしサービスを開始した。また、非営利団体である Speech to Text Institute と合意し、法廷報告や法律関連の書き起こし技術への投資を開始した。

Verbit のシリーズ C ラウンドは Sapphire Ventures がリードし、Stripes、Vertex Ventures、HV Capital、Oryzn Capital、CalTech といった既存の投資家に加えて、Third Point、More Capital、Lion Investment Partners、ICON fund が参加していた。2020年11月に6,000万米ドルを調達したシリーズ C ラウンドに続き、今回の調達で設立4年目の同社の調達資金総額は2億5,000万米ドルを超えた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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