Robloxがチーム向けDiscordの「Guilded」を買収——ゲーム・コラボレーション市場の可能性/GB Tech Trend

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Robloxによる買収が報道されたGuilded。Image Credit: Guilded。

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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大手サービスの牙城が崩されつつあります。

2億人以上のユーザーを抱える世界最大のゲーム用チャットプラットフォーム「Discord」。2018年の1.5億ドルの調達ラウンドでは、企業評価額が20億ドルを超えています。この巨大にプラットフォームに挑むのが、同じくゲーマー向けチャットプラットフォームを開発する「Guilded」です。8月17日に大手ゲームプラットフォーム「Roblox」によって買収されたという報道がありました。

同社は、プライベートエクイティの投資会社「Matrix Partners」がリードする700万ドルのシリーズAラウンドを昨年実施しています。このラウンドに参加した投資家には、Initialized Capital、Susa Ventures、Sterling.VCが含まれています。

Guildedは、ゲーマーチームメンバー間の円滑なコミュニケーション、しっかりとした組織運営が求められる競争ゲームやeSportsのために設計されたチャットプラットフォームを開発しています。

同サービスが狙うのは、Discordが取りこぼしつつあるチーム層でした。Discordが多人数コミュニケーションを想定している一方、Guildedはやや少数のチーム構成で、密なコミュニケーションを必要とするシチュエーションを狙っています。ゲーマーチームが必要とするスケジューリングおよびカレンダー機能が差別化ポイントだそうです。

他方、膨大なユーザーベースを確立しているDiscordは、オンラインストア「Nitro」を持っています。99ドル/年または9.99ドル/月を支払うことで、ストアから1,000ドル以上の価値のあるゲームに無制限にアクセスでき、追加のチャット機能が使えるようになるサービスです。「コミュニケーションプラットフォーム」と「コンテンツサービス」の2軸を結びつけ、サブスク収益化に成功しているのです。加えて、Discordには個人の開発者が発表するゲーム収益の90%を還元する仕組みがあります。

PC用デジタルゲームストアとしては最大手「Steam」や「Fortnite」の開発企業であるEpic Gamesが売上の30%を持っていってしまう点において価格優位性があるのです。

さて、DiscordとGuildedの関係性は、Skypeに挑んだZoomに似ています。ユーザーが求めているものを作れば、市場が巨大なため競合であっても成長が望めることを示しています。例えば今回のGuildedに関しては、「チーム性」に重きを置いて、市場シェアの獲得に取り組んでいました。Robloxはチーム・コラボレーションに強いGuildedを買収することによって「個人」ではなく「ゲーム・チーム需要」を丸ごと抱えようと考えているはずです。

前述したようなゲーマー向けエコシステムがDiscordの強みですが、仮にGuildedが同じようにチームゲーマーに特化した関連サービスをサブスクで提供したりすれば脅威になりそうです。

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