人工タンパク質繊維開発のSpiber、カーライルやクールジャパン機構などから344億円を調達——世界的アパレルブランド向けに量産体制確立へ

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Brewed Protein
Image credit: Spiber

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから。

Spiber(スパイバー)は、山形県鶴岡市を拠点に植物由来の人工タンパク質繊維素材「Brewed Protein(ブリュード・プロテイン)」を開発するスタートアップだ。同社は9日、カーライル、Fidelity International、Baillie Gifford、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)などからの資金調達で244億円、「事業価値証券化(value securitization)」により100億円を調達したと発表した。

事業価値証券化のアレンジは三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券が務めた。この証券化における貸付人兼クレジット投資家は明らかにされていない。今回の資金調達は Spiber にとって、1月に実施した250億円の資金調達に続くものだ。1月の調達では事業価値証券化のアレンジは三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券が務め、三菱 UFJ 銀行が当初貸付人兼クレジット投資家として参画していた。

Spiber は、山形県鶴岡市にある慶應大学先端生命科学研究所からスピンオフする形で、2007年に設立されたスタートアップ。創業からこれまでに、推定で700億円以上を調達している。報道によれば、同社の現在の時価総額は1,330億円。

Spiber は地球上で最も強靭と言われるクモの糸に着目し、これを人工合成した繊維素材「QMONOS(クモノス)」を開発。ただ、クモの糸のタンパク質フィブロインは強靭ではあるものの水に濡れると超収縮が起こるため、これを元にした QMONOS を使った製品は、水に濡れた際の寸法安定性を保つことが難しかった。Spiber ではフィブロイン遺伝子から超収縮を生み出すアミノ酸配列の特徴を推定し、それを取り除くことで高い寸法安定性を示すタンパク質繊維を開発。QMONOS を Brewed Protein に改称した。

Brewed Protein は、植物由来の糖類(グルコースやスクロース)から微生物発酵により生産され、石油由来の原料を必要としない。アパレル分野では脱マイクロプラスチック脱動物由来の材料ニーズ、輸送分野における軽量化ニーズ、医療分野における人工毛髪の基幹素材として注目を集めている。

同社では Brewed Protein を使った、名前非開示のグローバルアパレルブランドとの共同プロジェクトを進めており、今後の需要を充足させるべく、年内に初の量産拠点となるタイ・ラヨン工場、その後速やかにアメリカ工場の立ち上げを進めるとしている。

via PR TIMES

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