上場スタートアップ3社の営業を牽引したプロが構築、予実管理SaaS「GRAPH」が2,000万円をシード調達

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グラフの皆さん。左から:インサイドセールス担当 西宮莉来氏、COO 飯塚航己氏、CEO 藤田健太氏、カスタマーサクセス担当 島田彩氏、CTO 中本康太郎氏
Image credit: Graph

<15日午後2時更新> 最終段落で DIGGLE に関する記述を訂正、追記(赤字部)。

営業予実管理 SaaS「GRAPH」を開発・運営するグラフは15日、シードラウンドで Coral Capital から2,000万円を調達したことを明らかにした。調達額には日本政策金融公庫からのデットが含まれる。なお、同社は先月、GRAPH を正式ローンチしている。調達した金額は、GRAPH の新機能開発および人材採用に使われる見込みだ。

営業の予実管理に主眼を置いたツールは複数存在する。その代表的なものが SFA(セールスフォース・オートメーション)だが、ある調査によると、SFA 導入社のうち82%が導入によって課題を解決できていない、と回答したという。日常のデータ入力が煩雑であったり、また、分析された結果を閲覧するまでのプロセスが複雑だったりするためだ。

ダイエットであれば、まずは毎日体重計に載って、現在の体重を把握し追いかけてるところが、全ての始まりとなるように、営業活動、とりわけ、トランザクションセールスにおいても、毎日数字を追い続けることが目標達成に向けた営業の予実管理の原点だ。GRAPH は、直感的にわかり安い UI/UX を構築し、通常のツールなら数時間かかる分析を数分でできるように工夫している。

「GRAPH」
Image credit: Graph

グラフを昨年11月に設立した藤田健太氏(現在、代表取締役)は IPO したスタートアップ各社で、営業組織の立ち上げ統括や執行役員を歴任した経験から、適切な予実管理の実現が営業組織 DX の肝であると痛感し GRAPH を開発した。あらゆる営業の現場に導入可能だが、藤田氏は自身の経験を生かし、全国展開する自由診療クリニック、多店舗展開する士業事務所から導入を広げる計画だ。

こうしたリアルな B2B や B2C などでも営業手法はオンラインのそれと似ていて、新規の顧客流入は Web マーケティングから得て、診療や業務委託を提供する中で、治療やコンサルティングの提案を行い、売上を向上させていく。そういった活動の元になる足元の情報を、GRAPH は現場担当者(クリニックならコンシェルジュや士業を営む人に伝える役割を持つ。

GRAPH は、あくまで営業の現状をわかりやすくするためのもの。目標達成を支援するツールではない。(藤田氏)

GRAPH は現時点ではスタンドアローンで動作するが、年内にも Salesforce やキントーンなどの CRM や SFA ツールと API 連携させる予定。また、CRM や SFA の導入にまでは至っていないユーザをターゲットとして、営業活動の未来の〝ヨミ〟の管理に特化したツールを近日中にリリースする計画だ。

この分野には、経営管理業務効率化ツール「Loglass」を運営するログラスなど複数のスタートアップが存在する。今回 GRAPH に出資した Coral Capital は、500 Startups Japan の時代に 予算管理 SaaS「DIGGLE」を開発・提供する DIGGLE に出資しているが、DIGGLE は経営企画部や経理向けのツールであるのに対し、GRAPH は営業現場向けのツールであるため、互いに競合しないとの見解を明らかにしている。

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