「Web幹事」「動画幹事」からDXの相談窓口に進化、ユーティルがシリーズAで2.4億円を調達

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ユーティルの皆さん。中央が創業者で代表取締役の岩田真氏
Image credit: Utill

2018年に「Web幹事」、2020年に「動画幹事」というサービスを紹介した。いずれも岩田真氏らが2015年4月に設立したスタートアップ、ユーティルによるものだ。Web 制作、動画制作をどの会社に依頼していいのかわからない中小企業向けに、要件に合わせて最適な制作会社を紹介してくれるというコンシェルジュサービスだ。

今からちょうど1年前、動画幹事がリリースされた昨年10月のインタビューで、岩田氏は次のようにコメントしていた。

業界的には相場はこれくらいだけど、あなたの会社の予算はこれくらいだから、これくらいの乖離がある。このくらいのレベルの会社に頼むなら、このくらいの予算は必要ですね、という相談に載っている。「suumo」 や「ほけんの窓口」に近いと思う。(中略)

Web 幹事の単月黒字化は今年(2020年)達成できたので、動画幹事を皮切りに、それ以外にもカテゴリを増やしていきたい。

同社は新型コロナウイルスの経済的影響をほぼ受けておらず、オンラインでのリード獲得やインサイドセールスなど、非接触型営業の重要性が高まる中で、Web 制作や動画制作の需要、さらには、デジタルトランスフォーメーション(DX)全般への需要が高まることは容易に推測できたが、それが現実のものとなった。現在では月間数百件のペースで DX 全般への問い合わせが寄せられている。

〝幹事シリーズ〟の一つ、最も初期にリリースされた「Web 幹事」
Image credit: Utill

ユーティルは14日、シリーズ A ラウンドで2.4億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、日本ベンチャーキャピタル、コロプラネクスト、グリーベンチャーズ、岡三キャピタルパートナーズ、サイバーエージェント・キャピタル、basepartners。同社にとっては、2018年11月に実施したシードラウンド(名前非開示の投資家複数から合計5,700万円を調達。デットファイナンスを含む。)に続くものだ。

ユーティルでは調達した資金を使って、企業からの相談を受けるコンシェルジュの増員、DX を求める企業と DX サービスプロバイダとのマッチング効率を上げるための技術を開発するエンジニアの採用、これまでほぼオーガニック流入に頼ってきた顧客獲得について、Web 広告をはじめとしたマーケティング活動に充当する計画だ。この機会に改めての岩田氏の抱負を聞いてみた。

営業担当者がいろいろな企業に足を運んで、さまざまな IT 機器を売ってきた会社としては、大塚商会が有名。彼らのクラウド版みたいなものを作れないかと思っている。

オンラインで、クラウドで営業する、DX ソリューションに特化したポジションの会社は全くいない。ただ、展示会的なものをリプレイスするだけではダメで、そこからもう一歩いかないと、企業の御用聞きにはなれない。(岩田氏)

新型コロナの感染拡大を潮目に、DX ソリューションのマーケティング手法は大きく変わった。マネーフォワード傘下のスマートキャンプは BOXIL シリーズの利用を伸ばし、NTT の地域会社を中心に通信各社もまた、スタートアップが作った SaaS を中小企業へ営業代行や代理店販売する動きを加速している。今年5月にディップが実施した調査では、日本企業のうち「DX できている」 と回答したのは1〜2割程度で、全国に421万社ある中小企業の残りをターゲットとする事業の伸びしろは、まだまだ無尽蔵と言えるだろう。

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