トランスミット、プレシリーズAで1.24億円を資金調達——トヨタの地元から製造業向け生産管理SaaSを世界へ

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トランスミットのメンバー。中央が創業者で代表取締役の実川大海氏。
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<15日7時更新> KUSABI の出資として、 TRiCERA  への出資ラウンドを訂正。

名古屋を拠点に、製造業向け生産管理 SaaS「monit(モニット)」を開発・運営するトランスミットは14日、シードラウンドで1.24億円を調達したことを明らかにした。このラウンドは KUSABI がリードインベスターを務め、Gazelle Capital が参加した。ラウンドステージはプレシリーズ A ラウンドと見られる。調達額には、名古屋銀行と日本政策金融公庫からのデットが含まれる。これは、トランスミットが昨年、Gazelle Capital から資金調達したのに続くものだ(当時、Gazelle Capital にとっては、初号案件だった)。

リードインベスターを務めた KUSABI は、ニッセイ・キャピタル出身の永井研行氏。JAFCO 出身の吉田淳也氏、グロービス・キャピタル・パートナーズ出身の渡邉佑規氏が立ち上げたファンド。ラウンド、チケットサイズ、バーティカルはいずれもフルライン対象だが、事実上アーリーラウンドへの出資が多い。これまでに、グローバルアートマーケットプレイス運営の TRiCERA  のシリーズ A ラウンド、ユーザーヒアリングプラットフォーム「Zerone」運営のトリピアのシードラウンドへの出資参加が明らかになっている。

トランスミットは、2018年7月にシリアルアントレプレナーの実川大海氏により設立(設立時の社名は SWIMMER)。実川氏は、2015年にローンチした美容系 YouTuber 事業とコミュニティメディア展開の MAKEY(メイキー)の創業メンバーの一人だった。MAKEY は同年、Open Network Lab 第10期に採択され、Incuabte Camp 8th で優勝。その後、一部株式をデジタルガレージ(東証:4819)が買収し、4年後には、エイベックスグループ(東証:7860)が買収したことが明らかになっている。

「monit」
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トランスミットは、共同創業者の浅井俊行氏の家業が自動車部品製造販売工場だったことから、生産管理の効率化にフォーカスするところから事業に着手した。monit を使うと、中小製造工場の受注から出荷におけるデータ・案件管理ができ、案件管理に紐づく生産工程管理と、実績に基づく経営分析を行うことができる。以前はスプレッドシートなどを使って納期管理されていたものを SaaS 化することで、現場担当者でなくても事務担当者などが簡単に状況把握でき、現場担当者は品質管理などにより多くの時間を注ぐことができる。

製造業は主に量産系と、量産体制に載せる製品を開発する試作系に大別されるが、トランスミットは当初、量産系から始めるという。愛知県は言わずとしれたトヨタ自動車(東証:7203)の地元であり、県内には世界の他の地域には例を見ない、自動車部品製造に関わるサプライチェーンが構築されている。同社は愛知県の認定を受け、同県認定のスタートアップが入居する施設「PRE-STATION Ai」に入居。愛知県で実証できたモデルを、全国や清華大学のネットワークを使った中国市場展開など、世界へと順次サービスを拡大したいとしている。

製造業の効率向上支援はホットな SaaS 分野の一つだ。昨年から今年にかけ、IoT を使った製造業向け原価管理自動化 SaaS「GenKan(ゲンカン)」、重工業の製造現場向け SaaS「Proceed クラウド」がそれぞれ正式ローンチした。資金調達では共に今年8月、現場向け遠隔支援コミュニケーションツール「SynQ Remote(シンク・リモート)」を開発するクアンドがプレシリーズ A ラウンドで1.2億円、製造業の受発注プラットフォーム「CADDi(キャディ)」を運営するキャディがシリーズ B ラウンドで80.3億円をそれぞれ調達した。

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