販売開始2カ月で40億円ほぼ完売、NOT A HOTELが切り開く「カートで別荘買う時代」と次の課題

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ニュースサマリ:9月末に販売を開始した話題の住宅兼ホテル「NOT A HOTEL」が既に完売近くになっているらしい。ホテルブランドの開発・運営を手がける NOT A HOTEL の創業者で代表を務める濵渦伸次氏が本誌インタビューに現在の販売状況を回答してくれた。

濵渦氏の話によると売り出した40億円分の物件権利の内、那須「NOT A HOTEL NASU」は完売し、宮崎「NOT A HOTEL AOSHIMA」のSurfとGarden、それぞれ2部屋ずつが残っているだけになっているそうだ。また、物件丸ごと購入する「1棟買い」は完了しており、12カ月の権利を共同購入するシェア買いのみとなっている。

9月28日に販売開始してから最初の24時間で15億円分が購入され、8億円以上の値をつけた高額物件は1棟丸ごと購入された。開始2カ月で30数億円分の在庫が購入されたことになる。

話題のポイント:話題のスタートアップが最初のハードルを無事クリアしました。濱渦さんの話によると、描いていたペルソナはドンピシャで、見事に30代から40代の企業経営者が買っていったそうです。高い方から順に売れていったということで、さすがですね、キャッシュです。ローンはほとんどなく完全オンラインで申込。内覧ナシ(物件というかショールームすらないので当然ですが)、翌月には払い込みまで終わっている(今日時点で半数以上が支払済)という夢の世界の話をお聞きしました。

NOT A HOTELについてはこちらの記事をご参照ください。ホテルと物件をアプリで切り替えられる新感覚別荘です。

ちなみに筆者も最近になって不動産を購入したのですが、物件の検討からローン、引き渡しまで1年かかっております。カートに億円物件ブチ込んで2カ月で購入完了する、そんな豪華な方々との格差を実感いたしました。

なお、不動産購入の場合、重要事項説明という儀式があるのですが、これが2021年4月から「オンラインによる重要事項説明」(IT重説) として非対面の本格運用が始まっており、NOT A HOTELもこれを活用して完全オンライン、非対面での売買契約を実現したとのことでした。別荘ってカートで買えるんですね。

そして驚くべきは広告などのマーケティング費用です。通常、マンションなどであればマンションパビリオンのようなショールームに大量の広告チラシ、営業マンなど、多額のマーケティング活動費がかかります。NOT A HOTELは今回、広告は一切なし、ショールームどころか物件はパースだけ(まだ建ってない)、サイトはあるもののまさに最小の手数で販売に成功した、というワケです。ちなみにNOT A HOTELのチームは現在15名だとか。

利用シーンですが、1棟丸ごと購入した方は2名いらっしゃって、その内のお一人は自宅として使われるそうです。海外生活が長く、年の半分を海外で過ごすので不在の時はホテルとして貸し出します。企業購入もあります。迎賓館的な使い方で、ゲストをお招きしたりする場合にも、自社で管理する必要がないので便利じゃんというご意見だったそうです。

そして今回、比較的安価な2000万円台のシェア購入タイプもありました。こういった物件は個人の別荘として購入するも、将来的に飽きる可能性があるので、やはりホテルとして貸し出せる「リスク軽減」が購入の後押しになったとのこと。

在庫はないのか、次に建てるのはいつだという問い合わせが彼らの元に届いているそうで、現在、濱渦さんは全国津々浦々、土地を探し求めて旅しているのだとか。ただ、拙速なスケールにはやや慎重なようです。

というのも今回はやはりボーナス的な側面があったことは間違いありません。億円物件をぽんぽん買える人たちには限りがあるのです。当然ながら数千万円台、濱渦さんの希望としては1000万円台の権利販売にチャレンジしたいというお話なんですね。

つまりマスっぽいところに広げるワケなんですが、この場合、大切になってくるのが住宅ローンです。通常、金融機関が物件を担保にローン商品を開発して購入者に提供するわけですが、金融機関としては物件もまだないこれからのスタートアップに対して目隠しで与信してくれるほど甘くはありません。つまり、お金を借りるのは完全に「個人の与信」に頼らざるを得ない状況で、かなりの富裕層に限定されてしまいます。

濱渦さんもここが次のチャレンジと、来年は実際に購入者に対して物件とホテルサービスの提供を実施し、体験を確立させ、金融機関の信頼を勝ち得たいとお話されていました。

いよいよ物件ができるのが来年の8月から9月頃だそうです。もう感覚的にはいくつか建ってる印象なのですが。

お知らせ:今週金曜日に濱渦さんに特別に公開インタビューの時間をいただきました。12月3日17時から30分、BRIDGE Tokyo Meetupのライブで実施します。濱渦さんに直接質問したい、そんなみなさんのご参加をお待ちしております。

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