4000人が殺到した「NOT A HOTEL」に新展開、福岡に都市型モデルと“ソフトウェア”フランチャイズ開始へ

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NOT A HOTEL FUKUOKA(仮称)

ニュースサマリ:ホテルブランドの開発・運営を手がけるNOT A HOTELは5月19日、都市型コンドミニアムを福岡にて展開することを公表した。初回案件となる「NOT A HOTEL FUKUOKA(仮称)」を2021年冬に販売開始し、2023年春の開業を目指す。また同社はホテルと住宅を切り替えることのできるソフトウェア・運営ノウハウを新規施設や既存のホテルに対して提供するフランチャイズ展開を開始することも公表している。

福岡の初回企画となったNOT A HOTEL FUKUOKAを企画・開発するGood Life & Travel Company(GLTC)はそのフランチャイズパートナー1号となる。GLTCは⼩⼭薫堂⽒が代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズと福岡でホテル事業を営むIMD Allianceの合弁会社。建設予定地は福岡県中央区某所で、分譲されるのは13室。広さは約70平⽶〜120平⽶を予定しており設計は佐々⽊慧建築設計事務所+NKS2 architectsが手がける。

NOT A HOTELはオーナーが自宅として利用するか、ホテルとして貸し出すかを使い分けることができる「ホテル兼住宅」物件を提供する。オーナーは物件の使い分けをアプリで選択するだけで、ホテルとしてのオペレーションや清掃などは全てNOT A HOTELがサポートする。リゾートでの展開を皮切りに、今回は都市型の集合物件を公表した。

福岡のスキームはホテル物件の土地取得や物件に関する企画・建設をGLTCが手がけ、ホテルと住宅を切り替えることのできるソフトウェア・運営ノウハウおよび、稼働後の運用をNOT A HOTELが手がけることになる。稼働後はNOT A HOTELが運営する他のリゾートと同様にこの福岡の物件もオーナーは共同で利用ができるようになる。

話題のポイント:分散化社会の到来を予想し、住環境のアップデートがあるとしたらこのNOT A HOTEL一択じゃないでしょうか。それぐらい衝撃的なモデルです。確かにリゾートの共同所有や不在時の貸し出しモデルはあります。ただ、ここまで物件とソフトウェアを統合したモデルはなかったのではないでしょうか。かつてAppleはOSとハードを融合させ、Windowsにはない体験を提供することで熱狂的な「Apple信者」を生み出したことで有名です。そんな感じです(雑)。

興奮して前置きが長くなりました。NOT A HOTELの仕組みについては前回の記事をぜひご覧ください。

NOT A HOTEL創業者の濵渦伸次さんにお話伺いましたが、2月のサービスデビューをきっかけに4,000件を超える問い合わせがあったそうです。数千万円から数億円の物件ですから、 資産家クラスタにとってもこのアイデアはヒットしたとみてよいでしょう。ちなみにまだ物件はひとつもできていません。

コロナ禍の都市型ホテルを救う

福岡の都市部に13戸が分譲される

福岡の物件はこれまで公表されてきた郊外型リゾートとは異なる、都市型ホテルのような物件です。詳しい場所はまだ未定ということでしたが、福岡の都市部にできるということで、福岡を仕事でご利用の方であればご存知の通り、空港がめちゃくちゃ中心部に近いので首都圏との二拠点生活は楽勝になります。福岡のNOT A HOTELを生活拠点にして、仕事で都市部に滞在する場合はホテルとして貸し出すことができます。ちなみにプライベートゾーン(私物を置けるクローゼット)とは設計段階で分離してあるそうで、この辺りはNOT A HOTELならではの仕様になっているというお話でした。

話のきっかけは、コロナ禍におけるホテル業のピンチにあります。元々、今回フランチャイズパートナーとなったGLTCには福岡でのホテル開業の計画があったそうなのですが、観光業が壊滅状態の今、タイミングとしては最悪です。しかしこのNOT A HOTELの仕組みを使えば、分譲ですからホテルにも関わらずイニシャルコストの面で大きくリスクヘッジが可能になります。そして見過ごしそうになるのが建てた後の運用で、ここについても住居とホテルを切り替えるNOT A HOTELのソフトウェアとネットワークがあれば、運用はもちろん、その後の修繕などについても分譲物件としてのメンテナンスが「NOT A HOTELネットワーク全体でカバー」できるようになります。

13戸しかない小規模物件にとってこのネットワークの存在感は大きいのではないでしょうか。分譲を購入するオーナーにとっても通常の利用はもちろん、資産価値という面での期待値は大切です。そしてさらにインパクトがあるのがこのパートナー展開を拡大させる、という事実です。本当に創業して1年のスタートアップなのでしょうか。

ホテルと住宅を切り替えるソフトが可能にするもの

スマホひとつで借りることのできるホテルでもあるNOT A HOTEL

今回の発表にあった通り、NOT A HOTELはこの展開を拡大させていきます。濱渦さんの表現では、ソフトウェアからハードを作る、というイメージだそうです。というのも、前述した通り、NOT A HOTELにはプライベート空間をホテルとして切り替える必要があります。ソフトウェアだけで切り替えても、例えば私物が利用者の目に触れては体験がよくありません。そこで、物件そのものの設計がソフトウェアと融合している必要性が出てくるのですが、これが「ホテル版Apple」と言われる所以です。

住宅兼用の分譲型ホテルネットワークが誕生すればどのようなことが可能になるでしょうか。利用サイドとしてはまず、ユニークで快適なホテル滞在体験を手にすることができます。NOT A HOTELの物件はどれも高級リゾートを思わせるデザインが特徴で、これは滞在する側にとって大きなメリットです。

提供するオーナーサイドのメリットは前回記事にも書いた通り、住宅をホテルとして貸し出せるため、特に在宅時間に無駄があるようなビジネスマン(特に経営者のようなタイプ)はメリットを感じやすいと思います。また、ネットワークにある物件は無料で利用ができる利点もあります。さらに運用や修繕といった不動産資産としてのメンテナンスについてもNOT A HOTELがまとめることで効率的になります。

2月に公表されたリゾート型の物件

これまでは土地取得や物件の建設についてもNOT A HOTELがリスクを取って実施しなければならず、企画段階でのカタログ販売にならざるを得ませんでしたが、このパートナーシップによって建設と運用のリスクを分担できるようになります。結果的にNOT A HOTELネットワーク拡大のスピードは上がるはずです。濱渦さんによれば、都市型は東京にも作る計画だそうですが、個人的には利便性の高い地方都市での更なる展開も期待しています。

ということでいろいろ夢が膨らんで期待ばかりですが、大切なことはまだ一軒も物件は建っていない、という事実です。これまでに発表された物件も今年夏に販売を開始して、来年の春に操業を開始予定です。周囲はおそらくお手並み拝見といったところでしょうが、一気に突き抜けていただきたいと思います。