フォトラクション中島氏が語る、建設・土木現場のDX最前線

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本稿は起業家や投資家にトレンドを聞くオンラインイベントTokyo  Meetupの公開収録から。来年1月19日に開催するBRIDGE Tokyoは現在限定の無料チケットを配布中

フォトラクションは2016年3月に創業(当初の社名は CONCORE’S)。工事現場の写真管理アプリで事業を開始し、その後、建設現場の生産性向上を狙った建設支援クラウド「Photoruction」へと進化させました。2018年には建設業務に特化した AI の研究開発に着手し、2021年1月に AI を活用したアウトソーシングサービス「建設 BPO」をリリースしました。Photoruction と建設 BPO で、業務の効率化だけでなく、一人当たりの労働時間を増やすことができる、新しい生産性向上サイクルの可能性を追求しています。

フォトラクションは今年8月から10月にかけて、推定シリーズ B ラウンドをクローズし、創業時からの累積調達額は21億円に達しました。そして、通算で3回にわたってフォトラクションに出資という形で支援しているのがジェネシア・ベンチャーズです。フォトラクション代表の中島貴春さんに、ジェネシア・ベンチャーズの水谷航己さんが建設・土木業界の DX(デジタルトランスフォーメーション)の最新動向を聞いてもらいました。

建設・土木業界はデカい

建設テックのプレーヤーはすでにたくさんいて、それでもこの分野に新規参入するスタートアップやサービスは毎月増え続けています。確かに毎日ではないにせよ、我々、建設業界に身を置いていない者でさえ、建設テックのサービスの CM などをよく目にするほどです。その背景には、建設業界の労働人口減少や、政府が2016年から旗を振る i-Construction なども影響しているようです。

一番大きいのは、マーケットの大きさからだと思う。国内の建設産業は、GDP 1割くらいを占めている。建設テックのスタートアップに限らず、最近、盛り上がっていると言われる以前から、建設業界向けにシステムを提供する会社で ARR が2桁億円を超えている会社は多くある。建設 DX が進んできたことで、マーケットが顕在化してきたことも要因かもしれない。(中島さん)

建設業界向けにいろんなソリューションが出てきましたが、各工程や業務の部分部分に提供するものが多く、現場のニーズを俯瞰的に捉えて、全体を DX していこうというプレーヤーは少ないそうです。一つ一つのツールは確かに業務効率化に貢献しますが、現場でそれらを使い分けるのは煩雑。建設業人口を増やすくらいの勢いを持ったプレーヤーが出てくれば、一人勝ちできるかもしれません。

建設の現場に AI?

フォトラクションが今年初めに発表した AI を建設現場に導入する取り組みは画期的でした。大手ゼネコンでも、たとえば、コンクリートのひび割れで放置していいものとよくないものの分別、橋梁やダムのサビの検査など、写真から不具合を見つけられるような部分では AI が活用されているケースもはありますが、研究開発段階で終わっているところが少なくないそうです。

正直なところ、最初はバズワードに乗った感は否めない。でも、AI を自らプログラミングしていく中で、単純作業かつデータさえあれば、自動化できそうだとは思っていた。創業当初からフォトラクションに溜まったデータを使って、ユーザである建設会社と PoC を進めていく中で AI の可能性は感じていた。

しかし、AI によって、一部作業工程の自動化は可能だが、お客様の現場の都合で、その前後のフローを変えられないことがある。一部を自動化するだけでは、作業全体を任せることができない。お客様は AI よりも、自動化されて納品物が得られればいい。AI だけでは難しいことがわかったので、BPO とセットにして AI-BPO として自動化するサービスに行き着いた。(中島さん)

この種のサービスがスケールするかどうかですが、水谷さんは、ある工事現場で採用され、それがまた別の現場で採用される、という連鎖的な流れを、どうすれば再現性を持って続けていけるがポイントだといいます。また、フォトラクションが提供するのは、いわゆるバーティカル SaaS なのですが、導入社数を追うというよりも、現場によって実現したいことが違うので、各社ごとに、フォトラクションがどれだけ役に立っているか、業務をどれだけ引き受けられているかを大事にしているそうです。

導入担当者は、現場に直接いるわけではないので、まずは(建設業 DX に)取り組みたいと思ってもらうことが大事。しかし、自社にどのような DX が必要かを理解できていない人が多い。全体像を俯瞰して、デジタル化の目的を共に整理して提案することが重要。そして、何より、工事現場が使いやすくないといけない。建設業界はある意味、本社より現場が強かったりするので、とにかく現場の所長に自分の言葉で「いいツールだ」と言ってもらわないといけない。工事現場のオンボーディングを手厚くやっている。(中島さん)

海外でのポテンシャルも高い

フォトラクションでは、これまでに、アメリカの PlanGrid(2018年、AutoDesk が8億7500万米ドルで買収)、また、今年、6億3,000万米ドル規模の IPO を実施した Procore といったスタートアップをベンチマークしてきました。彼らがグローバル市場を取ってしまうのかと思いきや、世界の建設業界の構造は、アメリカ方式と日本方式に大きく二分されるそうで、事実上、日本方式となっているアメリカ以外の市場では、フォトラクションが参入できる可能性が大いにあります。

事実、フォトラクションでは創業から間もない2018年からツールを5ヶ国語対応していて、日系企業がフォトラクションを採用する形で、ジャカルタ、シンガポール、中国、ウズベキスタン、ベトナムで使われているという、図らずもグローバル展開が進んでいます。日本の建設業界にはまだまだホワイトスペースがあり、また、海外展開における市場ポテンシャルも高い分野ということで、中島さんは、現在、時価総額1兆円を超えている前出の Procore くらいにまでは成長できるのではないかと、鼻息荒く語ってくれました。

セッションではそれ以外にも中島さん、水谷さんと一緒に建設業 DX に関する話題を提供していますので、ご興味ある方は今日、17時から配信開始するオンラインイベントTokyo Meetupをチェックしてみてください。

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