キーマンが語る、Metaのメタバース戦略(3)ゲームが時代をリードする/GamesBeat「Facebook Gaming Summit」より

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ゲームが時代をリードする

(前回からのつづき)

「『ゲーム』は間違いなく核となる部分になります。というのもゲームそのものを抜きに考えても、ゲームエンジンなしには、このようなものは存在しえません。そして、このゲームがまさにゲームエンジンを作ったわけです。長い間、ゲームエンジンはリアルタイム3Dグラフィックスの唯一の主要ツールでした。もちろん、シミュレーションなど大学がやっていることもありましたが、消費者にとっては、ほとんどがゲームだったんです」。

ゲームエンジンは映画を作るのにも使われているので、メタバースに向けて作っているものにはゲームエンジンが基本になっているとRubin氏は指摘している。さらにスマートフォンの収益の多くはゲームによって生み出されており、VRヘッドセットにも多くの収益を生み出していると付け加えた。

「人は遊ぶことが好きですよね。私たちは子供の頃のように遊ぶのが大好きで、それを決してあきらめないんです。正直なところもっとゲームがあれば、もっと幸せな世界になると思ってます。遊びは良いものです。だからゲームは、人々が長い時間を一緒に過ごすための素晴らしい方法となるはずなんです。アイデンティティ・システムを構築し、別の誰かと何かをし、一緒に何かに投資する方法を提供する。そして、人々がそこにいて、可能性がそこにあるからこそ、関係が形成され始めるのだと考えています」。

The Meta Quest 2

Metaは既に、ゲームとエクササイズを組み合わせたBeat Saberなどのアプリを通じてVRフィットネスに進出している。しかし、メタバースは教育やショッピング、旅行などにも広がっていくだろう。Rubin氏は「ゲームはそこに入るきっかけです。というのも、すべての新しいコンピュータ・システムは、ゲームこそがコアなユースケースであることを証明しているからです」と指摘していた。

Facebook・Metaが「壁に囲まれた庭」を好むと考えている人がいるようだがと尋ねたところ、彼は、それは正しくないと反論した。

「私たちは本当にもっとオープンなメタバースを持ちたいと思っています。私たちは、5,000万ドルのXR研究基金を含むいくつかの基金を設立し、学者や他の人と協力して、メタバースのあるべき姿について考えています。また、メタバースの作り方を学ぶための教育基金もあり、すでにメタバースのオープン化についての議論に着手しています。私たちはどのようなIDシステムでも、どのような空間にも飛び込んでいけるという状況が理想的だと考えています。そしてIDシステム間を移動することが実現した時、一緒にいる友人やグループを失うことなく、それらのシステム間を自由に移動できるようになるはずです」。

取り組むべきこと

インタビューで彼は、Metaのグラフィックス用シェーダーシステムを、他の誰かのシステムと連携させようとすると課題に直面するという点を指摘していた。また、非代替性トークン(NFT・ノンファンジブルトークン)が活用されるのかという点にも言及した。

「まず『分散化』は所有権の問題を解決できます。ただ、これを実際にレンダリングして実現するという技術的な問題をどう解決していくのかという疑問はありますね。Facebookはこれを誰もが貢献できて、誰もがあるメタバースから別のメタバースに移動できる場所にしたいと考えていますからね」。

重要なテクノロジーについては、ブロックチェーンやその他の標準が重要になると考えているが、それらがメタバースでどのように作用するかは、まだわからないという。その一方、「クラウド・ストリーミングは極めて重要になると思っています。なぜなら、メタバースにおいて、すべてのハードウェアのインスタンスを書きたいとは思わないから」と語っていた。

モバイル技術やクラウドストリーミングは、その負荷に対応するために相当な進化を遂げなければならないだろう。そして、製品を作るためのさまざまな技術言語や標準が相互運用されなければならない。私はチャットの最後「すべてのプラットフォームで、ひとつの体験ができるようになるのか」と質問した。

「私たちはARとVRで遊んできましたがその境界線はどこなのか、どちらの何がよくて、何が悪いのか。これはしばらくの間、曖昧なままかどうかも分かりません。スマートフォンは、世代が変わるごとに急激に変化するわけではありません。しばらくは、VRから多くの新しい技術や新しいアイデアが生まれると思っています。ARは、何ができるかを示すそのカーブさえ始まっていません。そして、この2つの境界線がどこになるのか、最終的にデバイスが両方を行えるようになるのかどうかは、実は明確ではないのです」。

これらはすべて現時点では答えのない質問だ。答えは開発者やクリエイター、そして何千人もの人々が「長い間、物事を試してみて」発見していくことになるのだと話していた。Beat Saberは、エンターテインメントに関して、VRでできることの頂点を示す現時点での好例ではあるが、いつかは誰かに取って代わられるだろうとも話していた。そんな別れ際、Rubin氏が取り組んでいるものをぜひ見てみたいので、より早く手元に届くよう仕事に戻るべきだと伝えたところ、「努力するよ」と返してくれた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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