創業10周年のメリービズ、山室佑太郎氏に代表を交代——創業者の工藤博樹氏は、バンクーバー拠点に新事業模索へ

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左から:代表を退任する工藤博樹氏、代表に就任する山室佑太郎氏、 取締役の太田剛志氏
Image credit: MerryBiz

バーチャル経理アシスタントサービスを提供するメリービズは28日、取締役の体制変更を発表した。それによると、創業者の工藤博樹氏は代表取締役を退任し、代表権の無い取締役になる。具体的な数字は明らかではないが、今後もメリービズの筆頭株主としてのポジションは堅持する見込みだ。これまで取締役だった山室佑太郎氏が代表取締役に就任する。山室佑太郎氏はメリービズの創業期、インターンから取締役になったメリービズの歴史を知る人物だ。この辺りの経緯は、昨年7月に実施したインタビューに詳しい

経費の記帳代行サービスから始まった同社は、その後、記帳だけではなく経理業務を包括的に請け負うバーチャル経理アシスタントへとピボットを図った。ピボットから約1年後の2018年6月(発表は同年9月)に、みずほフィナンシャルグループ系総合リース大手の芙蓉総合リース(東証:8424)と、芙蓉総合リースの子会社アクリーティブから1億5,000万円を調達。その後、芙蓉総合リースから追加調達し持分法適用会社となっている。現在も IPO を目指す方向性については変わりないという。

工藤氏は昨年からカナダのバンクーバーに拠点を移している。バンクーバーはもともと、工藤氏の生まれた地だ。その後、日本、シンガポール、フランスなどで過ごした彼は、IBM、INSEAD での MBA 取得、Locondo.jp、GREE などを経て、2011年7月にメリービズを設立した(当初の社名はリブ)。工藤氏は、Play-to-Earn で期待を集める EA(Electronic Arts)はもとより、GAFA の進出で活気付くバンクーバーに身を置くことで、北米のトレンドを把握し、メリービズの次の成長に向けた事業開発や開拓に傾注する模様だ。

3人の取締役は、それぞれ、今回の代表交代の理由を次のように語ってくれた。

僕らとして大事にしたいのは、3人がいるというのは変わらないこと。今回の代表交代は、3人のポテンシャルをどう出していくかということを考えた上でのポジション変更だ。(山室氏)

工藤さんは、0→1 の人。まだない何かを探す時のエネルギーがすごい。(太田氏)

IT でできる部分を他にもやっていきたい。だいぶ材料が揃ってきているので、もう少しいろんな事業を作れる条件は揃いつつある。IT におけるツールづくりを考えている。(工藤氏)

メリービズの主領域はバーチャル経理アシスタントだが、正式なメニューにはまだ加わっていないものの、総務などバックオフィス全般への横展開も実質的には始まっている。バックオフィス SaaS を手がける会社が、獲得したユーザ/顧客に対して、ひと頃昔の言い方で言えばクロスセル、元々のフラッグシップサービス以外の新サービスの開発・提供を模索する流れは、SmartHR などでも見られる。SmartHR 創業者の宮田昇始氏が代表を退任、子会社で新サービスの開発に傾注することを表明したのは記憶に新しい

メリービズでは、裏方で作業を進めているのが人(リモートワーカー)であることや、アウトソーシングの側面も持つことから、SaaS でよく引き合いに出される成長目標 T2D3 (Triple、Triple、Double、Double、Double)は社風的にもはまらない。とはいえ、コロナ禍や働き方改革が追い風となり、ユーザ企業数は年あたり倍々ベースで伸び、客単価も以前の3倍程度に当たる月30万円ほどに達した。リモートワーカーの登録者数が1,000名を超えた今、安定したビジネスインフラとしての着実な成長を目指すようだ。

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