顧客ニーズの製品反映を支援する「Flyle」運営、3億円をプレシリーズA調達——ALL STAR SAAS FUND、UBV、 及川卓也氏の会社から

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Image credit: Flyle

プロダクトマネジメントプラットフォーム「Flyle」を開発・提供するフライルは12日、プレシリーズ A ラウンドで3億円を調達したと発表した。このラウンドは BEENEXT の ALL STAR SAAS FUND がリードし、UB Ventures、元 Google・元 Increments の及川卓也氏が設立した Tably が参加した。

フライルにとっては、2021年6月に実施したシードラウンド(8,100万円を調達)に続くものだ。UB Ventures は今回、シードラウンドに続くフォローオンでの出資参加。なお、及川氏はシードラウンドでも、当時、名前非開示の個人投資家として出資参加していたことが明らかになった。

フライルは2020年2月、財部優一氏らにより創業。同社は「顧客のニーズをよりスピーディーにプロダクトに反映できる」環境づくりを念頭に Flyle を2020年12月にクローズド β ローンチ、2021年6月に正式ローンチした。Web サービスをはじめとしたプロダクトは、顧客のニーズを製品づくりに取り入れることが重要だが、このプロセスを効率化できれば、プロダクトの進化は効率的かつスピーディーなものにできる。Flyle を使えば、顧客のニーズに基づいた意見を、具体的な開発のタスクと紐づけることが可能だ。

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フライルは先月、日本のプロダクトマネジメント動向をまとめたレポート「Japan Product Management Insights 2022」を発表しており、これによれば、IT のみならず、さまざまな業界でプロダクトマネージャーの採用が増えていることがわかる。IT、Web 系、スタートアップだけでなく、あらゆる産業全般で、プロダクトマネジメントやプロダクトオーナーといった、プロダクトのあり方に対する考え方が変化してきていることを示唆しているのだろう。

ただ、そうは言っても、日本にはプロダクトマネージャーとして力を発揮できる人材は圧倒的に不足している。ユーザのニーズを元にシステムを改変するにも、ユーザの声を受け止める営業部門と、実際に作業を行う開発部門の間では、優先順位に違いがあったり、複数の会議体を踏まないと意思疎通ができなかったりする。Flyle は、社内で運用される Slack、Zendesk、Jira、Salesforceなどと連携、ユーザの声を集約し、ユーザのニーズ、失注要因などを元に、今後の開発計画にダイレクトにつなげることを狙う。

これまで「プロダクト開発の会社のための CRM」と言えるツールがなかった。そこのポジションを狙う。(財部氏)

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世界市場を見てみると、この分野では、チェコ発の Productboard が今年2月に1億2,500万米ドルを調達、時価総額を17億2,500万米ドルにまで引き上げユニコーンとなった。他にも、昨年11月までに累計で1,450万米ドルを調達しているイスラエル Craft.io、昨年500万米ドルをシリーズ A 調達したドイツの AirFocus なども注目すべきプレーヤーだ。財部氏は、昨秋の Salesforce 連携以降、特にユーザ数を伸ばし始めた Flyle を、日本から世界で使われるツールに成長させていきたいと意気込みを述べた。

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