テスラが宮古島に「仮想発電所」設置ーー期待あつまるバッテリースタートアップたち

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Image Credit : テスラジャパン

ピックアップ: Tesla quietly built a virtual power plant in Japan

ニュースサマリ:テスラジャパン(以下、テスラ)は8月26日、沖縄県宮古島におけるテスラ家庭用蓄電池「Powerwall」によるバーチャルパワープラント(VPP)事業の設置台数が300台を超えたことを伝えている。国内のVPP事業としてPowerwallを商業利用するのはこれが初事例で、商業利用VPPとしても最大級になるとしている。

VPPは「仮想発電所」と呼ばれる、大規模発電所に依存したエネルギー供給の仕組みの対抗馬になるもの。IoTなどを活用したエネルギーマネジメント技術を活用することで、家庭や工場などが保有するエネルギーリソースを束ねて遠隔・統合制御し、仮想的な発電所のように見立てる。国内では東日本大震災以降、エネルギー政策のひとつとして 検討が進められている。

宮古島のVPP事業は宮古島未来エネルギーが進める事業で、初期設置費用等の負担をせずに太陽光発電システムと蓄電池を宮古島内に設置する。テスラは2021年からこの事業に参加しており、Powerwallの設置は施工会社のネクステムズが担当し、VPPとしてのPowerwallのアグリゲーションや活用もテスラのソフトウェアを利用して同社が実施する。

VPPが設置されたことにより、宮古島内で電力需給のひっ迫が生じる場合はその時間帯以前に太陽光発電による電気をPowerwallへ蓄電することで、家庭内の停電を防ぐことができるとしている。テスラでは2023年度末までに600台のPowerwall設置を見込む。

話題のポイント:世界的に混沌としているエネルギー政策ですが、国内でも25日に政府が原発再稼働に加え、次世代の原子炉開発検討という 踏み込んだ発言 が話題になっています。中長期では脱炭素、短期ではこの冬をどう乗り越えるか、関心は国内でも高まっているように感じます。

さて、テスラが宮古島に設置したVPPですが、同社はすでにカリフォルニアとオーストラリアで稼働している仮想発電所を持っており、新たにテキサスでの稼働に取り組んでいます。オーストラリアで2018年から実施しているVPPは最終的に5万台の設置を見込んだ大規模なもので、カリフォルニア州で自宅にPowerwallを設置した人々は、電力がひっ迫した際、電力網に発電した電気を送付すると1キロワット時あたり2ドルを受け取ることができるそうです。宮古島の例ではそこまで大規模ではないものの、台風時に電気や冷蔵庫など日用家電の利用が問題なくできる様子がビデオに収められていました。

さて、再生エネルギーでよく言われる課題は「蓄電」です。Crunchbaseに掲載されているバッテリー関連技術のスタートアップは4,000社以上あってなかなか整理しづらいのですが、 ここ最近になって調達の話題をよく見るようになっていたと思ったらやはり、資金の流れがここ2年で加速しているようです。

これは電気自動車(EV)向けバッテリーという領域ですが、2021年にはハードとソフトの両方でEVバッテリー系のスタートアップが調達した金額はおよそ36億ドルで、中国のバッテリーセル製造大手Svoltが調達した約30億ドルを引いても2020年に比較して 3倍ぐらいの規模に拡大していました。 例えばここ1カ月で資金調達をしているバッテリースタートアップには次のようなものがあります。

インドのExponent Energyは急速充電で市場獲得を狙う

ZitaraはY Combinatorの2020年夏バッチ卒業生で、2019年創業のバッテリー管理ソフトウェアを開発するスタートアップです。8月23日にEnergy Impact Partnersがリードするラウンドで 1,200万ドルを調達しています。 彼らは今後、脱炭素が求められる世の中において、GDPの30%にあたる電力をバッテリー駆動にする必要があると考え、その際に必要な管理ソフトをクラウドで開発しているそうです。

8月1日に700万ドルのシリーズAラウンドを報告したLi Industriesもその一社です。2017年創業の同社が取り組んでいるのが次世代リチウムイオン電池リサイクル技術です。詳細についてはこちらの記事に記載しました。

参考記事: 米国が注目するリチウムイオン電池リサイクル「Li Industries」のインパクト

最後の一社がインド・バンガロール拠点のスタートアップ、2020年創業のExponent Energyです。8月に1,300万ドルの資金調達を公表している同社が手掛けているのが EV向け急速充電器の開発です。 商用向けのEVをターゲットに独自のバッテリーパック「e^pack」と充電器を開発しており、その充電時間は15分と謳っています。インドのEVは中国に並ぶ期待市場ですから、まさにタイミング勝負のスタートアップにあった事業領域かもしれません。

今後も色々な切り口でバッテリー、エネルギーについては情報をまとめていきたいと思います。

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