#23 インフルエンサーとバズる科学で人々の心を掴む秘訣 〜ゼロスタ赤谷 × ACV飯澤〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

FacebookやTwitter、それにYouTubeが生まれて、およそ15〜17年の歳月が流れました。昨今、こうした2000年代に生まれたサービスをWeb2と呼んで、少し古いサービスのように語られることもありますが、我々の日々の活動に影響をもたらすチャネルとしてはまだまだ現役です。

一方、ソーシャルメディアの誕生と共に、新たな産業・職業として生まれたのがインフルエンサーマーケティングですが、技術の進化や人々の行動変化から、この10年ほどの間に大きく様変わりしました。

インフルエンサーマーケティングのトレンドはどのようになっているのか。インフルエンサーマーケティングを最適化するツール「INFRECT」の展開でで注目を集めるゼロスタの赤谷翔太郎さんにお話を伺いました。

ポッドキャストで語られたこと

  • クライアントを集めるのが先か、インフルエンサーを集めるのが先か。〝ニワトリとタマゴ問題〟を技術で克服
  • リサーチとマーケティングの一体化で、企業はインフルエンサーとバズる商品作りが可能になる

赤谷:アクセンチュアみたいな業態が一般消費者の生の声を知ろうとした時、自分の親族や友人に声をかけて10〜⁠⁠20人集めてグループディスカッションとかをするんですけど、どうしても時間がかかったり課題を素直に拾ってくることが難しいなと思っていたんです。その時の課題感があり、BtoC領域のトレンドを理解して、既にご自身たちでやられてる方はいわゆるインフルエンサーだなと思い、ビジネスチャンスだと思い、急いでアクセンチュアを辞めて起業しました。

飯澤:そんなスピード起業だったんですね。アクセンチュアで仕事をしているときから、インフルエンサーの人たちとタッチポイントみたいなのがあったんですか?

赤谷:タッチポイントはなかったので、起業してから自分たちで頑張って作りました。

どうしてもこういう需要と供給があるインタビューサービスは、仕事がないとインフルエンサーはそのプラットフォームに登録してくれない。一方で、インフルエンサーがいないと企業などからこういうインタビューしたいんだよねとか、こういうコラボレーションしたいというお仕事も来ない。〝ニワトリとタマゴ問題〟が発生してしまうんです。

なので起業してから、頑張ってスクレーピングの基盤を一から作りました。例えば、Instagramで鍵のついてないアカウントをひたすらスクレーピング、クローリングして、自社データベースに溜め込みました。今100万件ぐらいのインフルエンサーのデータベースができています。

そうすると、我々はUUUMみたいなインフルエンサーを抱えてる事務所ではないですが、100万件のインフルエンサーデータがあるので、企業のあらゆるニッチな領域に対しても、活躍されてるインフルエンサーを紹介できますよという形で、ニワトリタマゴの問題を解消しました。

飯澤:なるほど。しかし、インフルエンサーを集めるのはできるかもしれないですが、結局その方々がどういうことが得意だったり、詳しかったり、実際にリサーチしたい人が検索するためのキーを付けていくのはすごく大変なんじゃないですか。

赤谷:大変ですね。あまりがっつり言えないですが、まずデータを収集して、インフルエンサーがTikTok、YouTube、Instagramなどどの媒体で活躍されてるかと、そこで活躍されてる名前、自己紹介文、投稿内容を社内で分析して、ラベル付けしていくんです。そうすると、検索する際、抹茶とかの検索ワードを打ったときに、自己紹介文に抹茶という言葉を入れている人や、「抹茶大好きです」とか、投稿内容の写真を分析した結果、スイーツ系の投稿が多いインフルエンサーが出てきます。ここの部分は最初に学習させたAIを使ってるんですけど、そこでクライアントのニーズに合わせて簡単に検索できるツールとともに、ご提供しています。

飯澤:なるほど、すごいですね。抹茶とか、なかなか検索ワードとして思いつかないです。でも実際に抹茶の商品を発売しようとしてる企業からすると、抹茶という検索ワードはニーズがあるのかなと思いました。

赤谷:おっしゃる通りで、例えば、ローソンとかが若い女性向けに抹茶のコンビニスイーツを作ろうと思した際、具体的なスイーツは果たしてシュークリーム、チョコレート、プリン、もしくは最近流行りのマリトッツォのどれがいいのかわからない。そういったとき、我々の検索ツールを使っていただければ、抹茶と検索すると今500人ぐらいインフルエンサーが出てきます。

例えばその500人の中でも、その人の詳細を見ていただくと、そのフォロワーの分析、例えば「18歳から25歳までの方々が、フォロワーは10万件のうち4万人いますよ」とかいった分析も出してるので、女性向けのコンビニスイーツの開発だったら、そういうインフルエンサーたちにインタビューをして、良いことが聞けたらその人と一緒に共同開発しようというように私たちのサービスを活用することができます。

飯澤:リサーチとマーケティングがいっぺんにできるということですね。

赤谷:そうですね。もしローソンがそのインフルエンサーと一緒に商品開発をした場合、そのインフルエンサーがコラボレーションしたことを発信すると、その方自身の10万人のフォロワー、すなわち10万人のファンに自動的に届く。さらにその10万人のファンは投稿を見て商品を買って「これ美味しかったね」と発信してくれるので、二次三次と波及していくモデルが作れると思っています。

飯澤:それが「INFRECT(ゼロスタのインフルエンサーマーケティングツール)」で言っているドライブというやつですね。

赤谷:そうですそうです。見てくださってるんですね。ありがとうございます。

例えば2000年代ぐらいまでは、いわゆるテレビなどのマスメディアの時代で、みんなが同じテレビ・CMを見て、画一的に商品を買っていた。ただ、現代はブログ、Twitter、InstagramやTikTokなど1人1人がいろんな情報取得の手段を持っている時代で、各個人の趣味嗜好が多様化している。その多様化された趣味嗜好を我々は高度にセグメント化されているというふうに捉えていて、その高度にセグメント化されたところを、トライブと呼んでいます。

トライブの中心にいるのは必ずインフルエンサーだと思っているので、例えば10万人のフォロワーを持つインフルエンサーを見つけ、アンバサダーとして起用したら、そこのトライブの10万人のフォロワーたちは必然的についてくるという思想です。その考えを元に、大きく捉えたときのマーケティングの市場理解から、プロダクト開発で実際のPR投稿というところまで一気通貫でできるツールを提供しています。

飯澤:なるほど。すごいですね。私の発想は乏しいので、インフルエンサーマーケティングっていうと、ヒカキンにお金を払うのかなみたいなイメージでした。

赤谷:いわゆるインフルエンサーマーケティングは、ちょっと下火になり始めています。なぜ下火になり始めてるかというと、費用対効果が見られないというところが現状の課題なのかなと思っています。プラットフォームとして、インフルエンサーを活用して市場調査やもの作りを一緒に行うという発想は、僕がアクセンチュアに所属していた時代はありませんでした。クライアントのためにリサーチなどをしていましたが、インフルエンサーマーケティングといえばお金払って行うPR投稿みたいなところしかなく、ビジネスチャンスだなと思いました。

ワークマンという会社は、2019〜2020年あたりに「ワークマン女子」が爆発的にバズりました。「ワークマン女子」がバズる前までは、建設会社や職人向けに作業着を売っていましたが、ブランドのイメージを一新して、女性でも着られる新しい「ワークマンプラス」や「ワークマン女子」を作り、リブランディングしました。

あれはインフルエンサーに商品開発の段階から入ってもらい、インフルエンサー目線で商品の素材や機能性のアドバイスをしてもらっていたそうです。例えば、こういう機能があるべきとか、キャンプで使用することを考えると水はけのよい生地を使うべきとか、そのような意見を全て取り入れて「ワークマン女子」というリブランディングまで出来たということですが、改めてインフルエンサーの力はすごいなと思いました。

飯澤:私はアクセンチュアの中でテクノロジー寄りの人間なので、テクノロジーの観点も気になってしまうのですが、(ゼロスタは)大量のデータを扱い、その中で画像解析やユーザー属性の分析も行っており、テクノロジー企業だなと思いました。

赤谷:AIには特に力を入れています。幸いなことに、僕のパートナーである副社長の長友は慶應の博士号を持っている研究者です。彼は慶應の修士号を主席で卒業し、国際論文等も出しており、2022年3月には次席で慶應の博士号を取得するぐらいの天才肌なので、AIのフロントからバックエンドからサーバーサイドまで何でも出来てしまいます。本当に天才エンジニアである相方の長友と、もう一人、長友と大学時代からずっと一緒に研究していて同じく慶應の博士号を持っている森蔵という人がいて、AIでフルスタックでできるエンジニア2名がリードしながらスクレイピングやAIの基盤をゴリゴリ作ってくれています。

次回へ続く)

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