ハンドメイド販売アプリ「idus」が20億円調達、メンタルヘルス「MindCafe」日本進出など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(1月9日~13日)

SHARE:
「idus」
Image credit: Backpackr

<1月16日午後7時更新> 「主なスタートアップ投資」「トレンド分析」加筆に伴い、タイトルを一部変更。

1月9日~1月13日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは9件で、資金総額は457億ウォン(約45.7億円)に達した。

(クリックして拡大)

主なスタートアップ投資

  • ハンドメイドプラットフォーム「idus(아이디어스)を運営する Backpackr(백패커)が韓国内外の投資会社から200億ウォン(約20億円)を調達した。同社が運営する idus とクラウドファンディングサイト「Tumblbug(백패커)」の累積取扱高は1兆ウォン(約1,000億円)を突破し、利用するハンドメイドクリエイタは35,000人に達した。今回調達した資金を使って、Backpackr は海外市場への進出、サービスの高度化、クリエイタの環境改善に注力する。
  • メンタル管理プラットフォーム「Mindcafe(마인드카페)」を運営する Atommerce(아토머스)が60億ウォン(約6億円)を調達した。現在の会員数は150万人、売上など各種指標で持続的成長を維持している。企業の役職員向けメンタルヘルス管理プログラムが成果を出しており、最近、日本向けサービスもローンチした。
  • 成果管理型 SaaS「Lemonbase(레몬베이스)」が70億ウォン(約7億円)を調達し、累積調達額は140億ウォン(約14億円)に達した。企業が持続的な成果管理を手軽に運営できるサービスで、200社余りの企業が使用中だ。有料ユーザ数は前年比で5倍増加した。

トレンド分析

「私たちはグローバルに行く」

先週幕を閉じた CES 2023 で、韓国のスタートアップ111社が「CES Innovation Awards」を獲得し歴代最大の実績を記録した。世界的な舞台で韓国スタートアップのグローバル競争力を証明したのだ。このように韓国から始めて世界に伸びていくか、そもそも海外から始めてグローバル市場に拡大していくスタートアップが増えている。注目すべき企業は誰がいるのだろうか。

昨年、国内の主要クラウドプラットフォームが互いに競うかのように資金調達を発表した。大規模な資金誘致を通じて、国境を越えて海外進出を狙っているのだ。Bespin Global(베스핀글로벌)は中東企業から資金調達し、中東やアフリカのクラウド市場への足がかりを設けた。ジョイントベンチャーを作り、その市場で拠点を増やしていく計画だ。

東南アジア市場で活躍しているところもある。Mathpresso は AI 学習アプリ「QANDA(콴다)」で、ベトナム教育市場の強者として目立つ存在だ。同社は、3年連続でベトナムの加入者が最も多かったと明らかにした。教育インフラが不足しているベトナム市場で教育疎外層の代替手段として頭角を表した。昨年770億ウォン(約77億円)の調達もクローズした。

RSQUARE(알스퀘어)も東南アジア市場の商業用不動産進出のためデータを収集してきた。東南アジア主要5ヵ国のデータベース構築を完了し、進出基盤を整えたそうだ。Tridge(트릿지)は農業データの分野でグローバル市場を目指している。 昨年ユニコーンとなった Tridge は、自社構築の農産物データを提供し、情報非対称を解消する。ウォルマートやカルフールなどの有名ブランドが主要顧客だ。

Twelve Labs(트웰브랩스)は優れた技術力でシード段階からグローバル投資家の心を捉えた。海外有名投資会社から韓国初の投資を引き出したのだ。同社のサービスは、映像 AI プラットフォームで、検索により希望の映像を見つけられるというものだ。Bobidi(바비디)も Meta(Facebook)の投資を受けた。AI を活用して作られた製品がどのように動作するかをテストできるサービスを提供し、Y Combinator が輩出したスタートアップでもある。

自動運転ソリューションを持つモビリティ企業の大半も海外でスケールの機会を探している。AI ベースの映像認識ソフトウェア開発会社 StradVision(스트라드비젼)は昨年、アメリカの自動運転会社、ドイツの自動車部品供給会社、ヒュンダイ自動車など戦略的投資会社から1,000億ウォン台(100億円台)を資金調達した。最近のリブランドも終え、認知度の強化とグローバルビジネス攻略の加速に乗り出している。

ウェブトゥーンとウェブ小説プラットフォームは成長のためにグローバル進出が必然的だ。Ridi(리디)は、グローバルウェブトゥーンサービス「Manta」の成功で黒字転換に成功した。Ridi はウェブトゥーンだけでなく、ウェブ小説、映像などを網羅するコンテンツ IP 企業への成長を目指している。さまざまなオリジナルコンテンツを武器に海外顧客を確保するという計画だ。

フード分野では、Armord Fresh(아머드프레시)がビーガンチーズとして注目され、グローバルな食品会社へと成長しつつある。ドーナツショップ「Knotted(노티드)」で有名な GFFG はフード&ライフスタイルブランドで、MZ 世代(ミレニアル+ Z 世代)をひきつける食品店の成功に支えられ、初めての資金調達も実施した。これを踏まえ、海外市場を攻略するという抱負を明らかにした。

韓国政府は今年、「グローバル超格差スタートアッププロジェクト(超格差とはすごい競争力の意、글로벌 초격차 스타트업 프로젝트)」を本格的に実施し、さまざまなグローバル進出支援政策を展開すると約束した。グローバルファンドを組成し、海外からの資金調達も支援すると明らかにした。これにより、グローバル市場に進出する機会を得る企業は増える見通しだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する