山火事に特化したVC「Convective Capital」にみるファイアテック・ソリューション

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大気モニタリングサービス「CAMS」が提供するFire radiative powerマップ

ニュースサマリ:7月、山火事のアクティブ検出ソリューションを提供するPano AIは、Valor Equity Partnersをリードとする投資ラウンドで1,700万ドルを調達した。

話題のポイント:欧州連合(EU)の地球観測プログラム「コペルニクス」の大気モニタリングサービス(CAMS)のリサーチによれば、2023年はカナダ、ギリシャ、トルコ、アルジェリアなどの地域で大規模な火災が観測され、大気汚染や気候変動に影響を与えている。特に8月にカナダで発生した山火事から排出された二酸化炭素の量は、過去の年間記録の2倍に相当する約1.5億トンに達した。

  • こうした山火事に特化したテクノロジーを提供するスタートアップがある。2019年創業のPano AIもそのひとつ。AIを使って山火事を早期に発見し、消防隊に情報を提供することで、火災の被害を最小限に抑えることを目指す。
  • Panoは、カメラやセンサーなどの高度なハードウェアと、画像認識やデータ分析などのAI技術を組み合わせて、火災の兆候や位置、規模、方向などをリアルタイムで検出し、クラウドベースのソフトウェアで消防隊に通知する。
  • 同社に投資する2022年創業のConvective Capitalは、山火事に関するテクノロジーのスタートアップに投資するベンチャーキャピタル。

さらに詳細:Convective Capitalが投資するスタートアップを眺めると、山火事に対するテクノロジーアプローチにもさまざまなものがあることが理解できる。

  • BurnBot:ロボティクスとAIを使って、安全でクリーンな燃料処理をスケールする技術
  • Delos:代替データと最新のモデリング技術を使って、山火事のリスクを担保する
  • Overstory:衛星を使って植生管理を監視し、優先順位を付ける
  • Gridware:IOTとデータプラットフォームを使って、電力ポールの健康状態を監視する
  • Rain:自律型ヘリコプターを使って、小さな火災を迅速に制御する
  • Firemaps:ドローンとビデオ技術を使って、家屋の防火化の工事プロセスを効率化する
  • Treeswift:データプラットフォームとドローンシステムを使って、林業家が木々のデータを記録し、監視する技術
  • WindBorne:長期間にわたって大気中の最も重要なデータを対象としたスマート気球のコンステレーションを設計し、構築し、運用する技術
  • Pano:AIを使って火災の発生源や位置、規模、方向などをリアルタイムで検出し、コミュニティの安全を確保する技術
  • Fire Aside:ソフトウェアを使って、コミュニティが山火事に適応することを支援する技術
  • Instinct:リアルタイムの林業や農業のモニタリングのための環境テレメトリープラットフォーム

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