登録者数1億人以上を誇るYouTubeチャンネル「MrBeast」は、いかにしてユニコーンの座に躍り出たのか?

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1億人以上のチャンネル登録者を持つ MrBeast のチャンネル創業者 Jimmy Donaldson 氏
Image credit: MrBeast IG

YouTuber はユニコーンになれるか?

2022年10月、メディア「Axios」は、1億人以上のチャンネル登録者を持つ MrBeast が、約15億米ドルの評価額でベンチャーキャピタルからの資金調達していることを明らかにした。MrBeast はスタートアップ界のルールで言えばユニコーンということになる。

MrBeast のチャンネル創業者 Jimmy Donaldson 氏は今年5月、Instagram の投稿で、投稿をシェアした幸運な当選者5人にそれぞれ1万米ドルを贈ると発表した。この一見仰々しい富の見せびらかし行為は、数日のうちに国内外のソーシャルメディアをにぎわせた。

彼は注目を集める秘訣を知っているのだろうか。MrBeast を長くフォローしている人たちは、このようなクレイジーな行動が彼の常であることを知っている。

MrBeast と彼のチームは常に時事問題にアンテナを張り、想像を超えるテーマを考え出す。Insider によると、MrBeast は2022年1月、MrBeast のスピンオフブランドのために500万米ドルの投資を受けた。

ゼロからのスタート、動画配信プラットフォームで2番目に登録者の多いチャンネルを構築

MrBeast(本名 Jimmy Donaldson 氏)は、2012年2月にYouTubeで最初の動画を公開した。13歳の彼が、わずか10年で登録者数1億人を達成し、世界で2番目に登録者数の多い動画クリエイターになるとは誰が想像しただろうか。

YouTube で最も稼ぐクリエイターの1人になったにもかかわらず、彼の動画界でのキャリアは平坦なものではなかった。チャンネルを開設した当初は、オンラインゲーム関連の動画がほとんどで、散発的な登録者数を増やすために投稿を続けていた。

YouTube のアルゴリズムと大衆の視聴習慣を研究する期間を経て、彼は2017年に動画「I Counted To 100,000!」を公開した(「I Counted To 100,000!」は、カメラの前で椅子に座り、40時間かけて1から10万まで数えるというもので、その荒唐無稽さとは裏腹に、公開後すぐに反響を呼び、人気者になるとはこういうことなのだと実感させられた)。

この動画を皮切りに、30日間食事しない、プロの殺し屋にお金を払って自分を追い詰めるなどの過激な挑戦や、1,000人の白内障患者の手術費用や、世界中に2,000万本の木を植えるための募金活動など、チャリティー活動を中心に動画をアップしてきた。今日現在、彼のメインチャンネル「MrBeast」の登録者数は1億人を超え、YouTube で2番目に登録者数の多いチャンネルとなっている。

MrBeast のメインチャンネル「MrBeast」の登録者数は現在1億人を超え、YouTube で2番目に登録者数の多いチャンネルとなっている。
Image credit: MrBeast の YouTube チャンネル

MrBeast ヒットの方程式:時事問題への関心、高い制作費

YouTuber 以外の仕事をするくらいなら、お金が無い状態で生きる方がまだいい。

大学を中退したMrBeastは、その決意を家族に告げ、YouTuber としての道を歩み始めた。

チャンネルの人気が高まるにつれ、MrBeast は一人で仕事をするのではなく、チームを拡大し始めた。Distractify によると、MrBeast のチームは2021年までに30人を超えたという。コンテンツクリエイターやネット上の有名人からなるチームは、MrBeast の動画ブランド構築を助けるだけでなく、時には動画にゲスト出演することもある。

YouTube チャンネルでは、「過激な挑戦 」をテーマにした動画が常に多くのヒットを集めるが、その後の動画でいかに高いヒット率を維持するかは、MrBeast のチームにとって難しい問題だ。

しかし、MrBeast チームは、社会のトレンドを観察し、時事問題に近いテーマを選び、制作費をかけた大規模なキャンペーンを行うことで、新しい動画を公開するたびに話題を作り出すことに成功している。

たとえば、公開からわずか1年で4億8,000万件の視聴を記録した「リアルイカゲーム動画」は、当時の韓国ドラマ人気に倣い、MrBeast が無作為に456人のファンをゲームに参加させ、賞金45.6万米ドルを競わせるというものだった。

25分の作品にかかった費用は、賞金も含めて総額350万米ドル。一方、Netflix の「イカゲーム」のオリジナル・シリーズは、約1時間のエピソード1回につき平均240万米ドルの制作費がかかっている。

動画から異業種への進出、セルフメディアユニコーンへ

Forbes の報道によると、MrBeast は YouTube チャンネルからの広告収入、企業スポンサー、ファンスポンサーを通じて、2021年までにすでに5,400万米ドル以上を稼いでおり、YouTube プラットフォームで最も高収入のクリエイターとなっている。

しかし、MrBeast のチームはこれに満足することなく、2020年にはサイドビジネスの拡大にも着手している。一方では、世界中のファンにリーチするため多言語チャンネルを開設し、他方では、ファストフード・ランド「MrBeast Burger」、スナックブランド「Feastables」、MrBeast の周辺商品を販売するウェブサイト「ShopMrBeast」を立ち上げるなど、食品業界にも進出している。

MrBeast チャンネルの人気とその忠実なファン層を基盤に、MrBeast のスナックブランド「Feastables」は2022年、Sugar Capital、Shrug Captial、Seven Seven Sixから500万米ドルの投資を受けた。

チームは受け取った資金をどのように活用するかは発表していないが、YouTube チャンネルやサイドビジネスのポートフォリオで資金調達を続けており、約15億米ドルの評価額で約1億5,000万米ドルの資金調達を希望している。メディアが MrBeast の資金調達のニュースを伝えたとき、その高い評価額は多くの議論を呼んだ。

MrBeast のユニークな題材のスタイルは、変化の激しいセルフメディアの時代に確固たる足場を築くことを可能にしたが、映画制作における高コストのアプローチが持続可能かどうかは、投資家たちが熟考する疑問になっている。

しかし、まだ資金を確保していないとしても、MrBeast と彼のチームは、動画クリエイターの中では間違いなく生き残るレジェンドだ。そして、一般大衆や観客にとっては、そんなことはどうでもよく、ただもっと楽しみたいだけなのだ。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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