宿泊施設向けオールインワンSaaS「Check Inn」、DNX VとCACから1億円をプレシリーズA調達

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Image credit: Check Inn

宿泊施設向けオールインワンSaaS「Check Inn」を開発・提供する Check Inn は1日、プレシリーズ A ラウンドで1億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、DNX Ventures と CyberAgent Capital。同社では、調達した資金をプロダクトの開発と人材——フィールドセールス、カスタマーサクセス、事業開発、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア——の採用に投資する計画だ。

Check Inn は2021年10月、価格戦略支援 SaaS を運営するプライシングスタジオの開発などに関わった田中健太郎氏により創業。宿泊施設では、主に、予約エンジン、受付・部屋管理のための PMS(Property Management System)、在庫管理のためのサイトコントローラで構成されるが、この中で、特に日本では、サイトコンローラだけが高収益の状態にあるという。

サイトコントローラは宿泊施設の在庫管理を担うため、数ある OTA(オンライン旅行代理店)もこれと API 接続するなどにより、ダブルブッキングなどせずに適切に宿泊予約を販売できるようになっている。営業売上を生み出すフロントエンドに近いシステムであるため、宿泊施設も比較的大きな金額を支払っていて、田中氏によれば、サイトコントローラ事業者は売上の8割が粗利だという。

一方で、PMS は宿泊施設にとっては基幹システム(クラウドベースが多い)ではあるものの、主要3事業者がほぼ寡占している PMS 業界の中で、黒字化できている事業者はほぼない。おそらく、PMS はバックエンドに近いシステムであるため、サイトコントローラに比べれば、相応の料金を取れていない、というところに課題があるのだろう。

Image credit: Check Inn

そこで田中氏らが考えたのが、予約エンジン、PMS、サイトコントローラなどが一体化したオールインワン SaaS だ。前述したように PMS は寡占市場で基幹システムでもあるためスイッチングコストは高いが、サイトコントローラとあわせて、適切な価格で提供できれば宿泊施設の採用が期待できる。

既出のダイナミックプライシングを提供するエンジンなどが今ひとつ普及しなかったのは、レベニューマネジメントの仕組みと連携できなかったから。バラバラの仕組みではなく、宿泊施設全体を一システムで統合的に運用することで、それが可能になる(田中氏)

Check Inn はサイトコントローラとしても新参者になるので、OTA 各社から接続できるようにしないと宿泊施設は予約販売ができない。API 接続することが理想的だが、当初はファイル連携などから始めて、取引量の増加に伴い、双方が API 接続することが期待できるという。

Check Inn は現在50社ほどが使っていて、2024年には ARR(年次経常収益)1億円を目指すとしている。

<参考文献>

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