運動療法クラウドのリハサク、1.5億円をプレシリーズA2調達——PHRのWelbyと提携、医療業界にも進出

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Image credit: Rehasaku

リハビリテーションを支援するリハサクは9日、プレシリーズ A ラウンドのエクステンションで約1.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、DNX Ventures、ANRI、Welby(東証:4438)。DNX Ventures と ANRI は、2019年1月に発表のあった、前回のプレシリーズ A ラウンドに続く参加。PHR(Personal Health Record)サービス大手の Welby とは、リハサクが医療業界向けにサービス拡大するにあたり業務提携する。

リハサクは、整形外科の理学療法士や接骨院の柔道整復師が、患者向けに自宅でのリハビリメニューを作成支援するサービスを提供。医療現場全般の課題として、理学療法士や柔道整復師の長時間労働が問題視される中、患者に対して、少ない時間でも最適化された付加価値の高いサービスを提供できるよう支援する。整形外科や接骨院は、患者が自宅にいるときにも接客ポイントを持てるようになり、サービスのリテンションや予約・集客につなげることを狙う。

リハサクでは昨年9月、理学療法士で共同創業者の近藤慎也氏に代わり、オラクルや心臓ペースメーカー大手 Medtronic 出身で、 SaaS ヘルスケアのマネジメントを経験した谷垣主税氏が代表取締役に就任した(近藤氏は、取締役兼カスタマーサクセス責任者として続投)。

谷垣氏によれば、リハサクのユーザの9割は治療院業界で、リハサクを通じて患者に運動療法を提供できることに好意的なものの、治療院の中には、既存顧客のリテンションよりも新規顧客獲得のために、Web サイトのリニューアルや MEO(マップエンジン最適化)に注力するところが増えてきたという。リテンションよりも新規開拓がバーニングニーズなのだ。リハサクは、治療院にとってのこうしたノンコア業務も含めた、総合的なソリューションを提供していくという。

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そんなソリューションの一つが AI を使った姿勢分析だ。モーショントラッキング技術(サードパーティ開発)と AI による分析(自社開発アルゴリズム)により、患者の不良姿勢からくる痛みに対して、セラピストが適切なアプローチをできるよう支援する。AI を使った姿勢分析については、国内に3社ほどのプレーヤーがいるが、これ単体というより、治療全体の一環として機能を提供しているという点では特徴的かもしれない。

また、医療分野における治療は、服薬、食事療法、運動療法によって構成されるべきだが、現在のところ、日本の医療業界では、運動の観点からのモニタリングや治療状況のトラッキングをするための情報が欠けているとされ、Welby とは、この点を念頭に、リハサクを積極的に医療業界(医療機関や製薬会社)に採用を促すことになるようだ。谷垣氏によれば、最近は、オンコロジー(腫瘍学)、つまり、がん治療の一環として運動療法を適用する例が海外などでは増えているという。

現在の日本の医療制度の中では、理学療法士ががん治療の一環として運動療法を指導しても利益にならない(保険点数がつかないため)。ただ、アメリカでは、がん治療の一環としての運動療法が民間保険で認められているケースがあるそうで、将来的にその波は日本にもやってくるかもしれない。服薬に耐えられる体力づくりのための運動療法という見方もある。将来的に、モバイルヘルケアアプリと連携や DTx(デジタルセラピューティクス)としての活用も視野に入れられるだろう。

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