ChatGPT登場から1年ーー会話型AIの今をおさらいしてみよう

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Image credit : ChatGPT generated by BRIDGE

ちょうど1年前、OpenAIがChatGPTを立ち上げたとき、AIを活用したパーソナル・アシスタントというアイデアの実現は世界中の多くの人にとって斬新なものとなった。

かつて私たちは、あらかじめプログラムされた返答ができるチャットボットは見たことがあったが、実際の会話ができるとは誰も思わなかった。何でも話すことができ、旅行の日程を準備したり、複雑なテーマについての洞察を提供したり、長文の記事を書いたりするなど、あらゆる種類の時間のかかる作業を手助けすることができる。

イタリアでの短期間の使用禁止からサム・アルトマン(Sam Altman)氏の失脚と凱旋まで、ChatGPTには様々なドラマがあった。ChatGPTは何百万人ものインターネットユーザーにとって、頼りになるAIアシスタントであり続けている。ChatGPTはウェブとモバイルデバイスに存在し、様々なタスクを支援し、何十億という規模のエンゲージメントを生み出している。

SimilarWebによると、2023年10月だけでChatGPTはモバイルとウェブで約17億回の訪問を記録し、1億9,300万人のユニークビジターが訪れ、1回の訪問は約8分間続いた。これは、ZoomやGoogle Meet(2億1,400万回)を含むインターネット上の人気サービス(5億9,900万回)をはるかに上回る数字だ。

しかし、ChatGPTは、会話型AIを数カ月で数百万人の生活にもたらしただけでなく、より広範なAIエコシステムを活性化させることにも成功した。ChatGPTの登場直後から、生成AIが話題となり、テキスト、音楽、動画、コードを生成する消費者向けのサービスが数多く登場した。

また、Github Copilotや Perplexity AIのようなサービスの多くは、ChatGPTの基盤となっているGPTシリーズを微調整したバージョンを活用している。いくつかの企業や新興企業も、社内のビジネスアプリケーションのためにOpenAIのAPIを利用し、データ分析のような細かいタスクのためにカスタムGPTを作成している。

さらに重要なことは、このAIバンドワゴンに飛び乗る競争の中で、多くのスタートアップやテクノロジー大手も独自の大規模言語モデル(LLM)を開発し、ユーザーのプロンプトを理解し、推論し、応答することができる汎用チャットボットを発表したことだ。確かに、それらはまだChatGPTほど普及していないかもしれないが、OpenAIアシスタントがその種の唯一のものではないことを物語っている。

つまり、ChatGPTがこの分野を民主化したことは確かだ。

会話型AIアシスタントの時代

OpenAIの後、最初に登場したのはAnthropicとGoogleだった。 ChatGPTのローンチからわずか数カ月後、両社はそれぞれの会話アシスタントであるClaudeBardをデビューさせた。

元OpenAIの従業員によって2021年に設立されたAnthropicは、安全性と倫理に重点を置いており、アシスタントを「憲法的AI(訳注:AIが法律の秩序に則っているという意)」として訓練している。一方、BardはPathways Language Model 2に基づいて構築されており、詳細な文脈と情報源を持ち、クエリに対する回答を提供する。インターネットへのアクセスと自然言語処理を使用し、Google検索を中心に動作する。

どちらもChatGPTの最大のライバルと見られている。だが、それだけではない。ClaudeとBardの登場に続いて他の興味深いチャットボットも登場し始めた。

登場から1年が経過したInflection AIのPiアシスタントは、ライバルよりもパーソナルで口語的にデザインされている。また、Corhereが提供するCoralは企業向けに特価した。もちろん、Meta PlatformsのLlama 2モデルも忘れてはならない。Llama2はオープンソースであるため、開発や微調整の波が巻き起こっている。

また、Elon Musk(イーロン・マスク)氏のxAIが発表したGrokは、ユーモアと皮肉たっぷりにリアルタイムのXデータを使用して最新の情報を提供する。

これらのアシスタントは、一般的な検索やテキストの要約から文章作成まで、ユーザーを支援するために設計されているが、常に進化し続けていることを念頭に置かなければならない。今日持っている機能や制限が、数カ月後にそのまま残っているとは限らない。

結局のところ、ChatGPTが1年前にローンチしたときは、テキストベースのアシスタントだった。現在では、音声コマンドや画像を入力としてサポートし、Alexaのように独自の声で返答することもできる。

市場別アシスタントはこちら

上記のような大規模なものだけでなく、さまざまな業界や利用者、言語、より明確な用途に合わせた、市場特有のAIアシスタントもいくつか開発されている。

例えば韓国のインターネット大手ネイバーのHyperClovaX、中国の有名なErnie、最近導入されたDeepSeekチャットボット、農業ビジネス向けに設計されたPoroと Nucleusなどがある。

インドのReliance Industriesもまた、同国の多様な方言向けに設計された生成AIアシスタントの立ち上げに動いており、そのためにNvidiaのコンピューティング・インフラを確保している。

とはいえ、会話型AIの約束を実現するためにすでに多くのプレーヤーが取り組んでおり、さらに多くのプレーヤーが発表に向けて動き出していることから、AI競争はまだ終わっていないと言っていいだろう。基礎となるモデルが改善され、チャットボットが幻覚(訳注:生成型AIが嘘を出力する現象)を最小限に抑えつつ、より自然で適切な応答を提供する能力などの機能が向上するにつれ、これらのプレイヤー間の差は縮まり、AIのレベルをさらに押し上げると予想される。

誕生から1周年を迎えたChatGPTは、AIゲームのカテゴリーリーダーであり続けている。しかし彼らが今後の数年間でどのようにこの地位を維持し、また、すべての人にとって安全で責任あるAGIにどのように向かっていくのかが注目される。Precedence Researchによると、世界の会話型AI市場は今後数年で24%近く成長し、2032年までに860億ドルを超えると予想している。LLMはコモディティ化し、すべての業界、あるいはすべての企業が独自のLLMを持つようになるのだろうか?

それは時間が解決してくれるだろう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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