Andreessen Horowitz（a16z）が社内パートナー40名超を対象に調査した2024年、技術分野のビッグアイデアを公開した。コンシューマテック、バイオ／ヘルスケア、フィンテック、グロースステージテックの各分野で重要なポイントをまとめてみた。このほかにも、ゲーム、仮想通貨など、全ての分野に関する詳細はこちらで確認できる。

コンシューマテック

ChatGPT のような汎用 AI ではなく、特定の分野に特化したソリューションがより流行すると予想される。研究者、記者、デザイナーなど分野別にカスタマイズされた AI ツールが登場し、日常 AI 製品も特定の用途に合わせて改善されるだろう。

2023年に ChatGPT などが大学生に活用され学習環境が変わったが、2024年にはこのような AI 技術がさらに発展し、幼児教育分野にも適用されると予想される。子供の創造性と想像力を育てる驚くべき可能性が期待できる。

先端的な生成 AI 技術が創造限界コストをほぼゼロに下げながら、全く新しい消費者行動面が現れると予測される。コーディングを必要とせず、生成 AI ツール間の一連のシーケンスを連結して驚くべき成果物を創出可能になる。

AI を使った作成ツールは、初期製品は単純な生成機能に焦点を当てていたが、進化したツールはより柔軟で双方向の作成プロセスを可能にし、写真⇄アニメーション、ビデオ⇄アニメーション、2D-3D変換など新機能に期待が集まる。

バイオ／ヘルスケア

2023年「奇跡の薬」と呼ばれる GLP-1 治療法や治療用細胞・遺伝子治療法などが登場したが、いくつかの理由で効力が低下している。伝統的な医薬品開発は時間とコストがかかるが、再利用可能なロケット医薬品は同じ部品を再利用することでコストを下げられる。

医療スタッフを支援するソフトウェアとデータプラットフォームが注目され、AI 技術は電子医療自動記録、精密治療計画などを通じて医療スタッフの負担を軽減し、患者治療に集中できるようにしており、AI 技術は価値ベースの医療導入促進、患者にもっと効果的な治療を提供できるようになるだろう。

AI が急速に発展し、科学、医療分野にもイノベーションの機会がやってくる。ファックス、手作業のデータ入力に依存していた医療分野への AI 導入で画期的な跳躍を遂げ、医療従事者、患者の生活を向上させることが期待される。

フィンテック

最近、Silicon Valley Bank 倒産の余波で、アメリカの地域・コミュニティ銀行は、厳しい規制、高い金利環境で困難を経験しているが、地域経済の活性化に非常に重要な役割を担っており、フィンテック企業がこれらを支援する技術やサービスを開発すると期待される。

AI が金融分野で業務自動化を推進していて、顧客とのコミュニケーションなどに変化が生じるだろう。既存企業は AI 技術を独自のソフトウェアに統合し、一方で、新たなフィンテック企業はソフトウェアを活用して顧客確保や信頼構築に努めると考えられる。

2024年には、大規模言語モデル（LLM）技術を活用するスタートアップが、既存システムが収集しにくかったデータ（メール、スプレッドシートなど）を自動タグ付けして保存するようになる。旧式システムとソフトウェアに依存していた金融業界がクラウドコンピューティングを活用する意志が高まる。

金融機関はさまざまな運用ワークフローにわたり、AI ネイティブアプリ（エンジニアリング、法務、コンプライアンスなど）を導入することになり、企業収益と損失に与える影響は大きい。ラテンアメリカの多くはまだ筆記作業に依存しており、DX を牽引するスタートアップに大きな成長可能性がある。

グロースステージテック

AI 技術は今後、単純なテキスト会話を超えて多様な形式を総合するマルチモーダルモデルに発展することが予想され、人と AI の間のインタラクションをより深いものにするだろう。販売データの正確性はマーケティングと販売組織の重要な問題であり、AI セールステックには期待が高まる。

これまで ChatGPT、Bard、Midjourney などが人気のAI企業だったなら、今後はマルチユーザモード、複数モデル統合、ワークフロー中心ソリューション開発など、独自のユースケースと優れた UX（ユーザ体験）を備えた AI アプリが注目を集めることになるだろう。