AI を超えて:Nvidia がどのように量子コンピューティングのスケールアップを支援しているか

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 Image Credit: Venturebeat made with Ideogram

Quantum は、コンピューティングの次のフロンティアとなることが期待されている。しかし、それは完全に実現されるにはほど遠い途方もない取り組みだ。研究者たちは、エラー修正、スケーラビリティ、コスト、および非常に高性能なシミュレーションを処理するのに十分な複雑性と能力を持つハードウェアとソフトウェアなど、多くの分野で引き続き課題に直面している。

このコンピューティングの 次の段階 への科学的探求を支援し加速するために、Nvidia は18日、クラウド上で新しい量子アプリとアルゴリズムを構築してテストできる Quantum Cloud を立ち上げた。

このマイクロサービスは、Nvidiaのオープンソースの CUDA-Q量子コンピューティングプラットフォーム に基づいており、同社によると、量子処理ユニット(QPU)を展開している企業の4分の3がこのプラットフォームを使用しているという。

「量子コンピューティングは、コンピューティングの次の革命的なフロンティアを示している」と、Nvidiaの HPCおよび量子コンピューティング担当ディレクターである Tim Costa(ティム・コスタ)氏は述べた。

「この未来を一歩でも近づけるには、世界で最も優れた頭脳が必要とされるだろう」。(Costa 氏)

量子へのバリアを打ち破る

新しい Nvidia Quantum Cloud は、「科学的探求を加速する」ことを目的としている。その機能には以下のようなものがある:

  • Generative Quantum Eigensolverは、トロント大学との共同で開発された。このテクノロジーは、大規模言語モデル(LLM)を活用して、量子コンピューターが分子の基底状態エネルギー(つまり、最も安定した配置)をより迅速に発見できるようにする
  • QC Ware Promethiumは、分子シミュレーションなどの複雑な量子化学の問題に取り組む
  • ClassiqとCUDA-Qの統合により、量子研究者は大規模なプログラムを生成し、量子回路を分析・実行できるようになる

Nvidia Quantum Cloud は、「この革新的なテクノロジーを探求するためのバリアを打ち破る」ことを目的としている。その目標は、「世界中のすべての科学者が量子コンピューティングの力を活用し、彼らのアイデアを現実に近づけるのを助けること」だと Costa 氏は述べた。

Nvidiaの量子エコシステム

Nvidia は量子コンピューティングに160のパートナーを持っており、多くのトップテック企業や量子企業が Quantum Cloud をサービスに組み込んでいると述べている。これには、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud、IonQ、IQM Quantum Computers、OQC、ORCA Computing、qBraid、Quantinuumなどが含まれる。

例えば、HSBC の研究者たちは、デジタル決済の不正を検知できる量子機械学習(ML)アプリケーションを設計した。これは、Nvidia GPU で「驚異的な」165量子ビットをシミュレートした。通常、プロジェクトはこの基本的な計算単位の40を超えることはない。

研究者たちは、Nvidia GPU で CUDA Quantumと cuTensorNet ソフトウェアを使用して実装された ML テクニックのおかげで、スケールの課題を克服することができたと同社は述べている。

Nvidia はさらに、次世代のコンピューター科学者の育成を支援するために、20以上の大学と協力している。これには、CUDA Quantum を中心としたカリキュラムと教材の設計が含まれる。同社はまた、最近、量子ハッカソン QHack の共同スポンサーを務めた。優勝したインド企業 Qkrishi のチームは、CUDA Quantum を使用して、より良い電池の設計に不可欠な材料をシミュレートするアルゴリズムを開発した。

「従来のコンピューターと量子系との橋渡しは、コンピューティングの未来にとって不可欠だ」と、カーネギーメロン大学の研究担当副学長である Theresa Mayer(テレサ・マイヤー)氏は声明の中で述べた。彼女の学校やその他の学校との Nvidia のパートナーシップは、「学生や研究者がこの新興のハイブリッド環境をナビゲートし、そこで優れた成果を上げるのを助ける」ことを目的としている。

世界中の量子プロジェクトをサポート

Nvidia の CUDA Quantum やその他のシステムは、他にも多くの量子の取り組みに使用されていると同社は報告している。

これには以下のようなものが含まれる:

  • QC Ware の量子化学パッケージ Promethium と Nvidia Quantum Cloud の統合
  • 量子コンピューティング研究に特化した最大規模のスーパーコンピューターの1つである、日本の産業技術総合研究所の ABCI-Qプロジェクト
  • Novo Nordisk Foundation による Nvidia DGX SuperPOD の導入
  • オーストラリアの Pawsey Supercomputing Research Centre によるNVIDIA Grace Hopper SuperchipsへのCUDA Quantumの導入
  • イスラエルのスタートアップ企業 Classiq による新しいCUDA Quantum統合。同社のテクノロジーは、高レベルの機能モデルが自動的に最適化された量子プログラムを生成するのを助けるため、研究者は将来のアルゴリズムの研究を拡大できる
  • 英国の国立量子コンピューティングセンターのための量子コンピューティングテストベッドの構築と供給を目指す ORCA Computing の取り組み。これには、CUDA Quantum を使用した Nvidia GPU クラスターが含まれる
  • クラウドベースのプラットフォーム qBraid の開発者環境への CUDA Quantum の統合
  • BlueQubit による研究。同社は、Nvidia のテクノロジーが GPU 上で可能な「最速かつ最大の」量子エミュレーションを提供していることを発見した

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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