インフキュリオン、19億円を調達——北國FHD、JR西日本Gとは業務提携で協業も

SHARE:
Image credit: Infcurion

<3日15:30更新> 後尾3段落を追記。

フィンテックスタートアップのインフキュリオンは3日、直近のラウンドで19億円を調達したと発表した。

このラウンドに参加したのは、QR インベストメント(北國フィナンシャルホールディングス=北國 FG 傘下の投資専門会社)、JR 西日本イノベーションズ、静岡キャピタル(静岡銀行グループの投資専門会社)、S Ventures(サツドラホールディングスの CVC)。ラウンドステージは不明。調達金額にはデットが含まれる。

これは同社にとって、2021年10月に実施した22億円の調達に続いて5回目の調達となる。

インフキュリオンは、次世代決済プラットフォームの提供や決済関連ソリューション事業を手がける。2020年にはカード即時発行プラットフォーム「Kyash Direct」を事業譲受し、その後、「Xard(エクサード)」としてローンチしたほか、近年では Embedded Finance の分野でも先駆的な取り組みを行っている。

調達した資金は、プラットフォーム機能の強化、JR 西日本の新決済サービス「WESTER ウォレット(仮称)」への参画、BtoB や北國 FG とのアクワイアリング領域での新サービス開発、人材採用に投じられる。

WESTER ウォレットとは、1日約500万人の沿線利用客を擁する JR 西日本が、グループ各社のサービスを通じて新たな顧客層と売上の掘り起こしを図ろうとするスマートフォン決済サービスだ。JR 西日本はこの新サービスを2024年度中に開始すると明らかにしている。

カード決済分野で地方銀行による新サービスの立ち上げが相次いでいる。インフキュリオン代表取締役の丸山弘毅氏は、「地銀がカード決済ビジネスに参入するメリットは大きい」と語る。例えば、地銀自らがカード決済ビジネスを運営することで実現可能な強みは、VISA やマスターカードといったブランドから翌日に加盟店への入金が可能になることなどが挙げられる。

同社は 北國 FHG や JR 西日本とは、次世代の地域決済デジタルプラットフォームの構築を進める。北國 FHG 傘下の北國銀行は、日本ではまだ珍しいマルチクラウド基盤のシステムを採用しており、カード決済の基盤についてもインフキュリオンが担当することになる。クラウド一元化により、加盟店の売上動向が銀行側で見え、加盟店に融資やレンディングサービスなどの提供も容易になる。

インフキュリオンが提供するシステムは VISA やマスターカードのネットワークに直接つなぐ方式で、従来は必要だったネットワーク事業者(決済ゲートウェイ)は不要になる。また、従来のアクワイアリングのシステムはレガシーでコストが高かったが、クラウド基盤に移行することで新規参入が容易になる。丸山氏は「今後、日本でもこうした地銀や地域企業による決済サービスが広がっていくのではないか」と期待感を示した。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する