店舗マーケ支援SaaS「口コミコム」運営のmov、15億円をシリーズB1調達——累積調達額は35億円、AI機能強化へ

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Image credit: mov

AI 店舗支援 SaaS「口コミコム」やインバウンド担当者向けメディア「訪日ラボ」を運営する mov は21日、シリーズ B ラウンドの1st クローズで約15億円を調達したと発表した。このラウンドは Coral Capital がリードし、SMBC ベンチャーキャピタル、千葉道場ファンド、KDDI Open Innovation Fund、NTT ドコモ・ベンチャーズ、楽天キャピタル、i-nest capital が参加した。

これは mov にとって、2022年5月に明らかにしたシリーズ A ラウンドに続くものだ。今回の調達により、mov の累積調達額は約35億円に達した。

今回は既存の株主さんが全額出資してくれました。昨今のスタートアップ業界で調達状況が厳しい中、新規の投資家に当たらずとも15億円調達できたのは大きな手応えになりました。このまま調達を進め、年内には2nd クローズを発表できればと思っています。(mov 代表取締役 CEO の渡邊誠氏)

渡邊誠氏

日本には小売店や飲食店など、リアル店舗の数が約280万軒あるそうで、具体的な数は現時点で非公開とのことだが、このうちのかなりの数が口コミコムを使っている。口コミコムは、口コミサイトや Google マップ上の情報を一括で管理できる仕組みだが、短期間の間に多くの店舗に浸透できた背景には、株主でもある NTT ドコモが提供する d ポイントアプリ内の店舗情報管理システムとの連携があった。口コミコムが店舗情報管理システムのインターフェイスとして機能しているわけだ(当機能単体は無料で使える)。

実際、d ポイントアプリには「たまる・つかえるお店」というメニューがあり、そこに各店舗の基本情報が掲載されている。しかし、これまでこれらの情報を更新する専用のシステムがなく、個々の店舗が手作業で情報を入力するのは現実的ではなかった。そこで、mov の口コミコムがこのシステム上で店舗情報の一括管理を実現、d ポイント対応の幅広い店舗に口コミコムがリーチできたのだ。ただ、mov は NTT ドコモとだけ蜜月関係かと言うと、KDDI や楽天からも出資を受けており、こちらの動向も気になるところだ。

mov では今回の調達を受けて、今後 AI 機能の導入に注力する考えだ。

今後、口コミへの自動返信機能や、口コミ分析による改善ポイント可視化機能を投入予定です。これまでは目視では対応しきれない膨大な口コミデータを、AI で効率的に分析し、店舗運営に活かせるようにしていきます。キャリア各社と連携しながら、店舗のデジタルシフトを加速させていきたい考えです。(渡邊氏)

この分野では、Googleマイビジネス一元管理クラウド「カンリー」が累積で5.3億円、リアル店舗向けのマーケティング業務一元化・効率化 SaaS「STOREPAD」を開発・提供するイクシアスが先月、シリーズ A ラウンドで5.1億円を調達している。

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