2023年度の政策反映は10例、次世代の政策共創を支援するPoliPoli/【MUGENLABO Café・推しスタ】

PoliPoli 代表取締役/CEOの伊藤和真氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

2018年2月設立のPoliPoli(ポリポリ)は、政治・行政と国民や民間企業をつなぐ政策共創プラットフォームを運営するスタートアップです。そのPoliPoli が、スタートアップの事業活動の活発さを評価する「BRIDGE HOT 100」の6月発表分のチャートで1位(5月発表分では2位)を獲得しました。

5月13日には、運営するプラットフォームで実現した直近1年間の政策共創事例について「インパクトレポート(β版)」として発表したPoliPoli。同社代表/CEOの伊藤和真氏に、レポート発表の意図や最近の活動状況などについて聞きました。

スタートアップの立場で政治・行政を変えるサービスを提供

「新しい政治・行政の仕組みをつくりつづけることで、世界中の人々の幸せな暮らしに貢献する」をミッションに掲げるPoliPoli。提供するサービスは、以下のように多岐にわたります。

  1. 政治家や行政と市民とをつなげるオンラインプラットフォーム「PoliPoli」「PoliPoli Gov
  2. 企業や団体向けにルールメイキング支援や政府渉外をサポートする「PoliPoli Enterprise
  3. NPOなどの知見を持つ団体などに資金を提供し、政策共創のための実証実験を支援する寄付基金「Policy Fund
PoliPoliが提供するサービス群

PoliPoliは、政治・行政と民間との距離が遠いということがきっかけで始めた会社で、政治・行政という領域を民間からスタートアップとして変えていこうという思いは変わっていません。政治・行政が全ての課題を把握して対応するのは難しい時代。NPOや企業、個人の方々が持つアイデアやリソースを出し合い、一緒に政策を共創する取り組みを支援するプラットフォームを運営しています。(伊藤氏)

また2023年1月からは、「グローバルヘルス」の領域で若い世代の活動をサポートする「Reach Out Project(リーチアウトプロジェクト)」を主催。グローバルヘルスとは国際的な視点から人類の健康、感染症予防、医療アクセス向上などの課題に対処する分野で、課題解決に取り組みたいという若者へ知識のインプットや政策提言の機会提供、ネットワーキングやマッチング、資金提供を行っています。

PoliPoliがNPOやNGOではなく、スタートアップという形態を選んだのは、スケールとスピードを求めるため。スタートアップの方が資金や人材を集めやすく、投資により生み出される社会への影響=インパクトをスケール感・スピード感をもって出したい考えからだといいます。

設立から6年、プラットフォーム開始から4年がたった今。PoliPoliがサービスによる政策共創で実現したことをまとめた「インパクトレポート」を発表したのは、実績を可視化し、発信することの重要性を認識してのことでした。

僕らはよく、「PoliPoliって社会に役立っていそうではあるけれど、実際、何をしている会社なのか分からない」と言われるんです。サービスも多岐に及び、事業の複雑性が高いPoliPoliが、社会にどう貢献し、どのようなインパクトを出しているのかを可視化するレポーティングは大事だと考えました。(伊藤氏)

2023年度は10例の政策反映を実現、若い世代の声を届ける活動も

インパクトレポートでは、2023年度(2023年2月〜2024年1月)にPoliPoliのプラットフォームで実現した政策反映実績の例や、先述したReach Out Project、Policy Fundの資金拠出の実績などが紹介されています。

Reach Out Projectは2023年1月の運営開始以降、1630万円を拠出し、グローバルヘルス分野で活躍する若者や団体を支援。2023年8月からは第二期を運営中で、延べ約80人が参加しています。

また、2023年9月に立ち上げたばかりのPolicy Fundでは、2024年1月までの間に社会課題解決のための事業を展開するNPOなどの団体へ300万円を拠出し、政策提言のための伴走支援が始まっています(2024年4月時点では約4000万円を拠出)。

Reach Out ProjectとPolicy Fundは、共に政策共創や提言のために資金を提供する目的を持っています。NGOセクターでは特に資金が不足していますが、現場を見ての政策提言は大変意義のあることです。PoliPoliでは個人や財団から資金を集め、この問題の解決を目指しています。(伊藤氏)

また、政策反映が実現したのは、以下の10例です。

《政策反映実績10例》

  • PoliPoli Enterpriseで支援した4社のリスキリングに関する提言が政府の新しい資本主義「三位一体の労働改革の指針」に反映
  • PoliPoliの政策リクエスト「教員不足をなくそう!」が「骨太の方針2023」に反映
  • 4つの政策提言がODA大綱に反映
  • PoliPoli Govでの意見募集結果が妊娠・出産手続きのオンライン化決定の一助に
  • PoliPoli Govによる意見募集結果がこども家庭庁「はじめの100か月の育ちビジョン」策定に寄与
  • PoliPoli Govでの意見募集結果が群馬県「リトリートプラン」策定に寄与
  • PoliPoli Govでの意見募集結果が群馬県の自転車事故防止対策に反映
  • PoliPoli Govでの意見募集結果が経済産業省の社会起業家支援「ゼロイチ」プログラム反映
  • PoliPoli Enterpriseで支援したクリエイターエコノミー協会による継続的な意見交換の結果が、クリエイター等育成事業に45億円の補正予算
  • PoliPoli政策リクエスト「法人登記の代表取締役の個人情報保護に関する提言」などを受け、法務省がパブコメを実施。その結果、町名や番地など非公開にできるよう商業登記規則改正が決定

岸田政権が掲げた「三位一体の労働改革の指針」については、スタートアップを含め、なかなか提言がありませんでした。そこでPoliPoli Enterpriseでスタートアップ4社の提言取りまとめなどを行っています。また「骨太の方針2023」については、PoliPoliにおける個人の有識者の方からの提言が実際に反映されています。

8年ぶりに改訂された、ODA(政府開発援助)の基本指針となる「ODA大綱」には、Reach Out Projectのメンバーから挙がった「国境なき感染症対策」を実現する4つの提言が反映。

こども家庭庁の手続きオンライン化などの施策や群馬県などの自治体の施策、代表者住所の非開示化、クリエイターの海外展開支援などの施策などにも、PoliPoliのサービスを通じて生まれたアイデアや提言が反映されています。(伊藤氏)

その他にも2023年には、これまで閉ざされていた政党の部会などに若い世代の「リバースメンター」を派遣しての意見交換を通じて意見を反映する取り組みや、「日ASEAN・Z世代ビジネスリーダーズサミット」開催によって民間外交を促し、各国代表からの提言をそれぞれの政権へ渡すといった取り組みも実施しています。

創業から6年が経過し、徐々に成果が出始めているPoliPoli。今後もGovTechやインパクト領域で、さまざまな事業を展開していく予定です。

既存の事業や取り組みも倍ぐらいには成長すると考えていますが、政策共創をもっと強化できるような事業や取り組みがあるはずで、新しいサービスもどんどん作っていきます。GovTechは1億人が関わり、複雑にならざるを得ない領域です。しかし複雑性を許容しつつ、深みのある会社を目指して努力を重ねていくことが、日本型スタートアップのあり方の1つではないかと考えています。チャレンジングな領域ですが、楽しみながら取り組んでいきたいと思います。(伊藤氏)

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