5周年を迎えたTENTIAL、〝パラ二刀流〟の村岡桃佳選手とサポート契約——秋冬の新製品、「疾病就業」改善に向けた取り組みも

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左から TENTIAL CEO の中西裕太郎氏、村岡桃佳氏(トヨタ自動車)
Image credit: Masaru Ikeda

TENTIAL は3日、毎年2回開催している新商品・新サービス発表会を開催した。同社は2018年に創業し(当時の社名はアスポール)、現在7期目を迎えている。2019年にはコンディショニングブランド TENTIAL を立ち上げ、今年の8月で5周年を迎えた。この5年間で商品数を増やし、販売チャネルも拡大。アパレル事業であるにもかかわらず、国内有数の SaaS 企業のような成長率(T2D3)を実現しているという。

冒頭登壇した CEO の中西裕太郎氏は、OECD 加盟国の中で日本の睡眠時間は最下位で、特にプレゼンティーイズム(日本語では「疾病就業」と訳される。出社はしているものの心身の不調により生産性が低下している状態)による経済損失は19兆円にも上り、1人当たりでは医療費の2.8倍に相当すると指摘。このような状況から、企業では、健康経営(従業員の健康増進を重視した経営)が大きなテーマになっているという。

TENTIAL にとって重要な存在が、挑戦を続けるアスリートだ。同社はアスリートに商品を PR してもらうだけでなく、アスリートの支援を通じて商品開発に生かしたり、コンディショニングの啓蒙を目指したりしている。これまで、平野美宇氏(木下グループ)、米大リーグの今永昇太投手氏(カブス)らと契約していたが、新たに村岡桃佳氏(トヨタ自動車)が加わることとなった。

村岡桃佳氏(トヨタ自動車)
Image credit: Masaru Ikeda

村岡氏は、パラアルペンスキーとパラ陸上競技の両方で活躍する「二刀流選手」として知られる。

TENTIAL さんが掲げる人類のポテンシャルを引き出すというミッションには、私自身も日々自分のポテンシャルを最大限に発揮することを目指して前向きに競技に取り組んでいますので、とても共感しています。(村岡氏)

プレゼンティーイズム改善への取り組み

このイベントでは、TENTIAL が医療機器製造販売業の許可を取得したことも明らかにした。中西氏に続いて登壇した執行役員 Chief R&D Officer(CRO)の舟山健太氏によれば、今回取得したのは第二種で、これまでのクラス1の一般医療機器のみならず、クラス2の管理医療機器まで取り扱えるようになったという。

このライセンスを取得したことで医療機器の販売のみならず、医療機器の設計や品質管理、安全管理まで内製化できるようになります。まさに医療機器メーカーとしての仲間入りを果たしたことになります。(舟山氏)

舟山氏は、プレゼンティーイズムが健康関連コストの中で67%と最も高い割合を示しており、医療費に対して約3倍のコストがかかるという調査結果を紹介。その中身は肩こりや疲労、睡眠不足や頭痛、目の疲れなど、生活者なら誰しも抱える健康課題で構成されているという。

TENTIAL はこうした社会課題をコンディショニングの力で解決するべく、昨年から様々な企業と協力して従業員の健康課題を改善する実証実験を行ってきた。今回は、サイバーエージェントとビックカメラの協力を得て実施した、新たに2つの取り組みが報告された。

TENTIAL 執行役員 Chief R&D Officer(CRO)の舟山健太氏
Image credit: Masaru Ikeda

サイバーエージェントの社員29名を対象に、BAKUNE もしくは比較対象品を7日間使用してもらい、睡眠の評価と日中の眠気の評価を行った結果、睡眠の質と日中の眠気に関して統計的に改善が見られたという。特に睡眠の質が悪い人が減り、睡眠の質が高い人が増えたという。また、マネージャー層の方が睡眠の質が低く、リカバリーウェアによる効果も高いという興味深い結果も得られた。

この睡眠改善効果を経済効果に換算すると、1人当たり年間で17万円の経済損失を防止できるという。仮にサイバーエージェントが全社導入した場合、約8.2億円の経済効果の可能性があるという試算結果が示された。

また、ビックカメラの販売店員を対象に、日中に使うリカバリーウェアを着用してもらい、日中の健康課題の改善効果を調査した。その結果、体全体の疲労感には即効的な効果は見られなかったものの、頭痛や目の疲れといった症状を改善する効果が確認された。これによるプレゼンティーイズムの経済損失改善効果は1人当たり4万円と試算された。ビックカメラが全社的に導入した場合、約2億円の改善効果の可能性があるという。

現在80種類以上の商品を展開、直営店は来春までに15店舗へ

TENTIAL 執行役員 事業本部長の南日政俊氏
Image credit: Masaru Ikeda

TENTIAL は、現在80種類以上の商品を展開している。また、実際に商品を手に取って体験できる直営店を全国9店舗で展開しており、今後も拡大を予定している。執行役員 事業本部長の南日政俊氏は「来年の春には15店舗まで拡大していく」と述べた。直営店以外にも、量販店内に特設コーナーを設置する「SHOP in SHOP」形式での展開も進めており、こちらは現在80店舗まで拡大しているという。

来る9月から10月にかけて、TENTIAL は2024年秋冬の新商品を複数同時に発売することも明らかにした。新たに発売されるのは以下のとおりだ。

  1. BAKUNE シリーズに新素材
    主力商品である「BAKUNE」シリーズから、Velour、Pajamas Satin、Soft Knit の3素材を同時にリリースする。これらはすべて、特殊機能繊維「SELFLAME(TENTIAL にも出資する繊維商社の豊島が開発)」を使用しており、血行促進による肩こりや腰痛、疲労回復の効果が期待できるという。
  2. BAKUNE Comforter
    スリープコンディショニングテクノロジーを使用した掛け布団「BAKUNE Comforter」シリーズに、新たに「Extra Warm」と敷きパッド「Bed Pad Warm」を追加。Extra Warm は独自の6層構造で快適な温度調整を可能にしているという。
  3. MIGARU シリーズの拡充
    日中の活動用ウェアである「MIGARU」シリーズを拡充。特に長距離移動や自宅でのリラックス、リモートワークのシーンに適した新商品を開発した。ダンボールニット素材を使用し、軽量かつ保温性の高い製品となっている。
Image credit: Masaru Ikeda

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