対応すべき顧客の優先度を可視化するHiCustomer、サブスク時代のCS需要見越すーーB2B事業育成手がけた鈴木氏が起業

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2018.4.23

HiCustomer代表取締役の鈴木大貴氏

B2B SaaS事業者向けの顧客解析ツール「HiCustomer」は4月23日、同サービスのクローズドβの提供を開始すると公表した。テスト期間中の利用は無料で、期間については導入各社によって異なる。利用を希望する場合はサイトから申し込みが必要。

HiCustormerは主に企業向けのサブスクリプション(定期購入・課金)をビジネスモデルにする、クラウドサービス事業者向け顧客解析ツール。導入顧客のサービスサイトに専用タグを埋め込むことで訪問客の導線を把握し、その動向によって利用顧客のユーザーをスコアリングし、対応すべき優先順位を可視化してくれる。スコアリング方法については各サービス毎によって異なるため、HiCustormerの管理画面にて設定ができるようになっている。

特にオンボーディング(導入)期間中のオンライン顧客対応を狙っており、各社で設定されているLTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)の最大化を可能にするとしている。

無料から有料へのかけ橋

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B2B SaaS事業、特に積み上げ式のサブスクリプションモデルは大変堅調で、衣食住それぞれに関わる対企業サービスが次々と立ち上がっている。好調ぶりが聞こえる一方、各社の細かい仕様に合わせたものをクラウドの汎用ツールに置き換える場合、導入までのコストが高くなる場合も散見される。

例えばクラウド会計サービスなどは、それまで付き合いのある税理士が対応してなかったりすると導入ハードルが一気にあがる、といった具合だ。こういった状況にクラウドサービス各社は顧客対応として「カスタマーサクセス(CS)」チームを置くことが一般的になりつつあるが、HiCustomerはこのCSチームの効率化を担う「ゴールドラッシュのツルハシ」的なポジショニングを狙っていると言えばいいだろうか。

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大きくこのHiCustomerが役立つシーンは3つある。まず無料プランから有料への移行時期。

先の例に挙げたクラウド会計サービスなどを使ってみたことある事業者であれば理解できると思うが、こういったツール類が実際に使えるかどうかはやはり使ってみないと分からない部分が多い。結果、クラウドサービス各社は無料プランを設けて試用させるのが一般的になっている。この無料で囲い込んだ事業者を有料プランに移行させるため、その可能性が高いユーザーを可視化することができれば効率的なビジネスが可能になる。

次にあるのが解約を検討しているユーザーのサポートだ。使いにくい箇所があって滞在時間が短い、とある場所でどうも迷っている。こういったアラートを可視化してフォローすべき人に適切なカスタマーサポートを提供する。

最後にアップセルだ。サービスを十分以上に利用している「優良顧客」には新しい機能のテスト提供、追加サービスの提案などやれることは多い。

これらの顧客動向は従来、各社独自のシステムやエクセルなどの汎用ツールで個別に対応していたが、HiCustomerはこの部分の効率化を手がけることになる。

B2B SaaSの事業支援、投資サイドからの転身

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鈴木氏がこれまでに執筆したB2Bスタートアップの記事は240本に

もうひとつ私がこのサービスを注目する理由が創業者だ。

同社代表取締役の鈴木大貴氏は、前職のアーキタイプで主にB2B SaaSのインキュベーション、投資などの支援を担当した人物で、同時にブロガーとして本誌にも長年寄稿をしてくれていたB2B SaaSの情報通でもある。

筆者も彼の連載企画を担当していたので理解しているが、本当にB2Bサービスが大好きでよく調べている。業界の支援ツールという点で彼らしいサービスだなと感じた。

一方でまだまだの点も多い。特に気になったのはこのツール自体のオンボーディング・コストだ。LTVと一言で言ってもサービス各社で指標となる設計は異なる。HiCustomerがその指標設計に合わず、結果的に従来のエクセルなどと併用になったのでは魅力が半減する。しかしカスタマイズ要件を入れてしまえば、コンサルティング企業となってスケール感が乏しくなる。

B2B SaaSを知り尽くした彼だからこそ、その点はよく理解していたのでテクノロジーとアイデアでどう乗り越えるのか、大変楽しみに次の情報を待ちたいと思う。

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