北京のハッカーがドリームマシンを作り出す場所「マックスペース」

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(訳注:英語の hacker という言葉には、日本語の「ハッカー」に含まれるようなネガティブな意味はなく、コンピュータ好きやギークを指します。ネットワークへの不正侵入を謀る、日本語の「ハッカー」は、cracker と記されます。本記事中の「ハッカー」は前者の意味で記述しています。)

【原文】

マシンを共にハックし、何かを作り出すことに夢中になれる人々は、テック・ヒーローでありながら注目を浴びない存在だ。先日、人民大学の卒業生で、北京のハッカースペース「創客空間(マックスペース)」の運営に携わっている王盛林氏(英語名:Justin Wang)と話すことができた。マックスペースは北京のコーワーキング・ラボで、テック好きの人々がドリームマシンを作っている。


マックスペースの設立

マックスペースは今年の1月、フラミンゴという謎のハッカーによって設立された。インタラクティブ・デザインを使ったプロジェクトを、人々が共に学んで活動できるリアルとオンラインのコミュニティを作り、ソーシャル・イノベーションとオープンソース・ハードウェアのエコシステムを活性化することが目的だ。オープンソースのソフトウェアと同じく、オープンソースのハードウェアは、今までに世界中の人々が作ってきたものを、いかに共有しあうかということが重要だ。したがって、開発者達がゼロから何かを作るわけではない。知識共有の利点は、他の誰かが作ったものを改善できるというところ。王氏は、この共有こそがイノベーションを加速するという。


ハッカー・コミュニティの発展に力を注ぐ思い

最近再び、王氏と会う機会があり、より多くのことがわかった。彼は冒険好きで、芸術的で、30以上の国々をバックパック旅行しており、写真好きで、ショートムービーを作るのも好きな人物だ。現在、北京では比較的新しいとされるコンセプト、「マックスペース」を通してハッカー・コミュニティを立ち上げようとしている。「ここでは、エンジニアとアーティストが一緒になって、クールなものを作り出せるのさ。」 彼は、情熱を持ったエンジニアが共に学び、何かを作り、そして、お金を生み出せる、垣根の無い世界を作り出そうとしている。


学生から会社員へ

北京・宣武門(訳注:天安門広場から南西に徒歩約10分)、マックスペースには現在、多様な人々が集う。フルタイムでそこに居る人も居れば、日中は仕事を持っていて、自分の創造力や技術力を発揮するためにやってくる人もいる。彼らの出身も、グーグル、ヤフー、中国銀行とさまざま。「学生にはシャープなアイデアと、それを実現する方法を与える場所」と王氏は言う。マックスペースはまだ始まったばかりで、せいぜい、8〜10人程度が入れる位のスペースだ。


お金を稼ぐ

マックスペースは、クリエイターが作ったツールキットや組立プロダクトを販売し、売上をシェアすることで、お金を稼ぎだすことを計画中だ。今のところ、スペースは無料で開放されている。「普通、ハードウェアの開発では、アイデアだし、調査、デモ開発、製品開発、製品テスト、商品化という流れで進むわけだけど、問題はどうやってお金を得るかというところ。オープンソースのハードウェアで言えば、電子部品を売ることになるので、調査や開発という比較的早い段階で、売上を作り出すことができる」と王氏は言う。彼によれば、プラスティックのような安い部品でデモを作るので、パーツはそんなに高くないとのことだ。手頃なプロトタイプを作ることさえできれば、それをよい方向で発展させるために、投資を募ることも可能だ。


3Dプリンタ、スキャナ、マルチタッチ・テーブル、画面の無いコンピュータ

マックスペースの人々が関わる興味深いプロジェクトの中には、すばらしい3D物体を作り出せる3Dプリンタがある。このプロダクトの初期版は、MakerBot というアメリカのオープンソース・ラボで発表されたものらしい。「このプリンタを作るための、すべての部品を供給できる中国のベンダを探し、いくつかの変更を加えたんだ」と王氏は言う。まるで、ミキサーを使うように、ソフトウェアに3Dモデルを読み込ませると、プリンタは動き始め、形のある複製品をプリントし始める。もちろん、複製品は動きはしないが、その形はオリジナルそのものだ。王氏は言う。「壁にフックが必要なら、それをプリントアウトすればよい。人間の姿だって打ち出せるよ。」 彼らは物体をスキャンするための3Dスキャナも開発中だ。完成したら、3Dプリンタへと接続することになる。

他にもクールなプロジェクトがある。手の動きに反応する照明センサーを用いた、マルチタッチ・テーブルだ。テーブル下に仕込んだカメラが、手をかざしたとき、指のある部分とない部分の違いを検出し、マウスのようにCPUに情報が伝えられる。まるで大きな iPad のようだ。王氏によれば、ガラスと紙とプロジェクターがあれば作れるので、あまりお金はかからないという。

以前は王氏自身も、マーカーで制御されるAR(拡張現実感)のプロジェクトに携わっていた。黒いマーカーが記された紙に電話をかざすと、「愛してるよ」といったメッセージが電話の画面に表示される。下のビデオを見てみるとよいだろう。

現在、王氏は画面の無い、小さなプロジェクターのついたコンピュータのコンセプトに携わっている。テーブルや壁くらいの大きさの特殊なカーボン紙に、プロジェクターでマルチタッチ画面を投影するというものだ。作業が終われば、そのカーボン紙をくるりと巻き上げ、家に持って帰ることもできる。目下、そのカーボン紙スクリーンの開発中だ。

マックスペースは、上海や広州のハッカースペースとも協力関係にあり、すべての場所での商品販売を目指している。


「マックスペース(創客空間)」所在地
北京西城区宣武门外大街25号富豪写字楼213室(訳注:庄胜そごう百貨店の向かい側)

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【via Technode 】 @technodechina

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