アメリカでは、マーケットシェア争いをしているFoursquareとGowallaのようなロケーションベースサービス(LBS)が昨年少し注目をあつめた。このようなサービスに関する大げさなニュースは減ったが、日本でのLBSの成長は減退していない。
市場調査会社のシード・プラニングは、日本でのモバイルLBS市場の成長予測レポートを発表した。この調査会社によれば、LBS市場は、2010年から2015年の間に340%の成長が見込まれるとしている。 2010年には430億円(5億6,000万USドル)を占め、2015年までに1,470億円(19億USドル)に拡大する。
この成長は基本的に驚くほどのものではない。LBSの需要は今後数年間で見込まれるスマートフォンの採用とほぼ足並みが揃っている。しかし、よくみてみると、この市場はスマートフォンユーザの増加だけで成長しているわけではないことがわかる。
GPS機能は2007年に日本のフィーチャーフォン(ガラケー)に導入された。ナビのようなロケーションベース・サービスはスマートフォンより以前にさかのぼり、数年先んじたこの種のサービスのスタートにより、日本のLBS市場は100億円規模に成長することができた。 言い換えれば、新たなスマートフォンユーザは既にLBSユーザ予備軍であったということであり、フィーチャーフォンからスマートフォンへの旗手変更がLBSの成長を促すものではないということだ。むしろ将来のLBS市場の成長は、スマートフォンの特定のサービスやLBSの革新にかかっていると言えるだろう。これはシード・プラニングによるマーケットのカテゴリ内訳をよくみていただければわかる。
LBS市場の成長がスマートフォン利用に比べて多くなるか少なくなるかにかかわらず、特定のサービスタイプ(たとえばナビ、ゲームなど)の成長はそれに比例しない。
あるタイプのLBSは他のタイプのLBSに比べて大きな成長が見込まれている。たとえば、ナビの市場トは2015年までに倍増はしないだろうが、ロケーション・ベースのゲームは何倍にも拡大すると見込まれている。主な成長分野は、グラフでも見てとれるように、位置情報と位置情報ゲームである。位置情報分野は、主要プレイヤーであふれかえっており、例えばヤフージャパンやソニーなどがその一例だ。しかし、位置情報を元にしたロケーションベース・ゲームは、現在、その分野で競争は激しくない。(モバイルゲームの分野は別問題)。現在のLBSゲーム企業は、ほとんどが新しく小規模である。私が以前取り上げたコロプラは、成長しているLBSゲームの1つだ。その他の成長しているLBSゲームは「しろつく」と「iButterfly Plus」だ。
シード・プランニングの報告は、彼らのウェブサイト上から購入することができるが、全文日本語表記となっているのでご注意を。
著者紹介:スコット・ハルコム
東京のインフィニタ社でモバイル関連のリサーチとコンサルティングをしている。モバイルや新しいもの好き。彼の Twitter アカウントは、こちら。メールは、こちら。
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