インドでよいVCを見つけるのが難しい理由

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

私の前回の寄稿をうけて、友人やまわりの起業家からの非難を受けることになってしまった。彼らの指摘「なぜ事実を書くのか?」私の回答「それが重要なことだから。」 インドのVCに関する本稿は、両刃の剣と言えるのではないかと思っている。

私自身も起業家であり、そのうち資金が必要となるだろうし、VC(ベンチャーキャピタル)にも手を伸ばすことになるだろう。しかし、ここでのスタートアップ・シーンについて暴露記事を書けば書くほど、私とチームが出資を受けられる確率は低くなるばかりだ。それでも、インドの問題は話されるべきであり、可能であれば良い点と悪い点の両方を指摘していければと考えている。

VC 投資の世界には、VC と起業家の間に大きな溝を作ってしまう、根本的な問題が存在する。若い起業家は、地球上で今日という日に、人々の習慣やライフスタイルが変化する未来に向けて、ビジネスを開拓していきたいと考えている。一方、ほとんどのVCは、過去のビジネスモデルや考え方をもとに企業を作ってきた。一般的に、人は自分が知っていることは理解できている、との考えを持ちたがるものだ。


「ビジネスで大事なもの」とは?

インドのVCは、ビジネスでは何が大事か、という話題をよく持ち出す。彼らの考えでは、シリコンバレーなど無意味である。彼らが言いたいのは、ビジネスとは収益を計上することであり、またビジネスには説得力のあるビジネスプランが存在するべき、ということだ。私はこの考えに同意するが、起業家の多くは、ウェブビジネスで大事なのはプロダクトであると述べるだろう。通常、悪いプロダクトは失敗に終わるのだが、良いビジネスプランを持ち合わせていることもある。この考えに理解のあるVCやエンジェル投資家たちに私は出会ってきたが、Excelのスプレッドシート(訳注:P/LやB/S )と違って、プロダクトがビジネスの行方を変えることはあまり無い。残念ながら、スタートアップがシードの段階にあっても、それが現実である。でも、私が見てきた限りでは、ウェブの世界は能動的で、いいプロダクトは必ず悪いプロダクトを打ち負かし、そして企業は収益をはじき出しているのが現実だ。また、差別化の手段として、カスタマーサービスのことを議論しても時間の無駄だろう。数あるウェブビジネスの成功例をもってしても、インドのVCには関心が無いようだ。

あるVCが、起業家によく投げかける質問をしてきた。「もし、Google が参入したらどうする?」 私は、Mark Pincus(訳注:Zynga 創業者)、Mark Zuckerberg(Facebook 創業者)、Evan Williams(Twitter 創業者)、Andrew Mason(Groupon 創業者)、Drew Houston(Dropbox 創業者)らにも、同じ質問を聞いてみることを提案した。どうやらこれは、一般的なインドVCが質問する内容のようで、私は質問された時のために、この回答を懐にいつも持ち隠しているのだ。すべての起業家は、同じ回答をすべきだと思う。


経験を重視する風土

インドで自分がスタートアップ起業を初めて経験する創業者である場合、資金調達が難航するもう一つの理由として、起業しようとする市場での経験を重視する傾向が上げられる。

これが意味するのは、若くて経験が全くなければ、投資家が出資した金額に関係なく、自分の会社の40%以上の部分が、自分の手から離れていってしまう、と言うことである。このような企てをするVCを、名を挙げて書きたいのはやまやまなのだが、そこまでするのは酷であろう(Twitter のDMかEメールをもらえれば、詳細を知らせることは可能)。また、このような困難を打破した企業名を目にすることがあまりないのも、そういうチャンスはそんなに与えられないからだろう。

ご心配なく、私は文句を言うためにこんなことを書き連ねたわけではない。私もこれまで、VC  と有益な会談を重ね、契約条件書も手に入れた。しかし、どの VC とも基本的な信頼を築き上げることはできず、手を組むこともできなかった。ある日いざという時になって、自業自得の報いを受けることはわかっているけれども。

インドの良いところを1つあげるとすれば、スタートアップの成長ステージには、多額の資金が供給されているということだ。ビジネスがよい結果を出していれば、追加の資金調達も容易だ。シード・ステージの資金は、あまり組織化されていない複数のエンジェル投資家から提供されることが多い。エンジェル投資家の中には、私にその種の投資を避けた方がよいと助言してくれた人も居る。

ビジネスをローカル展開に絞って、リスクを避けるケースもある。インドのVCは、世界よりもインドにフォーカスした企業の方に興味があるようだ。インドでウェブビジネスのスタートアップを立ち上げることは難しいため、なるほど、インドの VC が、今までに存在したものを打ち砕こうとする者より、不可を可にする者に投資したがるのも合点が行く。

かくして、イグジットの門は狭くなる。ごく少数の大企業のみがインドのウェブビジネスを買収し、彼らにとって、最もお金をもたらすのはインド証券取引所への上場である。つまり、次代の Google を作るよりも、インドでドッグフードを売るウェブサイトを作った方が、チャンスは大きいということになるわけだ。


模倣好き

インドの VC は模倣好きだ。投資家の前で、どう振舞うべきかを知る起業家は、このことをよく知っている。もちろん、VC はことごとく否定するのだが、彼らの投資対象を見れば何より明らかである。米国でなんらかのブームが沸き起こると、複数の連続起業家がインドで似たような企業を設立し、VC はそういった企業に投資する。幼い頃、よく手にしたGIジョーのおもちゃのようだ。友達に自慢するため、必ず1つは手にいれる必要があったものだ。

起業家の人たちに、一つ忠告をしておきたい。VC はネットワーキングが得意なので、(Google の)Larry Page が親友であるとか、そのようなことを言いふらす。が、これには注意してほしい。インドの VC の多くは、彼らが思っているほど国際シーンで影響力(「clout」、または、ソーシャルメディアにおける影響力を示す「klout」)を持っていない。実際に影響力をもつ VC はシリコンバレーに拠点を置いているし、インドの投資家が豪語する「成功へのドアは開かれているぞ」という言葉には、まったく根拠がない。

ここにあげた問題や懸念を理解し、宙に城を築くのではなく(訳注:夢を見るのではなく)、あなたと共に仕事しようとする VC と知り合えたら(そして、その VC がうぬぼれの塊でなければ)、契約条件は悪くとも出資を受けるべきだ。私はまだそんなインドの VC に会ったことがないのだが、必ずや存在するはずだ。

一方、概して VC とはハードな仕事である。その意味では、彼らもさながら起業家のようだ。彼らは「金額を10倍にして返します」と言って人から資金を預かり、約束が実行できなければ、ダメな VC としての烙印を押されてしまう。彼らのビジネスは、12件くらい投資判断を誤っても、中に1件くらい良い結果がもたらされる、というものだ。あなたが VC から出資を受けたら、後にそれがよい投資判断だったと評価される、その1件の良い結果になることを願いたい。

[画像クレジット:Hopewell Studios 壁紙フルバージョンはこちらから]

【via Penn Olson 】 @pennolson


著者紹介:ヴィニート・ディヴァイヤー

ウィニートは、先月本誌がレビューしたアンドロイド用アプリ「the 360」を開発した、インドのスタートアップ TeliportMe 社の創業者兼CEOである。本稿を含め、このテーマに関して、3つの記事が掲載される予定だ。 読者は、Twitterで彼をフォローすることができる

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