Allan 氏が指摘したもう1つの問題は、ラオスの電話会社が、ユーザ向けに提供できるような多くのモバイルコンテンツを持ち合わせていないということだ。このため、タイの国境付近に住むラオスの人々の多くは、より多くのアプリとモバイルコンテンツへのアクセスを得るため、タイの電話会社と契約している。いっそう多くの人々がタイ語と英語を使用するにつれて、ラーオ語を使用する人々の数は減少している。Allan 氏は、ラオス政府がようやく問題を理解し、ラーオ語に対応した電子機器の導入に向けての政策を発表した、と語った。これは始まりであり、まだまだやるべきことはたくさんある。
6年もの戦い
XY Mobile は2010年9月に設立されたが、Allan 氏は、このラーオ語を携帯電話に導入するという大規模なプロジェクトが開始されたのは6年前にさかのぼる、と語ってくれた。当初、このスタートアップの社長である Anousak Souphavanh 氏は、ラーオ語を Linux (別名 Laonux)や、ラオス市場のその他のオープンソースプラットフォームに導入するために6年もの日々を費やしている。
選択肢もなくなり、ついに XY Mobile が設立され、代わりに、独自のモバイル機器を作り出しラーオ語に対応させるという策をとることになった。問題に向けて深く突き進むにつれ、彼らはビルマやカンボジアなどその他の国々も、似たようにデジタル時代の問題に突き当たっていることを知ることになる。(ソフトウェア)開発、(ハードウェア)生産、そして(ロジスティック)配送と流通には、大きな経済的責任が伴うため、背負うには大きすぎるリスクだと考えられる。
多くの 「もし・・・」という仮説が頭をよぎっただろう。しかし、チームは突き進んだ。彼らは自腹でいくらかの資金を拠出し、またエンジェル投資家から当プロジェクトに対して14万4000米ドルもの資金調達も受けた。XY Mobile はもともと、ラーオ語をモバイル機器に導入するにあたり、発生した問題を解決するためのスタートアップであった。しかし、このスタートアップは、ギャップを埋めるということに加え、利益を得ることも視野に入れていると、Allan 氏は述べた。
XY Mobile がこの事業に成功すれば、ラオスの開発者にとって、ラオスの人々向けのアプリ開発という新たな市場の開拓となるだろう。小規模な市場ではあるが、ラオスのモバイル開発コミュニティを活気づけるいい足がかりになる。また類似点として挙げておくが、XY Mobile は、Red Herring がアジアのテック企業ランキング100 で選んだ、ラオスを拠点とする初めてのスタートアップである。
【原文】 土曜日(10月15日)の夜、北京で行われたmobiTalkイベントの会場、グレートウォールクラブ(訳注:中文名「長城会」。「長城会」についてはこの記事を参照。)には、これまでにないほど大勢のギークが集まった。そこでは、中国のエンジェル投資家で Xiaomi(小米)CEOのLei Jun(雷軍)がエンジェル投資について語り、その後「Geeks on a Plane」や「500 Startu…
土曜日(10月15日)の夜、北京で行われたmobiTalkイベントの会場、グレートウォールクラブ(訳注:中文名「長城会」。「長城会」についてはこの記事を参照。)には、これまでにないほど大勢のギークが集まった。そこでは、中国のエンジェル投資家で Xiaomi(小米)CEOのLei Jun(雷軍)がエンジェル投資について語り、その後「Geeks on a Plane」や「500 Startups」の創設者Dave McClureとの対談も行なった。(訳注:「長城会」ウェブサイトに関連記事。)
Lei Jun の基調講演
このイベントは Lei Jun の基調講演に始まり、彼は主に自身の投資哲学について語ったが、講演の最後の方で、Xiaomiや同社の携帯電話について少し紹介をした。Leiは、中国のテック企業への投資で素晴らしい成功をしているにもかかわらず、それらの企業に提供した知識は自らが経験した多くの失敗から得たものがほとんどで、しかも運が良かったと言いながら、その成功については謙遜して見せた。Lei いわく、「成功の85%は運がよかった」のだそうだ。
Lei の講演は、頭に浮かんだことをほぼそのまま話しているようだった。メモも使っていなかったし、講演の概要以外にスピーチを覚えたような感じはなかった。このテーマに対する彼の情熱は明らかなもので、講演が終わりを迎え、市場の方向性について、Lei がポイントを示そうとXiaomiの話を始めた時は特にそうだった。
それでも、Lei はiPhoneがきっかけで、仕事に関することでさえも、最終的にはスマートフォンがPCに完全に取って代わると確信し、例えば「どうやったらスマートフォンがワープロソフトよりもずっと便利なオフィスツールとして使うことができるか」というような新しい電話の役割を考え始めた。そのようなアイデアが今、まるで、Android OSのMIUI(Android の ROM)のように、Xiaomi のソフトやチャットアプリの「米聊(Miliao)」などにも導入されており、 Lei はオフィスツールとしても十分機能すると述べている。だが、これらの商品はまだ初期のイテレーション段階にあり、さらなる開発と修正で改良されていくようだ。
Lei は次の大きな市場の1つがモバイルeコマースであると信じ、Xiaomiの販売をウェブだけに絞った。これは価格を抑えるのに寄与していると彼は述べている。小米の携帯電話の先行予約が早くも30万台に上ったことを誇りながら、Lei はこのアプローチは明らかに成功だったと語ったのだが、その後イベント中に観客 から、オンラインのみの販売で、もし携帯電話に問題が出たら、修理やその他の問題をどのように対応するのかという質問には逃げ腰だった。その質問に対して、同社のウェブサイトや誓約、また、同社が期待に沿う、いや期待以上のことをする自信があることなどを語ったが、回答には具体的な内容は含まれなかった。
投資に関するディスカッション:Dave McClure / Lei Jun
自社製のXiaomi携帯で Dave McClure を撮影する Lei Jun
Lei Jun の基調講演の後、司会者が進めるディスカッションと質疑応答の形式 に変わり、Dave McClure が質問のほとんどに対応し、時には驚くほど率直な反応を見せた。Lei はあまり話をしていなかったので、その合間を利用してディスカッションの最中に突然Xiaomiを取り出して、話をしている Dave の写真を撮っていた。皆が気づく賢い方法で、巧みに生のバイラル広告でXiaomiを宣伝したというわけだ。
中国について聞かれると、Dave はもちろん「Geeks on a Plane」は市場や起業家精神について勉強するために来たのだと答えたが、本当に大事なことは新しい人に会うことや、2つの国が出会う時に繰り広げられ る文化交流であるとも述べた。米国と中国の違いについて尋ねられると、「(中国の起業家は)おそらく私達よりも賢くて積極的だ」と Dave は冗談混じりに言った。— Lei Jun はそれに対し、にやりと笑った—そしてイノベーションのスピードはシリコンバレーよりも速いということにも。
ここ(中国)にはルールが少ない。少なくとも起業家の観点から見れば、おそらくそれは悪いことではない。
Dave は、投資の観点から重点を置いているのは、巨大な市場を狙う企業よりも、小さくても成功をおさめやすい市場でうまくいく力を持つ企業を探すことだと言った。
新しいサービスがシリコンバレーで開発されると、たくさんのコピーキャットがアジアに出現する、中国のコピー問題について尋ねると、二人は「これは必ずしも悪い事ではない」と答えた。それは革新的なことではないが、成功を収められる可能性があって、巨大な空席の市場を見つけたのに、それを利用しないのは愚かなことだ、と Dave は述べた。Lei はまた、そのコピーキャットを新しい市場で最初に行う会社になれるなら、コピーキャットは必ずしも悪いアイデアではないと述べた。
企業に何を求めるかを尋ねられると、Lei は再び彼のモバイルインターネット・ビジネスの信念について語った。Dave は Lei より用心深く、好きなものは自分のためにとっておく主義だが、ソーシャルゲームや共同購入サイトなどには投資しないと言い、今は子供向けの教育ゲームを好ましく思っているとのことだ。投資家は最終的に今の流行を気にせず、何がお金を稼ぐ可能性を秘めているかを探したほうがいいと Dave は語っている。