HackOsaka 2014: 大企業とスタートアップのコラボで〝おもろいもん〟を創る

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左から:トーマツベンチャーサポート 斎藤祐馬氏、Bsize 八木啓太氏、
和える 矢島里佳氏、シャープ 上田徹氏、 KDDI∞Labo 江幡智広氏

これは19日大阪で開催された、スタートアップ・カンファレンス「HackOsaka 2014」の取材の一部だ。

大阪を中心とする関西圏からは、Panasonic、シャープ、京セラ、オムロン、任天堂など、世界的にも名前が知られた大企業が数多く生まれている。地域のスタートアップ・コミュニティを活性化する上で、これらの大企業とスタートアップがどうコラボレーションしていくかは重要なトピックの一つである。

この日2つ目となったセッションでは、コラボレーションの具体的な事例を交えながら、大企業とスタートアップの両側からの見方を議論した。パネリストは次の通り。

  • 八木啓太氏、Bsize 代表/デザインエンジニア
  • 矢島里佳氏、和える(あえる) 代表取締役
  • 上田徹氏、シャープ クラウド技術開発センター センター長
  • 江幡智広氏、KDDI 戦略推進部長 KDDI∞Labo ラボ長

モデレータは、トーマツベンチャーサポート 事業開発部長の斎藤祐馬氏が務めた。

スタートアップにできること、大企業にできないこと

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〝一人家電メーカー〟Bsize を創業した八木氏は、作りたい家電を作れるように、電子工学、デザイン、製造のすべての要素を自らマスターした人物だ。Bsize を創業する前、彼は製造工程を学ぶため富士フイルムに籍を置いた。銀塩写真の需要減からコダックが経営破綻に至った一方で、フイルム製造から化粧品を初めとする化学の会社に劇的な転身を成功させた富士フイルムの評価は、世間的にも高い。八木氏はそんな先駆的な会社とスタートアップの両方を経験している。

前職のことを悪く言うことはできませんが(笑)、富士フイルムのような先駆的と言われる会社でも保守的でした。我々はお客様にフィットするプロダクトを考えなければならないのに、上司や他部署をどう説得するかを考えてしまう。

これに対し、シャープという大企業に身を置きながら、スタートアップと数々のコラボレーションを実践している上田氏は、大企業にはできないことがあると教えてくれた。

ニーズがまるでないような市場、そして、その市場の需要が急速に伸びたりするのです。その多くは、インターネットによるものです。これは、大企業にはできない分野、逆に言えば、スタートアップにこそできる分野だと考えています。

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一方、KDDI は GREE に出資するなど、さまざまな新興ベンチャーやスタートアップと協業している。大手企業にはコンプライアンスや社内ルールがつきものだが、それに固執していたのはスタートアップとの提携はままならない。

既存のルールに則れば、たとえば、(提携先である)GREE の掲示板でユーザの誰かがマズい投稿をしないか、それを24時間リアルタイムでモニタしなければならない、ということになる。でも、そんなことは不可能。スタートアップとのコラボにあわせて、ルールをカスタマイズする必要がある。ファンドにLPとして参加するなどして、間接的にもスタートアップと付き合ってきて、付き合い方のノウハウが溜まって来たので、自社でも最近ファンドを作った。

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シャープやKDDIも数十年前まではベンチャーだったわけだが、日本産業を背負うまでに成長した現在、かつての自分達=ベンチャーと付き合う上で、いろんな制約に阻まれながらも、スタートアップ・コミュニティと関わろうとしているのだ。

時代を味方につける

「運も実力のうち」というのは、筆者の好きな言葉だ。何も他力本願というわけではなく、実力を持っていないと運もつかめないなので、実力も常に磨いておかないといけない。

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矢島氏が創業した 和える のコンセプトは、プロダクトを通して伝統的な職人のノウハウや精神を次世代へと受け継ぐことだ。同社が制作した藍染の赤ちゃん肌着は、藍染が抗菌効果があるにもかかわらず、直接肌に触れる形で使われる機会が無いことに疑問を抱いた矢島氏が、自ら考案し製品化したプロダクトだ。

特にプレスリリースを出したことはありません。メディアの方々から、問い合わせアドレスを通じて連絡をいただく感じです。6年前にローンチした頃は、職人さんに説明しても、なかなか意図を理解してもらえませんでしたが、最近では、皆が次の世代のことを考えるようになったでしょうね。現在では、200人の職人ネットワークができあがり、オリジナル商品を手作りで生産、販売しています。

他方、Bsize は東京・表参道にあるトヨタ自動車のショールーム「Intersect by Lexus」に製品を採用されるなど、大企業とのコラボレーションの好例が目立つ。八木氏はその背景について、メディアなどを含め世間に露出することが重要だと説明した。

あるメディアが記事のヘッドラインで、Bsize のことを〝一人家電メーカー〟と呼んだ。自分では一人であることが弱みだと思っていて、あたかも大企業のようなウェブサイトを作って、そのように見せていた。しかし、そのように呼ばれて、むしろそれが強みだということがわかった。創業に至ったストーリーも含めて、自分達が何者かということは露出した方がいい。

Osaka Innovation Hub で生まれる、コラボレーションの機会

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HackOsaka 2014 の会場ともなった、グランドフロント大阪には、スタートアップのオープンスペース「Osaka Innovation Hub」が入居している。シャープは、ここで CoCreation Jam と題して、同社の掃除機 COCOROBO を使ったハッカソンイベントを開催したそうだ。

上田氏は、そのときの様子を振り返りながら、起業家とのコラボレーションの可能性に胸をふくらませる。

弊社の社内では、こういうアイデアは絶対に出て来ないんです。CoCreation Jam のような機会を使って、ぜひこういうアイデアをシェアしてゆきたい。

THE BRIDGE でも、東京以外のスタートアップ動向の取材に注力しているが、今後、Osaka Innovation Hub で開催される数々のイベントにも注目してゆきたい。スタートアップが集まるインキュベーション・スペース等が各所に点在する東京と違って、大阪は多くのイベントが Osaka Innovation Hub に集約されているようなので、イベントカレンダーを定期的にチェックし、興味を抱いたイベントには、奮って参加していただきたい。

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