上場会社の業績予想の修正基準を覚えておこう

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240105_101666379922895_4508047_o編集部注:本稿はベンチャーユナイテッドのチーフベンチャーキャピタリスト、 丸山聡氏が運営するブログ「No Guts, No Growth.」からの転載記事。ここ最近の上場ラッシュについて貴重な意見が書かれていたので、同氏に許可を頂き、こちらに掲載させてもらった。

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credit: jjjj56cp via FindCC

11月も中旬になって毎日のように上場承認がなされていて、12月は史上空前の東証への上場ラッシュ(昔はたくさん市場があったので分散されていたので1か月としての件数では過去最高とはならないのではとは思いますが)となりそうですが、そのあたりは上場承認が出そろってからやろうと思っていますので、もう少ししてからということで。

さて、上場会社となると、会社法以外にも、金融商品取引法や取引所の規則が適用されることになりまして、その中では、金融商品取引法に基づく法定開示制度(有価証券届出書、有価証券報告書、四半期報告書などのほか、いくつかの基準で臨時報告書も必要になったりと)とともに、金融商品取引所における適時開示制度がありまして、上場会社が日常的に適時開示と行った場合には取引所の定める制度に則って開示をしていることになります。

まー、これが開示されるのが、昔は、報道機関への公開ってことで、兜倶楽部というところに投げ込みをしてから一定期間がすぎると開示したとみなされたわけですが、インターネットな時代が進展してからはTDnetで開示する=開示になるというわけで便利な世の中になったなと。

昔は何か開示があると必要部数を印刷して、15時半とかに東証に出向いて、兜倶楽部の各社の棚に投げ込んで、最後にマイクパフォーマンスをするというのがあったのを覚えている人がどれだけいるのか。

まー、最近だと大事な情報を自社サイトのみでリリースして2階建てされた会社もありましたが。。。

ってことで、その適時開示制度ですが、いろいろと注目されるのはあるのですが、上場企業として投資家から注目度が高いのが業績予想とその修正だったりするわけです。

その基準というのは、当初の業績予想に対して

  • 売上高に対して10%以上の変動(プラスorマイナス)
  • 営業損益、経常損益、当期純損益に対して30%以上の変動(プラスorマイナス)

のいずれかが生じる見込みとなった段階で修正をしなければならないとされています。

この差異が生じる見込みとなった段階で、その情報のほぼすべてが重要事実となることで、適時開示が必要となるわけです。

ちなみに、じゃー、業績予想を開示しなければいいじゃないかっていう話になるんですが、それはいろいろと取引所に対して戦いを挑んできた先達によって、最近では、レンジで開示したり、次の四半期(半期)のガイダンスを出したり、開示しなかったりというパターンがいくつか生まれてきますが、この重要事実という点では、

  • 業績予想非開示の場合には、前期決算の売上高や利益の額を予想値とみなして、売上高10%以上、各利益30%以上の変動があった際には重要事実として開示が必要となる。

ってことがあるので、とっても注意が必要になるわけです。

ここで、何がいいたいのかというと、東証マザーズなどの新興市場に上場した企業で、売上高が数億円、利益が1億円前後という会社の場合には、ちょっとした出来事で、こうした業績予想の修正が必要になるという恐れがあるということを十分に理解しておく必要があるということです。

売上が7億円という予想で修正が必要となるのは、70百万円の変動です。1か月に直せば600万円ずつずれたら修正が必要となるわけだし、気合とかいろいろな要素が欠けたりしたらすぐにぶれる水準なわけだったりするわけです。

また、利益については2億円の利益であれば、60百万円のブレで業績予想を修正が必要となるということを考えると、ちょっとした売上の未達以外にも、ちょっと多く人をやとったり、ちょっとしたコスト増で、すぐにでも修正基準に触れてしまうということがあるわけです。

こうしたことから、新興市場では業績予想の修正がおきやすいということはいえるわけですが、上場をするということを目標にしてがんばってしまう会社ほど、こうしたことが起きやすいのではないかなっていうのをあくまでも肌感覚でもっています。

本来の新興市場の意義は、資本市場へ直接アクセスし、上場会社という信用を得ることによって、資金調達手段の多様化をはじめとして、経営資源の確保を容易にしやすくし、そのうえで、それらを利用して大きく成長するためのものということだと思っています。

だからこそ、上場してそこが業績のピークということではなく、上場をいかしてどんどん成長できるという会社こそが新興市場に上場すべき会社であって、そうでない会社であれば、ある程度の事業基盤を確立して一定規模の業績を出したうえで東証2部→1部を目指していくのがいいのではないかなと思っていますし、日本の上場制度というのはそういうふうに組み立てられてるんじゃなかろうかとぼんやりと思った次第です。

via 「No Guts, No Growth.」

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