
一般に、楽曲は、コンセプトやテーマの設定にはじまり、作曲・編曲、歌唱や演奏のレコーディング、音色や音量、定位を調整して楽曲のバランスを決めていくトラックダウン(ミックスダウン)、原盤製作を担うマスタリングといったプロセスを経て、ようやく完成に至ります。
これら一連の楽曲製作プロセスをオンライン上に実装したコラボレーションプラットフォームが「MixLuv」です。2014年10月から11月にかけて、キックスターター(Kickstarter)でクラウドファンディングを実施し、357名のサポーターから51,950ドル(約607万円)の調達に成功しました。
現在、ベータ版として限定公開するかたわら、2015年初めの正式リリースに向けて、準備を進めています。
MixLuvの特徴は、作曲家、編曲家、歌手、ギタリストやドラマーなどの楽器奏者、トラックダウンやマスタリングを担当するレコーディング・エンジニアをグローバルにつなぐソーシャルメディアネットワーク機能と、複数のメンバーが共同で楽曲製作できるオンラインコラボレーションツールとの“ハイブリッド”となっている点です。
具体的な流れとしては、まず、各ユーザーが、自身のスキルや音楽のスタイル、居住エリアなどを登録。互いの登録データから、自分と相性のよさそうな音楽仲間を探すことができます。また、デモ音源をアップロードし、実際の楽曲製作にたずさわってくれるメンバーを募ることも可能です。
楽曲製作がスタートすると、メンバーだけが閲覧・投稿できるバーチャルな“レコーディングスタジオ”が割り当てられます。ここでは、各メンバーが歌唱音源や演奏音源をアップロードしたり、感想や意見、提案をコメントし合うことができ、すべての履歴が一元管理されます。
また、製作途上では、複数のオーディオトラックが作成されるため、バージョン管理が煩雑になりがち。そこで、MixLuvでは、バージョン管理を自動化する独自のシステムを導入しています。
クラウド技術を活用した、楽曲製作のためのコラボレーションプラットフォームとしては、MixLuvのほか、「Splice」や「Kompoz」、「WholeWorldBand」なども開設されています。このようにコラボレーションプラットフォームが多様化することで、国境や言語を超えたダイナミックな音楽の創作活動が、広がっていくかもしれません。
Text = 松岡由希子
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