どのようにしてLegoはおもちゃ業界のAppleになったのか

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2015.1.25

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Image by Benjamin Esham

<ピックアップ記事>Lego Is More Similar To Apple You Think

デンマーク出身の巨大玩具企業Lego。ご存知の通り、多彩な色と形のブロックを子供向けに販売しています。今回はそんなLegoに関する記事をピックアップ。Legoの考え・経験・戦略を3つのポイントにまとめてみました。この3点は、これからグローバルに戦おうとする日本のスタートアップにとっても参考になるかもしれません。

1. 教育という「価値」を提供

記事では「The Miracle at Lego」の著者であるNiels Lunde氏の言葉が紹介されています。Niels氏曰く、Legoは子供向けのブロック製品としてだけでなく、子どもたちの想像力や創造性を刺激する教育製品としても成り立っているとのこと。つまり、ただの玩具製品販売で終わらず、「教育」という価値を提供している点がLegoの特徴であると述べています。

ちなみに、記事に紹介されているLegoの考えは、同社の持つ6つのブランドバリューにも反映されています。6つのバリューとは、「想像力」、「創造性」、「楽しみ」、「学び」、「思いやり」、「品質」。

これら6つのバリューを見るだけでも、子供の感性を刺激することを念頭にブロック製造していることが伺えるでしょう。このようにブロック自体の価値を提供することだけではなく、ブロックが子どもたちの手に渡った後に提供できる「教育」という価値まで想定できているのが強みであると言えるかもしれません。

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Image by Sonny Abesamis

2. 失敗から分かったLegoの遊び方

記事は続けてライバル企業に関しても触れています。Legoの新製品開発へ注力し、売上を着実に上げている一方、苦戦しているのはバービー人形で有名な玩具メーカーMattel。バービー人形に対しての評価は、「時代遅れ」や「古めかしいジェンダーの象徴」などと称され、人気が低迷。また同記事が指摘している、もう1つのMattelの業績低迷の理由は、昨今の教育市場におけるモバイル・タブレットの普及なのだそうです。

これまで収益の中心であったバービー人形を諦め、デジタル対応の子供向け製品にシフトしなければいけなくなった点がMattelを苦しめているということでした。

同様にLegoもデジタル化の波に苦しめられたそうです。Legoも2004年頃にビデオゲーム等のデジタル製品ラインナップへシフトしたことで、倒産の危機にまで陥ったことがありました。

失敗したプロジェクトの1つとして挙げられているのがLego Digital Designerです。Digital Designerとは、ユーザー自身が自分の好きなブロックをデザインして、バーチャル上で組み立てることが出来るというものでしたが、ユーザーはすでに形となっているブロックを使う遊び方に慣れ親しんでおり、自分でわざわざブロックを作成して遊ぶというやり方は浸透しませんでした。

この失敗を通じて、Legoはブロックに触れながら楽しむ遊び方が想像以上に浸透していることに気付き、それ以来、製品ラインナップを全てデジタル対応にすることなく、従来のブロック製品とデジタルゲームの融合した製品開発を目指すことで再起を図り、業績回復にまで至ったとのことです。

デジタル路線に急に舵を切ったMattelと、従来のブロック製品の良さを活かしつつ製品開発を行っているLego。

両社の状況は色濃く売上数値にも反映されています。こちらのデータでは、依然としてMattelが世界の玩具業界のトップにいるという数値が出ているものの、Legoの売上推移のペースの方がMattelのそれより11%大きいです。また両社の売上増加率を2008年と2012年とで比較した情報によれば、Mattelが2008年度比で10%程度であるのに対し、Legoは150%の売上増加。明らかな差が生まれています。

大人と変わらず、子供の遊び方も時代によって変わってくるもの。自社製品の遊び方をしっかりと理解し、ユーザーの求める形で製品・サービスを提供する重要性をLegoを見ていると強く感じられます。

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Image by Paul Hudson

3. 各国市場へローカライズ

Legoの中国市場進出に関する話題もありました。中国では、親が自分の子供に対してお金をたくさん使う傾向が強くあるそうで、また一人っ子政策が推し進められているため、自ずと子供1人に多大なお金を使うという流れがあるらしいです。この親の教育ニーズとマッチして、「教育製品」としてLegoが売れているのだそうです。

これはLegoのブロック製品が教育としての価値も提供できているからこそ、中国市場に受け入れられたと言えるでしょう。このように製品価値をローカライズした上で提供出来ている点がLegoの戦略上の特徴として挙げられるかもしれません。

Legoの各国市場への取り組みは、中国だけでなくアメリカとヨーロッパ市場にも見られます。

例えばアメリカとヨーロッパの親では、子供の遊び方には全く違う考えを持っているという話題もあります。アメリカの親は子供の遊びに参加しようとはせず、自分だけで遊ぶことを前提としているのだそう。一方で、ヨーロッパの親は、子供と遊ぶ時間を大切にしており、積極的に一緒に遊びに参加すると書かれています。

このようなデータを基に、Legoはアメリカとヨーロッパで販売されているブロックの形を少し変えています。具体的には、アメリカのブロックは、子供が自分で組み立て易いように比較的簡易な構造になっているらしいです。

このように、各国の背景事情をふまえたローカライズを考慮しているのも、Legoが各国で成功している秘訣の1つに数えられるでしょう。

Legoは「ユーザーに自分の製品が渡った後、どのように使われるのか」、「ユーザーが求める遊び方は何なのか」、そして「世界の各市場ではどのように使われ、かつどのようなアプローチが最適なのか」という3点を考え抜いていると言えます。こういった視点は海外展開を目指すスタートアップにとっても重要な要素になるかもしれませんね。

Via Business Insider

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