「ブレイクスルーは偶発的に起こる」ーー70ヶ国で販売されるスマホ連携型スマートトイ「Sphero」

by Yukari Mitsuhashi Yukari Mitsuhashi on 2015.5.20

iPhoneと連携させて遊ぶスマートトイ「Sphero」
iPhoneと連携させて遊ぶスマートトイ「Sphero」

スマホと連携して遊ぶスマートトイの代表的な製品に「Sphero」があります。一見するとただのボールに見えますが、Bluetoothを使ってスマートフォンと接続することでスマホがコントローラーに早変わり。小さなボディであらゆる場所を秒速2メートルのスピードで駆け巡ります。

70ヶ国を超える主要小売店で販売されるSphero。2015年1月頭には、全てのSpheroの走行距離の合算が100万マイルを超えました。また、スマートトイの枠を越えて教育分野でも導入されています。

2013年6月に米オバマ大統領が発表したK-12の恵まれない子どもたちを対象とする「ConnectED」プログラム。これを支援する米アップル社の奨学金プログラムの一部にSpheroが選抜されているのです。同プログラムに参加する114の教育機関に対してSpheroが寄付され、生徒の学習をサポートしています。同社の共同ファウンダーであるIan Bernsteinさんにお話を伺いました。

ロボットとゲームへの深い情熱

Sphero社のファウンダー IanとAdam
Sphero社のファウンダー IanとAdam

ーSpheroというスマートトイの構想はどのようにして生まれましたか?

最初のアイディアは、2009年の終わり頃、僕がiPhoneで遊んでいたときに思いついた。子どもの頃からロボットを組み立てていたけれど、「僕たちは今、こんなにもパワフルなスマートフォンというツールを手にしている。iPhoneをロボットの「脳」として使えないか」と考えた。その後、Googleで色々調べた結果、ロボットはおろか、スマートフォンで制御されているものがあまり存在しないことがわかった。あったとしても、どれもすごく複雑なものだった。

ーなるほど。それが最初の「気づき」だったんですね。その後は?

自分のアイディアを複数の人に話して議論したところ、「物理的なモノを制御する」という考え方は自分の想像以上に大きな概念で、趣味で作ったロボットや研究の域を簡単に越えるものだと気づかされた。その後、共同ファウンダーのAdam Wilson(以降 アダム)を紹介してもらい、コンセプトをブラッシュアップするためのブラインストームを続けた。

多くのアイディアは、日常生活で使う実用的な製品をスマホで制御するという内容のものだったけれど、僕もアダムもロボットとゲームへの深い情熱を持っている。そして、何か楽しいものを作りたいと思った。ある晩、アダムが「スマート・マーブル(ビー玉)」はどうだろうと言い出して、自分が子どもの頃に組み立てたボール型のロボットを思い出してSpheroのアイディアにたどり着いたんだ。

ひたすら遊び続けることで生まれるブレイクスルー

ーSpheroにはさまざまな動きやトリックがあります。その開発プロセスは?

すぐに実装されたトリックもあるけれど、ひたすらSpheroで遊び続けてトライ&エラーすることで生まれたものも沢山ある。プロトタイプをいくつも開発する中で、偶発的にブレイクスルーが起こっている。遊び方を発見するこのプロセスには、社内の誰もが参加することができる。例えば、Sphero 2.0の付属品である傾斜台は、ビデオグラファーのアイディアだった。Spheroを固定するプラスチック部品の形を少し変えるだけで傾斜台になるだろうと考えたんだ。素晴らしいアイディアだと思った。

ーSpheroのSPRK(Schools Parents Robots Kids)プログラムはどのようにして生まれましたか?

アダムと僕は、最初から全ての製品をオープンで「ハッカブル」にしたいと考えていた。ユーザーが自分でコードを書いてロボットを使うことで、想像もしていなかったようなものをハックできるようにしたかった。そこで2012年に全米中でいくつものハッカソンをスポンサーした。Sphero専用のアプリを開発するためにエンジニアを招待して、それをユーザーがダウンロードできるようにした。

でも蓋を開けてみると、集まったのは一度も開発経験がない初心者ばかりだった。楽しそうだから、とSpheroで初めてのアプリ開発に挑戦を願う人たちだった。予想外の事態に最初はとまどったけれど、Spheroをプログラミング学習に活用できると気づいたんだ。その後、2014年4月にSPRKを開始して、4つの無料レッスンの提供を始めた。生徒や先生からはすごくポジティブな意見が集まっているよ。

ロボットがユーザーと遊ぶ時代へ

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ーSphero社の本拠地はなぜコロラドのボルダーなのでしょうか?ここを選んだ理由は?

ボルダーにいるのは、幸運なアクシデントなんだ。アダムと僕はTechstars、Y Combinatorなど4つのアクセラレータープログラムに応募した。そして、2010年夏にボルダーのTechstarsに参加したことをきっかけにこっちに引っ越して今に至る。

正直、ボルダーのテックコミュニティがこんなに素晴らしいとは思わなかった。またここを本社に構えているスタートアップや大手企業が多いことにも驚いた。ボルダーは住む場所としてもいいところだ。美しいだけでなく、(僕たちはロッキー山脈の麓に住んでる)、アクティブなライフスタイルを送ることができる。ボルダーの文化やペースを魅力的に感じて、サンフランシスコでも仕事に困らないような優秀な人材を採用することができている。

ーSpheroは今後、どのような方向に向かっていきますか。

長期的には、あらゆる可能性があると思っている。近い将来、プロダクトに更なるインテリジェンスを加えて、プロダクトとユーザーをより良く繋げたいと考えているんだ。今は、消費者がロボットと遊んでいるけれど、逆にロボットもまたユーザーと遊べる、ユーザーを認識したり、ユーザーの好みなどを学べるようにしたいと思ってる。ユーザーとの関係性において、Spheroが独自のアイデンティティを持つように進化させていく予定だ。
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箱から取り出してiPhoneと接続すると様々な色に光り出すSphero。専用アプリを使って名前をつけたり色を設定しているうちに、なんとなく愛着が湧いてきます。スマートトイの域を超えた可能性を感じさせるSpheroの今後の展開にも注目です。

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