「距離」と「方向」だけで最寄りの駅や観光スポットを案内する海外旅行者のためのガイドアプリ「Pilot」

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海外旅行者のための案内アプリ
海外旅行者のためのガイドアプリ「Pilot」

週末などの余暇時間を使って活動するチーム方痴民(ちーむほうちみん)は、そのサービス内容からネーミングまでとことんユニーク。2014年1月末にサービスを開始した方向音痴を救うアプリ「Waaaaay!(うぇーい!)」は、これまでに60万ダウンロードを突破(2015年8月頭時点)。そんなチーム方痴民が新たにリリースしたのが、海外旅行者向けのガイドアプリ「Pilot」です。

旅行先などでオフラインでも動作

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海外でSIM契約や国際ローミングなどを契約しなくても、目的地の発見から近隣施設の案内までをオフラインでも行ってくれるPilot。この「オフラインでも動作する」ことが、Google MapsやNAVITIMEといった既存アプリとの大きな違いです。また旅行者にとって、死活問題だとも言えるスマホのバッテリー消費。バッテリー消耗が激しいネットワーク通信やGPSのバックグラウンド起動をしないことで、バッテリー消費を格段に抑えています。

Pilotの主な特徴は3つ。まず、大量のコンテンツがあること。対応している都市にある6,000を超えるレストラン、観光地、ショッピングモールなどから目的地を検索することができます。特に観光客に人気な場所については、写真や文章による紹介、価格帯、営業時間などの詳細も記載しています。

2つ目は、都市内にある全ての駅情報をローカルデータベースに持つことで、現在地から目的地までの乗り換え情報を検索できること。3つ目は、Waaaaay!と同様に、地図を読むことなく「方向」と「距離」だけで目的地にたどり着くことができること。目的地を設定すると、画面に「方向」と現在地からの「残り距離」が表示されます。ユーザーは、その方向に向かって進み、残り距離をゼロにするだけで目的地にたどり着くことができます。

行き先が定まらない旅行者にも役立つ

Pilotのワイヤーフレーム
Pilotのワイヤーフレーム

Pilotは、これまでに6,500件以上集まったというWaaaaay!のユーザーの声から誕生しました。Waaaaay!には、過去に検索した目的地を保存する履歴機能があったため、ネットワークが繫がらない場所でも使えます。にも関わらず、「登山時や海外旅行先でも使えるようにしてほしい」といった要望が多く集まりました。

「遮断物さえなければ、GPS衛生の信号を受信して世界中どこでもGPSが使えます。ところが、GPSには携帯回線での通信を必要とすると誤解をしている人が多かったんです。僕たちにとって常識だったことが、世間一般では常識ではなかった。オフラインで使えることを謳っているナビアプリは既にありましたが、どれもまだ浸透しておらず、我々もこの領域で勝負できるんじゃないかと思いました」(綾木良太)

今年1月、チームメンバーがインド旅行に行く際に、ニューデリーのローカル情報を集めてプロトタイプを作成。画面上部のテキストボックスから目的地名を入力すると、目的地までの方向と距離を教えてくれる。ローカルから検索すること以外は、ほぼWaaaaay!と同じ内容でした。ところが、実際に使ってみるとそれでは機能しないことが判明。

Waaaaay!では、「六本木ヒルズ」や「渋谷駅」などユーザーに決まった目的地があるのに対して、海外旅行者の場合、事前にしっかり調べておかない限り、そもそも何を検索すれば良いのかわからない。こうして未知の土地で実験することで得た気づきをもとに、海外旅行者向けにコンテンツを重み付けして人気の目的地を前に出し、交通機関の路線案内に対応するという2つの軸を定めました。

まずは土地勘がある東京バージョンから

新アプリの方向性が決定したのは、2014年夏頃。その後、Android Wearの実装や、Waaaaay!自体の改修等を経て、開発に着手したのは2014年12月頃のこと。前述のインドバージョンの他にも、知人を頼りにシンガポール、香港、バルセロナバージョンも開発して、問題点の洗い出しや改善を行いました。

試行錯誤の後、より精度の高いユーザー体験を提供するために、まずはチームが土地勘を持つ東京バージョンに注力することに。人気の目的地は手動で収集し、路線案内に必要な日本の全駅データと路線情報は、「駅データ.jp」から購入しました。それでも一部不足している情報については、手動でデータを整理。緯度経度データと路線データを組み合わせて、路線案内機能を開発しました。また、スピーディなユーザー体験を実現するために、検索アルゴリズムとUI面での高速化も。

今後は、東京バージョンへのフィードバックをもとに、別都市バージョンの開発も予定。京都、ロンドン、台北、ニューヨーク、パリといった都市が候補に上がっています。東京バージョンは無料ですが、今後リリースするアプリは有料での販売も検討中。また、英語圏ユーザーに向けた東京バージョンのプロモーションにも取り組んでいくと言います。

デザインと開発ならお手の物なチーム方痴民ですが、今回、彼らの弱点が地図を読むことだけではないことが判明。本来「Pilot」であるべきアプリ名を「Pirot」とミススペルしてリリースしてしまったのだとか。今でもアプリ内はまだ一部pirotのままだそうですが、しばしのご愛嬌ということで…。海外バージョンが登場したら、ぜひ使ってみたいと思います。Pilotのダウンロードはこちらからどうぞ。

しばしのご愛嬌…?
ミススペルも、しばしのご愛嬌…?

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