今晩の飲み代は「Venmo」してね!ーーソーシャルペイメントはビジネスをどのように変えるのか

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Andrew Caravella氏はSprout Socialでマーケティング部門のバイスプレジデントを務めている。彼は飛行機での旅、SoulCycleでのスピニングクラス、そしてロジャー・フェデラーがお気に入り。Twitterフォローは @andrewcaravella から。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Shardayyy“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

私は最近、サンフランシスコで友人の誕生日を祝った。夕食でお酒を飲んで盛り上がった数時間後、15人のゲストと私は最後に乾杯してレストランをのんびりした気持ちで後にした。支払いはスムーズに行われ、経験豊富なプロフェッショナルといった感じだった。

2日後、Venmoから、代金を支払ってくれた友人への支払額を知らせるプッシュ通知が送られてきた。面倒なこと、ややこしいことは何もない。

サンフランシスコから上海まで、どこのコミュニティでも電子マネーを送金するのが習慣になりつつある。そしてそれには主要な社会的構成要素もある。Venmoなどの多くのアプリは、すべてのアクティビティを公開するために(いや、自慢するとも言う)さらに大きなプラットフォームと統合している。

だから、検索と言えばGoogle、決済と言えばVenmoというように、この急成長中のトレンドは近い将来、ビジネスの収益にどのように影響を与えていくだろうか。私は最近、ソーシャル上での様々な送金方法について徹底的に調べてみたのだが、大局的に見ると以下の通りだ。

通貨アプリの社会的要素

送金アプリは数の上でも性能面でも成長がうかがえる。結果として、デジタル金銭取引の実用面と、ソーシャルネットワークに関連する、あるいはソーシャルネットワーク上で直接行われるようなコミュニティ主導型の体験とを組み合わせる役割を担っている。

無料の電子サイフとして利用されるVenmoによって、単なる決済処理が「いいね」やコメントの付けられるステータスアップデートへと移り変わっていると言える。位置情報やFacebookアカウントへのアクセスを承認すれば友人を探すことができ、Venmoアプリ内で使われている、Facebookのようなニュースフィード上で友人のアクティビティが見られるようになるというわけだ。

Venmoが社会的要素をアプリ内に留めているの対し、真逆の立ち位置にあるのはソーシャル体験を本質的にクロスネットワークにするChangeTipだ。ビットコイン(デジタル通貨)ユーザはChangeTipを使って寄付、チップ、ギフト、支払い、報酬のやり取りをFacebook、Twitter、Tumblr、Slack、SoundCloudなど多数のプラットフォームで行うことができる。

ネットワーク自体もこの動向に参戦してきている。Facebookの個人アカウント間の支払い機能により、Messengerアプリを通したお金のやり取りが可能だ。使用には、アメリカのデビットカードをFacebookアカウントへ追加さえすればいい。ただしVenmoやChangeTipと違い、決済処理をMessenger内で完結させるため、目に見える形のソーシャル体験とはならない。

一方、Twitterは最近、In-Tweet Purchase(インツイート購入)のテストを開始した。これは、バイヤーがツイートから直接、取引を完了させられる機能だ。実際にビジネスを念頭に置いて設計されているものであるというのが大きく異なる点である。バーバリーやThe Home Depotのような売主から提供される信頼のおけるアイテムを、Twitterのタイムライン上で購入できるのである。

実際78%の人々は、ソーシャルメディアが購買行動に与える影響は大きいという意見を現時点で持っている。Twitter、Facebook、Pinterestでシェアしたりお気に入り登録した上で、オンラインや店頭で商品の購入経験があると答える人は10人に4人に上る。送金アプリが発展し社会に組み込まれていくことによって、こういったやり取りは純粋な個人間の交流に留まらず、企業・顧客間の商業活動を助長する役割を担っていくだろう。

売り手にとっての収益見込み

あいにくTwitterの新機能以外では、送金アプリをどのように活用するかという点にビジネスが限られているのが現状である。

Venmoはウェブ上での入金受理、顧客からの資金調達、またビジネスプロバイダからの商品代金受け取りには対応していない。SnapchatはSquareと提携してSnapcashを開発した。これはアプリのチャット機能内でお金のやり取りができるものであるが、商業目的ではなく個人間の支払システムに留まっている。

こうしたサービスには様々なものがあり、場合によっては企業にとっては間接的な利用となっているものの、ある重要な意味でソーシャルの世界で大きな注目を集めている。 それはユーザをプラットフォームにとどめておけるということだ。以前ならFacebookの友達グループがギフトを送ろうとすると、ブランド企業がターゲットした投稿や広告がリーチしたサイトを離れて、お金のやり取りをする別のサイトに行かなくてはならなかった。 今では、会話が始まったその場所で取引を終了させることができる。

Twitterのインツイート購入は、一連の購買過程において顧客をソーシャルネットワーク上に繋ぎ止めておくことで、重要なビジネスチャンスを生み出している。もし既に購入意欲があるのであれば購入の意思決定への影響力は薄いだろうし、また商品を見てから買うまでの時間が短いため、購入取りやめのリスクも減少する。

VenmoとSnapchatに関して言えば、若年層の間で機会を生み出している。実際、Deloitteのレポートによると、ソーシャルメディアは1980年代~2000年代生まれ世代の47%に対し購買意思決定への影響力があるという結果が出ている。現段階ではビジネスがこうしたツールを直接的に利用することはできていないが、ポテンシャルは秘めている。今や金銭の取引は、ソーシャルな体験や活動と結びつく時代になってきているのだ。

成長中の10億米ドル業界に注目すべき

売り手にとって、ソーシャルメディアを介した個人間決済に注目するのは価値あることだ。この考え方は新しいかもしれないが、この業界の成長ポテンシャルは著しく、需要も拡大を続けるだろう。市場が動いていく中、どのアプリがスマートに反応し、ブランドにやさしい機能を提示できるだろうか?

Juniper Researchによると、2015年にモバイルでの送金数は150%増の130億米ドル以上になるという。Venmoの送金額は現在、四半期あたり10億米ドル相当となっている。国際的に見ると、中国のWeChatとAlipayによるユーザエンゲージはわずか6日で33億もの個人間取引を記録した。

そのようなデータが背景にあるなかで、ソーシャルプラットフォームがこの成長トレンドを無視し、通貨アプリがサービスを拡張しないなどあり得ない話だ。ソーシャルの他の側面についても、企業は私たちの生活の全て(少なくとも友人の誕生日ディナーの支払い)をさらに便利にしつつ利点を最大限生かすためにこの機能を活用する方法を見つけなくてはならない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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